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シスコが示す新しいデータセンターのスタンダード

サーバ市場参入だけでは語れない「Unified Computing System」

2009年04月08日 04時30分更新

文● 大谷イビサ/ネットワークマガジン編集部

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4月7日、シスコシステムズ(以下、シスコ)は「Data Center 3.0構想」を体現する「ユニファイド コンピューティングシステム」を日本でも発表した。シスコがサーバ市場に参入するという点できわめてインパクトのある発表だが、仮想化技術のメリットをサーバやストレージのみに留まらず、コンピューティング環境全体に拡げる野心的な試みである。

仮想化技術でデータセンターのコンポーネントを統合

 シスコのUnified Computing Systemは、サーバやネットワーク、ストレージなどの各コンポーネントを仮想化技術によって「統合(Unified)」した、新しいデータセンター向けソリューション。3月16日に米国で発表されたソリューションで、シスコのサーバ市場参入ということで注目を集めていた。

サーバとネットワーク、ストレージなどを統合したUnified Computing System
サーバとネットワーク、ストレージなどを統合したUnified Computing System

 Unified Computing System(UCS)は、おもに以下の製品から構成される。

UCS Fabric Interconnect

UCS Fabric Interconnectはシステムの「ルート(幹)」ともなる中継装置
UCS Fabric Interconnectはシステムの「ルート(幹)」ともなる中継装置

20/40ポートのFCoE(FibreChannnel over Ethernet)を搭載するサーバ間接続の中継装置で、UCSのコントロールを司る最重要コンポーネント。同社のデータセンター向けスイッチ「Nexus 5000」をベースにしている。サーバを物理的に接続する「UCS Fabric Extender(後述)」を配下に接続し、上流で束ねる役割を果たす。

UCS Fabric Extender

物理的にサーバと接続し、上流のUCS Fabric Interconnectにつなぐ「UCS Fabric Extender」
物理的にサーバと接続し、上流のUCS Fabric Interconnectにつなぐ「UCS Fabric Extender」

シャーシ内のサーバと物理的に接続し、上流のUCS Fabric Interconnectと中継する。Extenderという名前の通り、論理的にはUCS Fabric Interconnectの一部を構成する装置。こちらは「Nexus 2000」をベースにしており、UCS Fabric Interconnectとの接続は光ファイバ経由、サーバ接続は10GBASE-KRという規格を採用するという。

UCS Blade Server Chassis

ブレードサーバを組み込むシャーシだが、論理的にはUCS Fabric Interconnectの一部となる。複数のブレード形状をサポートする。

UCS Blade Server

ハーフサイズ(左)とメモリ拡張サーバの2種類が用意される(右)
ハーフサイズ(左)とメモリ拡張サーバの2種類が用意される(右)

発表されたばかりのXeon プロセッサ5500番台を搭載する同社初のブレードサーバ。1ラックマウントのスペースに2台搭載可能なハーフサイズの「Cisco UCS B-Series Blade Server」のほか、48のメモリスロットを持ち、最大384GBまで拡張することが可能な「Cisco UCS B250-M1 2 Socket, Extended Memory Blader Server」も用意されている。SAS対応のHDDも搭載するという。

UCS Virtual Adaptor

ブレードサーバのネットワークアダプタの1種で、ハイパーバイザをバイパスし、最大128台までの仮想サーバと直結するためのネットワークアダプタ。その他、10Gbps EthernetアダプタやファイバチャネルのHBA(Host Bus Adaptor)も提供される。

 Unified Computing Systemでは、こうしたコンポーネントが結合して1つのシステムを構築する。記者発表会でUnified Computing Systemについて説明したスコット・ローズ氏は「すべてのコンポーネントが他のエクステンションとして、機能している。そして、お互いをそれぞれ認識し、1つの集合体として展開される」と表現した。見た目ではわかりにくいが、UCS Fabric Interconnectを幹に、UCS Fabric Extenderがつながり、さらにその先に枝葉となるBlade Serverが配置される。そのBladeServer内には仮想サーバが搭載されており、お互いのリソースを必要に合わせて融通しあうという関係になるようだ。

シスコシステムズ サーバ・アクセス・バーチャリゼーション ビジネスユニット シニアディレクター スコット・ローズ氏
シスコシステムズ サーバ・アクセス・バーチャリゼーション ビジネスユニット シニアディレクター スコット・ローズ氏

 そして、Unified Computing Systemでは、こうした統合したソリューションを提供することで、現在データセンターが抱えている多くの課題を解決されるという。

 その1つは複雑化したシステムのシンプル化である。まず統合化により、スイッチやアダプタ、管理モジュールなどのインフラ機器、こうした機器を接続する不要な配線を取り去ることが可能。インフラ機器を約1/2まで減らすことができ、コストや管理の手間、さらに電力消費量を大きく削減することが可能になるという。

 同社の試算では、320台のサーバを構築した場合、既存の環境で31本必要なラックの本数が12本で収まり、3520本必要だったケーブルは、480本に削減できる。また、投資額も43パーセントに抑えることができ、しかもアプリケーション立ち上げるのに数分で済むというメリットも披露された。

大企業でのケーススタディということで、Unified Computing Systemでのコスト削減が披露された
大企業でのケーススタディということで、Unified Computing Systemでのコスト削減が披露された

 Unified Computing Systemは拡張性も高く、40のFCoEポートを搭載するUCS Fabric Interconnectを相互接続することで、最大320台のブレードサーバを単一のシステムとして管理できる。

 さらに、管理機能がアーキテクチャに統合されているのもUnified Comuputing Systemの大きな特徴だ。まず各コンポーネントはUCS Fabric Interconnect上の「Cisco UCS Manager」というツールを用いて、統合的に管理することが可能になっている。

 また、仮想化やアプリケーションなど、より高いレベルの管理については、サードパーティのツールが利用できる。具体的には、サーバなどの管理対象ごとにIDやMACアドレス、ネットワークID、BIOSバージョンなどのプロファイルが組み込まれており、公開されたAPIを元にサードパーティのツールから管理が実現する。これらは物理ハードウェアに縛られず、複製や移動、展開も可能となっている。利用するアプリケーションに合わせて、ダイナミックにリソースを割り当てることが可能になっているという。

統合されたハードウェア、管理の簡素化、グリーンITへの対応など、Unified Computing Systemのポイント
統合されたハードウェア、管理の簡素化、グリーンITへの対応など、Unified Computing Systemのポイント

(次ページ、「仮想化ソフトベンダーやSIerなどエコパートナが結集」に続く)


 

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