現地時間の9月9日より米国、カルフォルニア州サンノゼで“Intel Developer Forum(IDF) Fall 2002”が開催されている。今回は初日のレポートをお届けする。
IDFは年2回、インテルが主催する開発者向けの技術イベント。プロセッサーやチップセットから、パソコンのデザイン全般、ソフトウェアにわたる広範囲な技術についての解説を行なうセッションが中心。技術展示なども行なわれる。
IDFの会場となるSan Jose Covention Center |
同イベントのキーノートスピーチでは、毎回、将来の製品や近々登場する製品についての発表が行なわれる。事前の説明によると今回の主要な話題は、モバイル用プロセッサー“Banias”やPentium 4の3GHzや“ハイパー・スレッディング”、ネットワークストレージといったもの。
初日のキーノートスピーチはインテル社長のポール・オッテリーニ氏
キーノートスピーチの初日は、インテル社長のポール・オッテリーニ(Paul Otellini)氏。このところインテルは、通信市場でのビジネス拡大を目標としており、そのキャッチフレーズは“Convergence”、つまりコンピューターとコミュニケーションの融合である。
初日のキーノートスピーチは、インテル社長のポール・オッテリーニ氏 |
最初のデモは、開発中のBaniasによる試作ノートパソコンのデモ。ステージではデルコンピュータのノートブックが登場。現行の『Inspiron X200』とよく似た薄型の筐体のマシン。そのほかビデオ映像にちらっと松下電器産業の試作機も映った。
キーノートスピーチ中のデモに登場したBaniasによる試作ノートパソコン。デザインなどからみるとデルのマシンのようだ |
Baniasは、現行のモバイル用Pentium IIIがカバーしているような軽量、薄型のモバイルマシンをカバーすることができる。このため、モバイルPentium IIIを使った現行マシンをベースに試作機を作ったのではないかと思われる。
スターバックス社長も登場
通信との融合という点では、コーヒーチェーンの米スターバックスコーヒー社社長のオリン・スミス(Orin C. Smith)氏が登場。米国では、無線LANを使ったインターネットアクセスサービスがスターバックスコーヒーショップで開始されている。これは“T-Mobile(ドイツテレコムの子会社で米国内でGSM携帯電話ネットワークを運営)”が行なうホットスポット(HotSpot)サービス(有料である)。そのアクセスポイントがスターバックスの1200店に設置されているのである。まあ、Baniasのノートパソコンを持って、コーヒーでも飲みに行ってくれということか。
通信とコンピューターの融合ということで、ホットスポットサービスを開始したコーヒーショップチェーン、米スターパックス社長のオリン・スミス氏が登場 |
デスクトップ用プロセッサーでは、年内に“ハイパー・スレッディング”(Hyper Threading。HTと略す)を装備した3GHzのPentium 4が登場予定。デモでは、Pentium 4のクロック周波数を上げていき、4.7GHzで動作することを示し、まだまだ、クロックを上げられることを示した。インテルでは、来年中にメインストリームの25%をHT版のPentium 4としたい意向。また、HTの導入によりPentium 4ブランド自体には変更はないが、ロゴが新しくなり、近々正式名称も発表される予定。
64bit系では、次に登場予定の“Madison(マジソン)”の概要が語られた。それによると現在のItanium 2に比べて30%程度の性能向上があるという。
もう1つのアナウンスは、ハードウェアレベルでのセキュリティー技術である“LaGrande Technology”。プロセッサーとチップセットに含まれるハードウェアでメモリーや実行中のプログラムに対する保護が可能になるという。
続いて登場したのは、米マイクロソフト社のジム・オルチン(Jim Aultine)副社長。タブレットPCなどをデモ |
マイクロソフトが行なった“Freestyle”のデモ。リモコンを使って、パソコンで扱えるさまざまなメディアや機器を制御できる |
今日は初日でもあり、語られたのは概要ばかり、明日からのキーノートスピーチやセッションで詳細が明かになる予定。
IDFは、このところだんだん派手になる傾向が感じられる。今回は最終日のキーノートスピーチにスタートレックの“カーク船長”ことウィリアム・シャトナー(William Shatner)が来る予定だとか。