涙の曇り空!全天ドームの中では?
魚眼レンズは奄美大島北部の屋仁小学校に設置されており、ドームに入るとまさに校庭で日食を待ち受けている参加者の1人になったような感じになる。尾久土教授が校庭の見学者に呼びかけると、それに応える音声も生々しく伝送され、一体感を得られた。ただ、残念ながら太陽には黒い雲がかかっていたことで、徐々に暗くなるのが、雲なのか、日食なのかわかりにくいくらい。夕立の前のような空模様であった。
10時54分に日食に突入し、西から影が迫り、真っ暗になる。日食の特徴となるコロナは見えないが、後ろにある小学校の蛍光灯が目立ち、見れば、街灯が自動的に点灯する。南の空が夕焼けになるという不思議な体験ができた。
確かに月の姿の外側にコロナが見える日食らしいイメージは得られなかったが、魚眼カメラ&全天ドームのすごいところは「周囲も含めた日食」が味わえる点だ。通常のHD映像は月と太陽の重なりを一枚絵で映し出すが、全天ドームであれば周辺が暗くなり、まさに影が頭の上を通過する様をそのまま体験できた。
ライブ中継の後、シスコのTV会議システムで奄美大島にいる尾久土教授に伺ったところ、「日食はダイヤモンドリングだけではなく、周辺も含めて感じるもの。その意味で、今回は高い臨場感が得られ、満足してもらったと思う」という感想を語ってくれた。今後は「4Kを超えた10K映像でやってみたいし、コントラストももっと上げてみたい。また、環境に応じてドームの気温が下がるような仕組みも欲しい」と臨場感をより向上させた体験を提供したいと意気込みを述べた。
(次ページ、日食見学は下敷きから全天ドームへ?)
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