Google AppsのSLA
「Google Appsは、Googleが無料で提供している様々なサービスをベースにして、企業向けに提供しています。機能としては、無料のサービスとほとんど変わりません。ただ、Google Appsでは、企業が独自のドメインで、独自のホームページを運用できるようにしています。
たとえば、無料のGmailとGoogle Apps(Premier Edition)の電子メールサービスでは、メールボックスの容量が大幅に異なります。無料のGmailは7GBですが、Google Appsでは25GBに容量拡張されています。25GBというのは、1つ1つのメールボックスに割り当てられる容量です」と話すのは、グーグルのエンタープライズ セールス エンジニア 泉 篤彦氏だ。
これ以外にも、Google Appsでは、無料サービスで表示されている広告の表示/非表示なども簡単に選択できるようになっている。
Google Appsは、1アカウントあたり年間6000円の「Premier Edition」(100アカウント以上)と、50アカウント以内で無償で提供されている「Standard Edition」が用意されている(有償版はサポートが付く)。これ以外にも、教育機関、非営利団体(NPOなど)、ISP向けのサービスも提供されいてる。
Google Apps Premier Editionは有償サービスのため、サービスの稼働率を月間99.9%として、サービスレベル契約(SLA)で保証している。もし、稼働率が契約よりも下回った場合は、翌月一定期間Google Appsを無償で利用できる。
国内でも利用されるGoogle Apps
実際、Goolge Appsでもサービス障害は起こっている。2008年8月には、15時間ほどのサービス障害が起こり、SLAを下回ったとして、一定期間無償でGoogle Appsのサービスを提供していた。
「確かに、人が作り、運用しているモノですがから、トラブルが起こらないと決して言えません。このためにも、Google AppsではSLAを規定しています。SLAがあれば、トラブルがあっても返金するから大丈夫と思っているわけではありません。電子メールなどは、企業における基幹サービスとなっているため、トラブルによりサービスがストップしてはならないものだと考えています。
膨大なユーザー数をかかえるGmailやGoogle Searchなどの一般サービスを運用している事から考えても、トラブルに対しては真摯に受け止めています」(前出・泉氏)。
昨年のサービス障害に関しては、Google社内でも相当大きな問題になったようだ。ある意味、インターネット上でインフラを提供している企業としては、サービス障害はビジネス上大きな問題となる。
いずれにせよ、自社で電子メールサーバーを運用している場合を考えれば、サーバーのトラブルや停電、メンテナンスなどで、ある程度のサービス停止という事態は免れない。これと比較すれば、Google Appsがどれほど高い稼働率で動いているのかということが判るだろう。 また、1アカウント年間6000円ということを考えれば、自社内にサーバーを購入して、電子メールシステムを運用するコストを考えれば、安いと考える企業も多い。
実際、日本国内でも、東急ハンズ、富士ソフト、コープさっぽろ、松竹、日本財団など、多くの企業がGoogle Appsを採用している。
「国内企業にGoogle Appsを採用していただいている理由は、SaaSということで、運用のしやすさが最も大きな点でしょう。もうひとつ、電子メールサービスを評価してもらっている部分も大きいですね。Google Appsの電子メールは、Googleが膨大なユーザーから集めているデータを元にスパムなどのフィルタリングを行なっているので、精度の高いスパムフィルタリングやアンチウィルスサービスが提供されています。
さらに、インターネットクラウドのGmailを使っているため、社内にいても、出張先にいても、同じ使い勝手で電子メールが利用できます。特に日本では、パソコンだけでなく、携帯電話からもメールを確認する事ができるため、社員にとっては大きなメリットになると思います」(前述・泉氏)。
社内で電子メールサーバーを運用している企業においては、出張先からメールを確認できなかったりする。また、専用のクライアントソフトしか認めていないため、携帯電話を使ってアクセスすることができない企業もある。いったん社内に戻り、メールだけを確認するといった事もあるのだ。Google Appsを利用すれば、社外から簡単にメールを確認できたり、さまざまなデバイスでメールを確認できる。これは、ビジネス上大きなメリットといえるだろう。
日本国内でもGoogle Appsの販売パートナーとして、富士ソフト、伊藤忠テクソリューション(CTC)などが入っている。特に富士ソフトは、Google Appsの販売と同時に開発も行なっているため、ユーザーにマッチするシステムを手に入れることができるだろう。
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