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オープンソースで環境管理? ──日本ケミカルデータベースが化学品データベースを構築

2003年06月25日 22時29分更新

文● 編集部

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日本ケミカルデータベース(株)(以下、JCDB)は、ゼンド・オープンソースシステムズ(株)(以下、ゼンド)と協力して、化学品検索データベース『ケミスマート』をLinux、Apache、PostgreSQL、PHPを組み合わせて(LAPP)構築した。これまでのUNIXと商用データベースのシステムから、Linuxベースのシステムに移行した理由などを、同社取締役 営業本部長の阿部信二氏と営業本部統括部長の林秀樹氏にうかがった。

日本ケミカルデータベース(株)取締役 営業本部長の阿部信二氏と営業本部統括部長の林秀樹氏
日本ケミカルデータベース(株)取締役 営業本部長の阿部信二氏(左)と営業本部統括部長の林秀樹氏(右)

ケミカルデータベースへのニーズ

JCDBは、『ケミスマート』をはじめとするケミカルデータベースサービスを提供するほか、企業向けに“MSDS総合管理システム”(※1)自動作成システムの開発事業などを行なっている企業。ケミカルデータベースは1988年より情報整備を開始し、1996年からJCDBがデータベース事業を開始している。

※1 MSDSは“Material Safety Data Sheet”の略で、化学品を利用した製品に、含まれる物質や、その物質が人や環境に与える影響、取り扱い方法などを記載したもので、製品出荷時に添付することが「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(PRTR法)で義務づけられている。

林氏によると、ケミカルデータベースの需要は現在さらに増大しているという。その背景となっているのは、最近の化学物質による環境問題関連の法規制だ。平成11年には「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(PRTR法)が制定され、平成12年よりMSDSの交付が義務化し、平成14年には化学薬品の排出量(大気、土壌、水などの環境に排出された量)や移動量(廃棄物などに含まれて事業所外に移動した量)などの届け出が義務づけられた。MSDSの作成や化学物質排出/移動量管理は、化学薬品を扱う事業者自身で行なう必要があるため、ケミカルデータベースは化学薬品メーカーだけでなく、化学薬品を利用する企業にも必要なものとなってきている。

『ケミスマート』は、化学品の物質名や商標名、性質、製法、取り扱い方法、製造業者、関連法規など、約35万品目の薬品について約250項目のデータをもつ。データベースのメンテナンスは、化学品の知識と関連法規の知識を持つ専門スタッフが行なっており、随時最新の情報に更新しているという。阿部氏によると、同様のデータベースサービスは米国やドイツの政府機関が提供しているものくらいしかないそうだ。利用者は化学品を利用する企業のほか、消防庁や警察庁などの官公庁、研究機関でも利用されている。

JCDBのデータベースはこれまで、専用ネットワーク経由でのアクセスや、FAXによる情報サービス、CD-ROMでのデータ販売などを通じて提供されていた。しかし、CD-ROMではデータの更新が遅れること、利用者からインターネット経由でのアクセスを求める声が大きくなったこと、データベースのメンテナンスに手間がかかっていたことなどから、新規システムの開発を決定したそうだ。

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