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コスト削減100本ノック 第12回

Google Appsで実現する快適コラボ環境

【12本目】メールサーバの運用コストを大幅ダウン

2009年08月19日 09時00分更新

文● 川添貴生/インサイトイメージ

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企業のシステム管理者にとっての悩みの1つは、メールシステムの運用管理ではないだろうか。自社でメールサーバを運用すればシステムダウンを防ぐための冗長化や保守に追われ、さらにウイルス/スパム対策も必要となってくる。プロバイダにメールサービスを丸投げすると、今度はコストがかかってしまう。こうした問題を解決する、安くて高機能なサービスがGoogle Appsだ。

 大量に送られてくるスパムメールやウイルスメールへの対応、SMTPサーバがスパムの踏み台として使われないための対処、増え続けるメールを保存するためのストレージの確保など、メールサーバの運用には大きなコスト負担がつきまとう。しかもメールが止まれば業務に多大な影響を及ぼしかねないため、管理者への負担も大きい。

 こうした問題に悩める企業にグーグルが提供しているのが、GmailやGoogle Calendar、Google Talkといった同社のサービスを企業向けにワンパッケージにまとめた「Google Apps」である。個人向けのサービスにはない機能が提供されているほか、自社ドメインを使った運用が可能になっているなど、オリジナルのGmailやGoogle Calendarにはない魅力がある。もちろんSaaS形態での運用であるため、自社でサーバを運用する必要はない

 機能が豊富であることもポイントだ。Gmailであればスパム/ウイルスメールのフィルタリング機能が装備されていることに加え、大容量のメールボックスも用意されている。またWebメールとPOP3/IMAP4でのアクセスの両方に対応しており、外出先からはWebブラウザで、自社では普段利用しているメールクライアントと使い分けることも可能など、使い勝手のいいサービスに仕上げられている。

Google Appsの提供形態は3種類

 Google Appsは無償で利用できる「Standard Edition」、有償の「Premier Edition」、教育機関向けの「Education Edition」の3つの形態がある(独自ドメインを利用しないTeam Editionもあるが、Gmailの利用は不可)。Premier Editionの価格は、99アカウント以下で1アカウントあたり50米ドル/年(オンラインでの申し込みのみ)、100アカウント以上は同6000円/年となっている。

 Standard EditionとPremier Editionの機能面での違いは、メールボックスの容量や広告の表示/非表示の切り換えの可否などがある(下表参照)。

 Standard EditionPremier Edition
メールボックス容量7GB以上25GB
広告非表示×
会議室/リソースのスケジュール管理×
APIの提供×
Microsoft Outlook Syncの利用×
サポートなし24時間365日の電話サポート

 まず大きな違いとして目を引くのは、メールボックスの容量だ。Standard Editionは通常のGmailと同じく7GB以上となっているが、Premier Editionなら25GBのディスクスペースを使うことができる。また業務で利用することを考えると、広告が非表示にできることもポイントだろう。

 アカウント管理やGoogle Calendarに登録したスケジュールの取得、あるいは別のシステムとのシングルサインオン環境を構築するために必要なAPIの提供が行われるのもPremier Editionのみとなっている。これを利用することで、社内システムとの連携などが実現できる。

 6月に発表されたばかりの「Google Apps Sync for Microsoft Outlook」が使えることも、Premier Editionの特典だ。Microsoft Outlookを使って、Google Appsのメールやカレンダー、連絡先を利用可能にするもので、クライアントPCにインストールするだけで利用できる。従来Exchangeを利用していたユーザーにとっては、同等の機能をGoogle Appsを使ってクライアントユーザーに提供できることになるわけで、非常に魅力的なツールとなるだろう。またExchangeを利用していなかったユーザーでも、Outlookを使ってスケジュールや連絡先を手軽に共有できるメリットは大きい。

Google Apps Sync for Microsoft Outlookをインストールし、実際にGoogle Appsにアクセスしたところ。複雑な設定を行うことなく、インストールするだけで簡単にGmailやGoogle Calendarにアクセスできる

 ただこうした機能以上に大きな意味を持っているのは、Enterprise Editionのみ99.9%の稼働率を保証するサービス品質保証制度(SLA)が提供されている点だ。企業利用で、なおかつ重要なコミュニケーションインフラであるメールを任せることを考えると、SLAがないサービスを利用するのはリスクが高い。

(次ページ、「Premier Editionなら25GBのメールボックスが使える!」に続く)


 

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