キヤノン販売(株)は1日、USB 2.0で動画の転送を可能にする“USBビデオクラス”に対応したデジタルビデオカメラ『IXY DV M3 KIT』と、光学14倍ズームレンズを搭載したデジタルビデオカメラ『FV M20 KIT』を発表した。価格はオープン。発売時期と編集部による予想販売価格は、IXY DV M3 KITが7月中旬で12万円前後、FV M20 KITが6月中旬で10万円前後。
『IXY DV M3 KIT』 | 『FV M20 KIT』 |
『IXY DV M3 KIT』は2003年7月に発表した『IXY DV M2 KIT』の後継、『FV M20 KIT』は3月に発表された『FV M100 KIT』の上位機種にあたり、同社デジタルビデオカメラのミドルレンジクラスの製品。両機種とも従来同様に220万画素CCDと映像エンジン“DIGIC DV”を搭載し動画と静止画の撮影が可能。
両機種共通の特徴
両機種共通のデジタルビデオカメラ機能としては、新たに曇りの日など悪条件下での撮影時の色再現性を向上させるという“アドバンストカラーコントロールシステム”や、NDフィルター(※1)の切り替え時に起こる回折現象によるボケを防ぐ“新NDシステム”などを追加した。アドバンストカラーコントロールシステムは、曇りの日などで黒ずんでしまいがちな肌色などを再現するのに有効だという。 そのほか、薄暗い場所での撮影のノイズ軽減に有効な高画質化テクノロジー“ローノイズ信号処理IC+AE制御”や、“高解像度ワイドTVモード”などを搭載する。従来の手ぶれ補正機能をオンにしたワイド撮影は、4:3のサイズで撮影し上下をカットして横に引き伸ばす方法を採用していたため、画質が悪くなっていた。高解像度ワイドTVモードは、撮影サイズを1568×882ドット(手ぶれ補正オフ時は1632×918ドット)にすることで、手ぶれ補正をオンにした場合でも高画質のワイド撮影を可能にしたモード。 オーディオ機能では、音質を劣化を最小限にしながら音声以外の風切音などを自動的にカットする“オートウィンドカット機能”や、マイク入力レベルをディスプレーで確認できるレベルメーターの表示に対応した。
※1 NDフィルター 色に影響を与えずに光量だけを落とし、絞りを開けたりシャッタースピードを遅くしたりできる光量調整フィルター。デジタルカメラとしての機能は、撮影対象距離が1~2mの内蔵フラッシュや、毎秒3枚(1632×1224ドット、最大10枚)の連写機能、PictBridge機能などを搭載する。また、解像度1632×1224ドットを生かし、カメラ上で撮影画像を縦にトリミングできる“縦トリミング”(従来は横のみ)や、撮影画像の撮影後シャッターを押し続けることで、すぐに確認できる“フォトレビュー機能”などを搭載した。
『IXY DV M3 KIT』
『IXY DV M3 KIT』は、2003年7月に発表した『IXY DV M2 KIT』の後継で光学10倍ズーム、220万画素CCDを搭載した縦型のデジタルビデオカメラ。新たに、同社としては始めてUSB 2.0(Hi-Speed)でのDVテープから直接動画を転送できる“USBビデオクラス”に対応(静止画の転送も可能)し、IEEE 1394を装備していないパソコンでの動画の転送に対応した。USB 2.0での動画転送に対応するソフトは、マイクロソフト(株)の動画編集ソフト『Windows ムービーメーカー 2』(対応OSはWindows XP)のみ。また、M2の4倍の明るさがあるという“ミニビデオライト”を搭載したほか、マクロ撮影時に背景の影の映り込みを防ぐのに有効な“リングライトアダプター”を同梱している。
“リングライトアダプター”装着時 |
本体デザインは、筐体カラーを“スパークリングシルバー”に変更し、前面には鏡面パーツを使用することで、女性にも好まれるようなスタイリッシュなデザインに変更しているという。M2で背面から縦にカセットを挿入する構造を、M3では底面から横に挿入する構造に変更することで筐体の高さを10mm低くしている。高さを低くしたことで持った時の安定性を改善すべく、グリップの付け根の部分を回転させて、小指と薬指をかけられる“ホールドグリップベルト”を採用したほか、手のひらにあたる角の部分に合成ゴム(エラストマー)を採用し滑りにくくしているという。
高さ比較 | カセット挿入方法比較 | |
『IXY DV M3 KIT』(左)と『IXY DV M2 KIT』(右)の比較写真 |
主な仕様は、焦点距離が4.7~47mm(35mmフィルム換算でテープ撮影時48.9~489mm相当、メモリーカード撮影時38.3~383mm相当)でF値が1.8~2.4の光学10倍ズームレンズ(デジタル併用時テープ200倍/メモリーカード40倍)、1/3.4インチ220万画素CCD(テープ記録時有効123万画素、SDメモリーカード記録時有効200万画素)を搭載。SDメモリーカードスロット(MMC対応)を装備し、付属のSDメモリーカード(8MB)には、静止画(1632×1224ドット/JPEG形式)で最大約9枚、動画(352×288ドット/MPEG-4形式)で最大2分の記録が可能。モニター用の21.1万画素2.5インチTFTカラー液晶ディスプレー、11.3万画素0.33インチTFTカラー液晶ビューファインダーなどを搭載する。インターフェースはIEEE 1394、USB 2.0、映像/音声入出力(35mmミニジャック)、S-VIDEO出力を搭載する。
本体サイズは、幅53×奥行き101×高さ107mm、重量は約530g(バッテリーパック『NB-2LH』などの撮影時重量)。付属バッテリー『NB-2LH』使用時の撮影可能時間は、ビューファインダー使用時が約90分、液晶ディスプレー使用時が約75分。大型バッテリー『BP-2L14』を使用した場合は、それぞれ約190分、約155分となる。対応カセットはMiniDV。
『IXY DV M3 KIT』の同梱品 |
付属品は、ワイヤレスリモコン、バッテリーパック(NB-2LH)、ステレオ音声対応ビデオケーブル、ACアダプター、リングライトアダプター、USBケーブルなど。アプリケーションはビデオチャットソフト『DV Messenger 2』(対応OSはWindows XPのみ)、画像ファイル管理ソフト『ZoomBrowser EX』(対応OSはWindows 98/Me/2000/XP)/『ImageBrowser』(対応OSはMac OS X 10.1以降)、画像/動画編集ソフト『PhotoRecord』(対応OSはWindows 98/Me/2000/XP)などが付属する。
『FV M20 KIT』
『FV M20 KIT』。液晶ディスプレーを閉じた図 |
『FV M20 KIT』は3月に発表された『FV M100 KIT』の上位モデルで、光学14倍ズーム220万画素CCDを搭載する横型のデジタルビデオカメラ。本体は金属パーツを多く使用したスタイリッシュなデザインに変更しているほか、グリップ部分にエラストマーを採用し、ホールド感を高めている。
主な仕様は、焦点距離が4.8~67.2mm(35mmフィルム換算でテープ撮影時50~700mm、メモリーカード撮影時39~546mm)でF値が1.8~3.0の光学14倍ズームレンズ(デジタル併用時テープ280倍/メモリーカード56倍)、1/3.4インチ220万画素CCD(テープ記録時有効123万画素、SDメモリーカード記録時有効200万画素)を搭載。SDメモリーカードスロット(MMC対応)を装備し、付属のSDメモリーカード(8MB)には、静止画(1632×1224ドット/JPEG形式)で最大約9枚、動画(352×288ドット/Motion JPEG圧縮QuickTime形式、モノラル音声WAVE形式)で最大20秒の記録が可能。モニター用の12.3万画素2.5インチTFTカラー液晶ディスプレー、11.3万画素0.33インチTFTカラー液晶ビューファインダーなどを搭載する。インターフェースはIEEE 1394、USB 1.1、映像/音声入出力(35mmミニジャック)、S-VIDEO出力を搭載する。
本体サイズは、幅77×奥行き134×高さ82mm、重量は約645g(バッテリーパック『NB-2LH』などの撮影時重量)。付属バッテリー『NB-2LH』使用時の撮影可能時間は、ビューファインダー使用時が約90分、液晶ディスプレー使用時が約75分。大型バッテリー『BP-2L14』を使用した場合は、それぞれ約185分、約155分となる。対応カセットはMiniDV。
『FV M20 KIT』の同梱品 |
付属品は、ワイヤレスリモコン、バッテリーパック(NB-2LH)、ステレオ音声対応ビデオケーブル、ACアダプター、USBケーブル、ストラップなど。アプリケーションはビデオチャットソフト『DV Messenger 2』(対応OSはWindows XPのみ)、画像ファイル管理ソフト『ZoomBrowser EX』(対応OSはWindows 98/Me/2000/XP)/『ImageBrowser』(対応OSはMac OS X 10.1以降)、画像/動画編集ソフト『PhotoRecord』(対応OSはWindows 98/Me/2000/XP)などが付属する。
同社では、対象期間(6月11日から10月11日)に『IXY DV M3 KIT』と『FV M20 KIT』を購入したユーザーを対象に“写真DVキャンペーン”を実施する。内容は、上記製品を購入し、同社の画像管理サイト“キヤノンイメージゲートウェイ”に登録したユーザーを対象にユーリードシステムズ(株)のDVDオーサリングソフト『DVD MovieWriter Advance for Canon』(対応OSはWindows 98 SE/Me/2000/XP)をダウンロードできるというもの。