7月22日、既報の通り、皆既日食をハイビジョンの4倍にあたる4Kの超高精細な映像でライブ中継するイベント「7.22 皆既日食超高精細全天映像ライブ伝送上映一般公開実験 神秘の皆既日食from 奄美」が産学官のさまざまな団体によって行なわれた。ここでは大阪のABCホールで行なわれた体験イベントの概要とシステムについて見ていきたい。
46年ぶりの皆既日食を遠隔地から疑似体験
皆既日食は、太陽の姿を月が完全に覆ってしまう現象で、昨日(7月22日)の皆既日食は日本では46年ぶりに観測される天体現象だ。今回は本土でも部分日食が見られるほか、月の影の経路にあたる奄美大島北部やトカラ列島、屋久島、種子島南部で、月が完全に太陽を覆ってしまう皆既日食が長時間観測できるということで、非常に注目を集めていた。
今回のライブ中継イベントでは、このうち奄美大島北部の小学校に魚眼レンズを設置し、この皆既日食の様子を撮影。ハイビジョンの4倍にあたる4K超高精細映像を全国4カ所の全天ドームに映し出すことで、ドーム内では現場にいるような皆既日食の疑似体験ができるというスリリングなものだ。4K映像は大阪の朝日放送を経由し、朝日放送の社屋に併設されたABCホールのほか、堂島川を挟んで逆側にある大阪市立科学館、京都にある関西文化学術研究都市内のけいはんなプラザ、そして茨城県のつくばエキスポセンターなどの全天ドームにも中継される。
また、同時にフルHD映像も伝送され、平面のHDディスプレイのほか、ワンセグでの配信も行なわれる。さらに慶應義塾大学から提供された中国の武漢や上海のライブ映像、国立天文台(NAOJ)/NHK/独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)/独立行政法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の超高速インターネット衛星「きずな」を使った硫黄島からのライブ映像も、朝日放送から各地に配信されるという。
イベント自体は超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム(URCF)と独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)が主催しており、そのほかNTT、コニカミノルタプラネタリウム、朝日放送、アストロデザイン、日本ビクター、和歌山大学(以上、協賛)、NTT西日本、シスコシステムズ、奈良先端科学技術大学院大学、東京現像所、ミックスウェーブ(以上、協力)など産学官のさまざまな企業・団体が参加している。
さて、今回は朝日放送の大阪ABCホールにプレスが招待され、22日の午前中にこのライブ中継を体験できた。
(次ページ、緊張のライブ中継開始直前の「映像素材交換拠点」に潜入!)
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