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【2004 CES Vol.3】離れた場所からエンターテインメントを楽しむ新たな世界へ――モーガン・フリーマンも登場したインテル社長オッテリーニ氏の基調講演

2004年01月12日 09時35分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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2004 International CESの初日には、米インテルの社長兼最高執行責任者のポール・オッテリーニ(Paul S.Otellini)氏の基調講演が行なわれた。オッテリーニ氏はまず、20年前のパソコン(IBM PC)とビデオデッキを見せながら、20年間の技術の進化を語り、「10年前にはマルチメディア時代の到来がうたわれ、CD-ROMドライブ搭載パソコンが米ゲートウェイをはじめとした各社から登場。CD-ROMのゲームタイトルが多数登場してリッチなエンターテインメント体験が可能になった」とパソコンの進化の過程を述べた。



基調講演で家電とネットワークの重要性を語るオッテリーニ氏

こうした進化の速度について、米インテルの創業者の一人、ゴードン・ムーア(Gordon Moore)氏が提唱した“ムーアの法則”(半導体に集積されるトランジスタの数は2年ごとに倍増する)を引き合いに出すと同時に、「ネットワークの利便性や機能性は、そのネットワークに接続する人数の二乗に等しい」という“メトカーフ(Metcalfe)の法則”を紹介。改めて、家庭や家電製品に置いてもネットワークへの参加の必要性をアピールした。

ここまで前置きした上で、オッテリーニ氏は

Wi-Fi
(パソコンだけでなく、家電製品においても)無線LANによるワイヤレスネットワークによって、電源ケーブル1つだけで手軽にネットワークに参加できること
Veri-Fi
個人認証を行ない、セキュリティーを確保した上でコンテンツを利用できること
High-Fi
高品質なビデオや音声を快適に扱うためにネットワークが高速であること
Ampli-Fi
これらの大容量データを高速に伝送するために、機能拡張を続けること
Simpli-Fi
こうした便利な機能を簡単に使えること

これらをまとめた“Uni-Fi”をインテルが提供し、家電機器は新しい時代を迎えるだろう、と語った。

“Entertainment PC”の定義と、開発している各社の製品。いずれも従来のパソコンとは一線を画したAV機器らしいスタイルになっている
インテルの製品が家電に組み込まれるのは汎用CPUやネットワークチップだけではない。リアプロジェクターに組み込まれる“LCOS(Liquid Crystal On Silicon)”技術は、シリコン上に液晶パネルを生成するもので、従来の液晶プロジェクターなどよりも高精細な表示が実現できるという一見ノートパソコンのようだが、液晶一体型のデスクトップパソコンで、裏面のパネルを立ててワイヤレスキーボードを取り外して使うコンセプトモデル。インテルのデスクトップパソコン向け次世代チップセット(無線LAN内蔵)を搭載している

新しい時代においては、「3~5年だった家電の買い替えサイクルが9ヵ月~2年程度に短縮され、半導体もカスタムASICから汎用CPUを使ったものに、ソフトウェアも個別に開発されたものから標準的なツールによる開発に、そして価格はより安価へと変わっていく」と説明。さらに、次世代チップセットではデスクトップ製品向けにも無線LAN機能を内蔵し、キーボードやマウスもワイヤレスになって、「エンターテインメントを体験する環境が2歩(パソコンやディスプレーのすぐ手前で操作していた状況を示す)から10歩(離れた場所からリモコンやワイヤレスキーボード/マウスで操作する状況)へと変わる」とエンターテインメント・パソコン(インテルでは、音楽や静止画・動画の視聴、HD対応テレビ放送の録画/再生や無線LAN機能を併せ持つパソコンを“EPC=Entertainment PC”と呼ぶ)の将来像を示した。

会場に現われたモーガン・フリーマン氏。映画で見たままの渋い声でのオッテリーニ氏との対談に、参加した観客はしばし聞き入っていた。生モーガン・フリーマンが見られた、この講演の参加者(自分も含めて)は、かなり“お得”な体験ができた

最後に、こうしたエンターテインメントを手軽に楽しむための障壁となっている、著作権管理の問題について、インテルとしてもコンテンツホルダー(主にハリウッドの映画関係会社を指す)との調整を積極的に行なっていると話し、その証拠とばかりに大物映画俳優であるモーガン・フリーマン氏をゲストに招いて、パソコンにおけるエンターテインメント体験の便利さと、むやみに著作権を侵害しないように努めている同社の姿勢を強調した。フリーマン氏はパソコンで映画や音楽を楽しむ便利さを賞賛した上で、俳優としての立場を説明しながら、最後はオッテリーニ氏と固い握手を交わした。

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