キヤノン(株)とキヤノン販売(株)は25日、品川の本社ビル(キヤノンSタワー)で記者説明会を開催し、インクジェットプリンター“PIXUS iシリーズ”(5製品)とスキャナー/コピー/カラープリンターの機能を併せ持つ複合機“PIXUS MPシリーズ”(2製品)を10月3日から順次発売すると発表した。製品名と価格/発売日は以下のとおり。
- PIXUS 990i
- 5万4800円/10月3日発売
- PIXUS 860i
- 4万4800円/10月3日発売
- PIXUS 865R
- 5万9800円/11月中旬発売
- PIXUS 560i
- 2万9800円/10月3日発売
- PIXUS 900PD
- 4万5800円/10月3日発売
- PIXUS MP370
- 4万4800円/10月10日発売
- PIXUS MP360
- 3万9800円/10月10日発売
今回発表された新製品の特徴は、印刷解像度が最高4800×1200dpi(最上位機種のみ4800×2400dpi)でインク滴は最小2plの高画質印刷を実現、デジタルカメラとUSBケーブルで直接接続してパソコンなしで印刷可能な統一規格“PictBridge”に対応(MPシリーズの下位モデル1製品を除く)、同社の色再現性の基準となる“キヤノンデジタルフォトカラー”について記憶色強調/高コントラスト/肌色再現の強化などの強化・変更を実施、全機種ふちなし印刷に対応、付属のWindows/Mac OS対応印刷ユーティリティーソフト“Easy-PhotoPrint Plus”を改良し、データを変更せずに赤目軽減や肌のしみ/そばかすを消去した“美肌”効果を施した印刷出力が可能、など。
各色768ノズルの7色インクヘッド採用で合計5376ノズル!
――『PIXUS 990i』
『PIXUS 990i』 |
A4カラーインクジェットプリンターの最上位モデルPIXUS 990iは、従来の6色インク(シアン/マゼンタ/イエロー/ブラック/フォトシアン/フォトマゼンタ)にレッドインクを加えた7色インク搭載ヘッドを採用。最小インク滴2plによる高画質印刷をより高速に行なうため、ノズル数を各色516から768に増加し、紙送り機構も改良することでモノクロ印刷時に毎分16枚、カラー毎分12枚、A4フルサイズの印刷時間も約37秒に短縮したという。
給紙機構も改良し、従来の本体後部に立てる給紙トレイの上に、L判もしくはハガキサイズの用紙をセットする『フォトペーパーカセット』を標準添付し、レバーを手動で切り換えることで給紙を切り替えることが可能。オプションで『自動両面印刷ユニット』(5000円)や、本体下部に設置して最大250枚収容できる『ペーパーフィーダー』(1万円)を用意。
PIXUS 990iの側面 | PIXUS 990iのインクカートリッジ |
インターフェースはUSB 2.0(パソコンとの接続用、背面)およびUSB(デジタルカメラとの接続用、前面)。対応OSはUSB 2.0接続はWindows 2000/XP、USB接続ではWindows 98/Me/2000/XP、Mac OS 8.6~9.x、Mac OS X 10.2.1以降。
本体サイズと重量は、幅455×奥行き306×高さ183mm/約6.2kg。消費電力は印刷時が約26W、待機時は約2W、稼働音は最高品位時に約37dB。
顔料系フォトブラックを含む5色印刷に対応、無線LAN対応モデルも登場
――『PIXUS 860i』『PIXUS 865R』
『PIXUS 860i』 | 『PIXUS 865R』の側面。左後部に無線LANのアンテナが見える。写真はオプションのペーパーフィーダーを下に設置したところ |
PIXUS 860i/865Rは、CMYK(シアン/マゼンタ/イエロー/ブラック)と黒がより締まった黒になる顔料系黒色インク“フォトブラック”の5色インクを採用する高速A4カラーインクジェットプリンター。ノズル数がCMYKでは128(2pl)+128(5pl)、フォトブラックは160+160のマルチノズルヘッドを採用し、印刷速度は990iを上回るモノクロ毎分23枚、カラー毎分16枚を実現する。990iと同様にフォトペーパーカセットを標準添付し、オプションの自動両面印刷ユニットとペーパーフィーダーが利用可能。
860iのインターフェースはUSB/パラレル(パソコンとの接続用、背面)およびUSB(デジタルカメラとの接続用、前面)。対応OSは、USB接続の場合がWindows 98/Me/2000/XP、Mac OS 8.6~9.x、Mac OS X 10.2.1以降、パラレル接続ではWindows 95/98/Me/NT 4.0/2000/XP。865Rはパラレルポートを省略し、IEEE 802.11b準拠の無線LANユニットを内蔵したもの。無線LAN接続での対応OSは、Windows 98/Me/2000/XP、Mac OS X 10.2.1以降。
フォトペーパーカセット |
本体サイズと重量は、幅420×奥行き311(865Rは313)×高さ183mm/約5.8(865Rは約5.9)kg。消費電力は印刷時が約25W(865Rは約27W)、待機時は約0.4W(865Rは5W以下)、稼働音は最高品位時に約39dB。
モノクロ毎分22枚/カラー毎分15枚の低価格高速プリンター
――『PIXUS 560i』
『PIXUS 560i』 |
PIXUS 560iは、CMYKの4色インクを採用する低価格高速A4カラーインクジェットプリンター。ノズル数は860i/865Rと同等で、印刷速度はモノクロ毎分22枚、カラー毎分15枚。
インターフェースはUSB/パラレル(パソコンとの接続用、背面)およびUSB(デジタルカメラとの接続用、前面)。対応OSは、USB接続の場合がWindows 98/Me/2000/XP、Mac OS 8.6~9.x、Mac OS X 10.2.1以降、パラレル接続ではWindows 95/98/Me/NT 4.0/2000/XP。
本体サイズと重量は、幅418×奥行き274×高さ172mm/約4.9kg。消費電力は印刷時が約24W、待機時は約0.4W、稼働音は最高品位時に約39dB。
カラー液晶ディスプレーとカードスロットを持ち、PictBridge/カメラダイレクトに対応
――『PIXUS 900PD』
『PIXUS 900PD』 |
プリンター本体にプレビュー用の2インチカラーTFT液晶ディスプレーと6種類のメモリーカード(CF TypeI/II、スマートメディア、メモリースティック、SDメモリーカード、MMC、アダプターを介してxDピクチャーカード、メモリースティック Duo、miniSDカード)に対応したカードスロットを備えるPIXUS 900PD。デジタルカメラで撮影した映像を、メモリーカード経由で直接プリンターから読み出して印刷できる“カードダイレクト”、キヤノン製デジタルカメラとUSBケーブルで直接接続してパソコンなしに印刷する“カメラダイレクト”、およびデジタルカメラ/プリンターメーカー各社の統一規格PictBridgeに対応し、3つの方法でパソコンなしに印刷が可能。加えて、USBケーブルで接続したパソコンからカードスロットの内容を読み出し/書き込みも行なえる。
CMYKとフォトシアン、フォトマゼンタの6色インクを採用し、ノズル数は128(2pl)+128(5pl)、印刷速度はモノクロ毎分8枚、カラー毎分7枚。インターフェースはUSB×2(背面はパソコンとの接続用、前面はデジタルカメラとの接続用)。対応OSは、Windows 98/Me/2000/XP、Mac OS 8.6~9.x、Mac OS X 10.2.1以降。
本体サイズと重量は、幅433×奥行き300×高さ194mm/約5.6kg。消費電力は印刷時が約30W、待機時は約3W、稼働音は最高品位時に約37dB。
CCDスキャナーとUSB 2.0インターフェースを備える低価格複合機2製品
――『PIXUS MP370』『PIXUS MP360』
『PIXUS MP370』 | 『PIXUS MP360』 |
キヤノンの家庭向け複合機は、上位機種の『MP730』『MP700』を継続販売し、下位モデルの『MP10』『MP5』を今回発表のMP370/MP360に置き換えて、全機種で印刷解像度4800dpi/最小インク滴2pl対応となる。
上位機種のMP370は900PDと同等のメモリーカードスロットを搭載。取り込んだ映像をサムネイル(縮小イメージ)で一覧表示し、マークシートに印刷可否と枚数を記入してスキャンすることで、指定した画像/枚数を自動印刷する“フォトナビシート”機能を持つ(MP360はメモリーカードスロット、フォトナビシート機能、PictBridge機能を省略)。
両機種とも、スキャン解像度(光学解像度)は1200×2400dpiのCCD方式で、被写界深度が従来(MP10/MP5)のCISセンサーより深くなり、雑誌や書籍の折り目部分などの受光部に密着できない部分も黒つぶれせずに取り込める。出力階調は24/48bit、ライン読取速度はカラーで9.9ms、モノクロでは1.65ms。
PIXUS MP370の操作パネル |
プリンター部も共通で、CMYKの4色インクを採用、ノズル数はCMYが128(2pl)+128(5pl)、黒が160(2pl)+160(5pl)。印刷速度はモノクロ毎分18枚、カラー毎分12枚(コピー時も同等)。インターフェースはUSB 2.0(パソコンとの接続用、背面)、MP370のみ前面にもデジタルカメラとの接続用にUSBポートを持つ。排紙トレイは、印刷開始と同時に自動的にオープンされる(普段はトレイを閉じておける)“スマートトレイ”機能を搭載する。
対応OSは、USB 2.0接続がWindows 2000 SP4以降/XP SP1、USB接続ではWindows 98/Me/2000/XP。本体サイズと重量は、幅454×奥行き358×高さ249mm/8kg(MP360は7.6kg)。消費電力は印刷時が約47W、待機時は約14.5W(MP360は約14W)、稼働音は最高品位時に約46dB(印刷速度を落として静音性を高める“サイレントモード設定”時には42dB)。
ゲームコントローラー風のUSB接続メモリーカードリーダー兼印刷操作コントローラー『C-10』 |
同時にオプション(消耗品)として、ゲームコントローラー風のUSB接続メモリーカードリーダー兼印刷操作コントローラー『C-10』、コート材などの改良により耐ガス性を従来の4倍、耐光性を25年以上(いずれも同社調べ)に強化して長期保存が可能になった改良版『プロフェッショナルフォトペーパー』(A4/L判/2L判)などが発表された。C-10は、上下左右の十字カーソルと○×□#の8ボタンがあり、シンプルなインターフェースの付属印刷ユーティリティーソフト(Windows/Mac OS対応)でメモリーカード内の映像を印刷できる周辺機器。カードスロット部は900PD/MP370と同等で、対応OSはWindows 98/Me/2000/XP、Mac OS 9.x。対応プリンターはPIXUS 9100i/6500i/6100i/990i/900PD/865R/860i/560i/475PD/455i/50i。
2004年は年間でインクジェットNo.1市場を目指す
「競合メーカーも“いいわよ”と言ってる」
記者説明会に出席したキヤノン販売(株)の代表取締役社長の村瀬治男氏(右端)ら |
記者説明会には、キヤノン販売(株)の代表取締役社長の村瀬治男氏らが出席し、20日に発売して「出足好調」(同氏)という一眼レフデジタルカメラ『EOS Kiss Digital』などを引き合いに出しながら、プリンター市場の動向やマーケティング目標などを説明した。
村瀬氏は、デジタルカメラの普及とそれを上回る勢いのカメラ付き携帯電話(特にメガピクセルクラス)の急速な浸透(デジタルカメラの販売台数の2倍以上という調査結果を掲示)を、カラーインクジェットプリンター業界の追い風にしたいと説明。PictBridgeへの対応やカードスロット搭載機種の拡充により、これらの映像入力機器との親和性を高めていることを強調した。
また、マーケティング目標として、2003年度はインクジェット市場でシェア50%以上(=シェアトップ)、家庭用複合機市場でシェア40%以上を掲げ、「2004年には年間でインクジェット市場でNo.1になる。競合メーカーもCMで『いいわよ』(編集部注:柴咲コウさんのCMと思われる)と言ってるので、ぜひこれを実現したい」と意気込みを見せた。