写真合成機能を使った“遊べる”アプリも用意
WLフォトギャラリーには、外部アプリケーションを呼び出す機能がある。この機能を利用した「Photosynth」「Image Composite Editor」「AutoCollage」というアプリケーションも用意されている。あくまでアドオンなので、それぞれ個別にダウンロードしてインストールする必要がある。
パノラマ写真は複数の素材写真から1枚のパノラマ写真を作成するものだが、Photosynthは複数の素材写真を、立体的に並べた画像を合成する。使用にはWindows Live IDが必要となる。例えば、観光地で歩きながら周囲の風景を撮り、その写真をつなぎ合わせて、奥行きのある写真を作成してくれる。作成した写真は、ユーザーが自由に視点を変えたり、拡大縮小もできる。
このPhotosynthの機能は、正直言葉では説明しにくい。Photosynthのサイトでサンプルを見ていただく方がイメージしやすいだろう。ここでは2009年1月末に行なわれたオバマ大統領の就任式典会場の合成写真が、Photosynthで作成されている。これを見れば、Phtosynthがどんなものかわかるだろう。
Image Composite Editorはパノラマ写真作成やPhotosynthと似たソフトだ。複数の素材写真をつなぎ合わせてパノラマ写真を作成するのだが、素材写真を3D空間に立体的に配置できるのだ。例えば部屋の写真の場合、周囲の壁に天井、床とすべてを撮影すれば、部屋の立体写真を作り出せる。マイクロソフトが開発した超高解像度写真表示ソフト「HDView」や、ウェブブラウザー用プラグイン「Silverlight」の「Deep Zoom」(写真の拡大縮小機能)にも対応している。
最後のAutoCollage(オートコラージュ)は、写真のコラージュを自動作成するソフトだ。米マイクロソフトのオンラインショップでは、19.95ドル(約2000円)で販売されており、30日間使用できる試用版もある。
WLフォトギャラリーのパノラマ写真作成機能は、1枚のパノラマ写真を作成するために、部分的に重なり合う素材写真を使う。対するAutoCollageは、つながりのない写真を組み合わせて、新しいコラージュ写真を作るものだ。コラージュを手作業で作るのは、手間と時間がかかる。AutoCollageは、素材写真を選択するだけで、コラージュ写真を作成してくれる。
そのほかにもWLフォトギャラリーでは、動画作成ソフト「Windows Liveムービーメーカー」と連携して、写真のスライドショウムービーを作ったり、ブログ編集ソフト「Windows Live Writer」と連動して、ブログに写真付きの記事を投稿するといった機能も備えている。
SNSに写真をアップロード 残念ながらmixiは不可
WLフォトギャラリーでは、前回紹介したマイクロソフトのファイル共有サービス「SkyDrive」と連動し、SkyDrive上のフォトカテゴリーに写真をアップロード/ダウンロードする機能がある。またWLフォトギャラリーをインストールすると、P2P同期サービス「Windows Live Sync」もインストールされる。Live Syncを使えば、パソコン同士で直接写真を共有できる。
さらに、WLフォトギャラリーにプラグインをインストールすることで、FacebookやYouTube、FlickrやPicasaといった、写真共有サイトにもアップロードできるようになる。ただ残念なことに、日本で普及しているmixiやYahoo!フォトなどのサービスには対応していない。APIが公開されているので、写真共有サイトの運営企業や個人の開発者がプラグインを開発してくれれば、対応も可能になるだろう。強く期待したい。
★
WLフォトギャラリーは無料の割に、役に立つ機能が用意されている。タグを活用すれば、パソコン内のあちこちに保存された写真を、楽に管理できるようになる。しかし、写真の管理に関しては改良が必要だろう。
タグによって写真を分類できるのはいいが、複数のタグに該当する写真だけを表示する、といったことはできない。例えば、「小学校」「運動会」のタグがついた画像だけ表示させる、といったことはできないのだ。「日付+人物+それ以外」といった、複数のタグを組み合わせた分類が可能になれば、もっと使いやすくなるだろう。
パノラマ写真などの機能は非常に面白い。Photosynthを使ってみると、低解像度の写真をたくさん撮って組み合わせることで、新しい写真の楽しみ方が味わえる。
ちなみにSkyDriveは、メール経由で携帯電話からもアップロードできる。携帯電話で撮影した写真を、その場でSkyDriveにメールで送り、後でパソコンにダウンロードして、WLフォトギャラリーでパノラマ写真やPhotosynthなどを使うと、元が携帯電話の写真とは思えないような、面白い写真が作れるだろう。ぜひお試しあれ。
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