“LAPP”を採用した背景
林氏によると、新規システムのプラットフォームとして“LAPP”を選択した理由は、開発ノウハウがあったことが大きいという。同社はこれまでUNIXベースのデータベースを構築しており、またWebベースのシステム構築ではLinuxやPHPを利用する案件が多く、技術的な蓄積は十分にあったそうだ。
また、阿部氏はコスト的なメリットも指摘している。同社はこれまで“MSDS”シート作成支援アプライアンスサーバを.NET+Oracleで構築し販売していたが、ライセンス料が非常に高く、普及の妨げになっている側面もあるそうだ。同社は今後、この“MSDS”シート作成支援アプライアンスサーバについても、“LAPP”ベースのものを提供することを検討しているという。
現在公開されている『ケミスマート』システムは、データベースサーバ1台とWebサーバ1台、それぞれの待機系という構成で運用されている。特定用途のデータベースであり、利用には登録が必要なため、サーバ負荷はそれほど大きくはないようだ。全文検索エンジンにはnamazuを採用し、セキュリティにはゼンドのPHPセキュリティ技術パッケージを使用している。現在のところ、絞り込み検索は行なえないほか、データベースから外部の情報へのリンクは提供されていない。今後、化学品メーカーへのリンクを提供する予定だという。
利用者はJCDBと契約を結び、IDとパスワードによる認証でデータベースを利用することになる。利用料金は契約料が3万円、1IDあたり1万5000円からとなる。一般へのデータベース公開は、化学品の製法や入手方法も記載されているため、セキュリティ上の都合から行なわれないそうだ。
『ケミスマート』の検索画面。薬品名や業者名などから検索できる |
『ケミスマート』による“ホルマリン”の検索結果 |
JCDBでは、『ケミスマート』サービスを初年度で約5000社に販売することを目指すという。また、システムの耐障害性を高めるため、沖縄県に予備データベースを設置することも検討されているそうだ。