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データセンターからオフィス、ビルまでを網羅

シスコだってグリーンだよ!熱い取り組みを披露

2009年07月08日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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7月7日、シスコシステムズ(以下、シスコ)は2006年からスタートしている同社のグリーンITへの取り組みについての説明会を行なった。「ITそのもののグリーン化」と「ITによるグリーン化」という2つの切り口から、低消費電力化を推進している。

あらゆる場所の電力消費を減らせ

シスコシステムズ合同会社 テクノロジー担当 シニアディレクター 木下 剛氏

 シスコがこうしたグリーンITに関する発表会を行なうのは初めてだが、「現在、我々はビデオ、コラボレーション、仮想化などの新分野に取り組んでいるが、それと同じ比重でグリーンITを推進している」(シスコシステムズ合同会社 テクノロジー担当 シニアディレクター 木下 剛氏)ということで、大きな比重をかけている。シスコはデータセンターの電力管理、オフィスのIT管理、ビル全体の省エネ化、そしてワークスタイルの変革といった4分野で消費電力削減を進めている。

 データセンターの電力消費については、同社の提唱する「Data Center 3.0」構想において、電力効率を高めたEEDC(Energy Efficientcy Data Center)を実現する。ここでは消費電力の削減技術の一例として、同社のユニファイドファブリックで導入されているTwinaxの試みを挙げた。現在、ネットワークに関しては、通信速度に比例する形で電力が消費されており、1GbE(Cat6)では片側1W程度だったが、10GbE(Cat6/7)になると消費電力が4~8Wに跳ね上がる。しかし、Nexus 5000などで投入されているTwinaxと呼ばれる銅線を利用することで、0.1Wまで消費電力を落とすことが可能になるという。ローテクだが、実効性の高いグリーンIT施策の1つだ。

データセンターではEEDC(Energy Efficientcy Data Center)という取り組みを推進

 また、データセンターではなくオフィスビルの電力消費に関しては「Connected Real Estate」という取り組みで、オフィスビルでの電力消費の見える化や制御を実現する。消費電力という観点では、オフィス全体の空調や冷暖房、そして照明などが7割近い電力を消費している。これに対して、これらの機器のエネルギー管理をきちんと行なえるインテリジェントビルは全体の1割にも満たないという。そのため、残り9割のビルには、空調や照明の制御を実現する仕組みを後から追加する必要がある。これをIPネットワークで実現するのがConnected Real Estateで、ITシステムとビルディングシステムを統合する試みだ。

 Connected Real Estateはシスコ本社がある東京ミッドタウンのほか、都内でもっとも二酸化炭素の排出量が多い東京大学が推進している「グリーン東大工学部プロジェクト」でも導入されている。

グリーン東大工学部プロジェクトにおけるシスコの取り組み

 シスコはユビテックと協業することで、照明・空調の遠隔制御や電力使用量の測定などを実現するCFMS(Cisco Facility Management Solution」をルータ上に実装し、コスト削減や見える化を図っているという。部屋に設置された人感センサーを用いて、利用されていない部屋の電気を消すといったことまで実現しているという。「ルータのないビルはないので、ルータの上でビル管理システムを載せていけるとインテリジェントではないビルでも導入が容易になる」という目論見だ。

(次ページ、電力消費を実現するワークスタイルの提案へ)


 

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