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【IDF Fall 2002 Vol.4】最終日はあの“ジンジャー”に乗ってゲルシンガーCTOが登場――ゲストはカーク船長

2002年09月16日 04時44分更新

文● 塩田紳二

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IDF最終日は、インテルの研究部門が中心。技術開発を担当するパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏の登場である。キーノートが始まると、ゲルシンガーは、“Segway”(あの“ジンジャー”である)に乗って登場。上着にはさまざまなデジタルデバイスを身につけ、これを1つ1つ取り出しながらデジタル時代について話し始める。

ゲルシンガー登場ジンジャーこと、Segwayに乗ってパット・ゲルシンガー登場
デジタル時代を語るゲルシンガー
さまざまなデジタル機器を身につけてデジタル時代を語るゲルシンガー

その後、メインゲストである“カーク船長”ことウィリアム・シャトナー(William Shatner)氏が登場、やはり米国人はスタートレック好き、結構盛り上がる会場。うーん、でも、ずいぶんと歳とったなぁ。かなり太ったみたいで、かつてのテレビ番組『スタートレック』(日本では『宇宙大作戦』って題名で放送してたんだけど)で着ていたような身体にぴったりとした服はもう無理かなぁ。

カーク船長カーク船長ことウィリアムシャトナー登場。ちょっと著書の宣伝っぽい
コミュニケーター
“コミュニケーター”(スタートレック中で使われた通信機器)といって取り出したのは、折りたたみ式の携帯電話。そういえば、コミュニケーターによく似ている
クリンゴンはいなかった
大丈夫、調べましたけど聴衆の中に“クリンゴン”(スタートレックの敵役宇宙人)はいませんでした

さて、本題は、インテルの研究開発について、パット・ゲルシンガーは、現在、インテルのCTO(Chief Technology Officer)。彼が率いるCorporate Technology Groupは、技術開発だけでなく、IDFも管轄している。それで年々、IDFでは、研究開発関連の話題が増えている。

前回、今年2月のIDFで披露した“Redio Free Intel”、つまり、シリコンで無線回路のすべてを実現するコンセプトについて、その後の進展が語られる。インテルでは、アンテナまでシリコンで作り、デバイスチップの中に無線機能をすべて入れてしまうことを構想している。試作した5GHzのトランシーバーを見せ、来年には、アンテナの直前の部分であるフロントエンド部分をシリコン上に載せたデモが行なえるだろうと予測した。その後、ベースバンド処理(周波数を変換したのちの復調、変調部分)をシリコン化することで無線回路のシリコン化が完了する。そして、現在研究しているのが、シリコン上に作るアンテナである。

5GHzの送受信機
シリコンで作った5GHzの送受信機

インテルの研究のもう1つの方向は、“Photonics”(光技術)である。銅線を使った信号の伝達は、そろそろ限界が見え始めた。10G~数10GHz以上となると、銅線を使った信号伝達が困難になるため、光を使って回路を構成する必要がある。しかし、光自体はまだ、電気のように制御が行なえるわけではない。さまざまなロジックを構築するための素子を開発せねばならない。インテルは、最終的には、すべての光回路、電子回路をシリコン上に作ることを計画している。

Sunlin Chou氏
Technology & Manufacturing Group副社長のサンリン・チョウ氏

さて、こうした技術に必要になるのは“ナノテクノロジー”と呼ばれる技術。これについては、Technology & Manufacturing Groupのサンリン・チョウ(Sunlin Chou)氏が解説を行なった。ナノテクノロジーとは、簡単にいえば、ナノメートル(nm:100万分の1ミリメートル)のサイズの構造を作る技術全般を指す。このときに重要になるのがマスクを使って回路を形成するためのリソグラフィーという技術。簡単にいえば、LSIとは写真のようにマスクをシリコンの上に置き、そこに光を当てて、素材を感光させ、パターンを作る。しかし、マスクパターンが小さくなればなるほど、波長の短い光を使わねばならない。インテルは、他社と共同で“EUVL(Extreme UltraViolet Lithography)”のコンソーシアムを結成し、共同研究を行なっている。

ナノプロセスのシリコンの断面
ナノプロセスのシリコンの断面。白く見えるところがトランジスター間をつなぐ銅配線

このEUVLでは、マスクは、従来のように光を通す形ではなく、光を反射するものになる。つまり、光を反射する、しないで感光を行なわせるわけである。このために作られたのが、シリコンとモリブデンを交互に重ねたもの。当日は、参加者全員にこのEUVLマスクが封入されたキーホルダーが配られた。

EUVLマスクを封入した記念品
会場で配布されたEUVLマスクを封入した記念品

さて、前回報告したデュアルバンド無線モジュールだが、“Calxico”とは、カリフォルニア南部にある市の名前で、カリフォルニア(California)とメキシコ(Mexico)を組み合わせたのが語源という。発音は“カレキシコ”や“キャラクシコ”」正しい(言っているのを聞くと“キャラセコ”としか聞こえないんだけどね)。これは、IEEE 802.11bとIEEE 802.11aの2つの開発チームの所在地の中間がちょうどこの当たりになるからという関係者もいる。

さて、今回は、ポール・オッテリーニ(Paul Ottellini)氏が社長になって初めてのIDF。なんとなく今までのIDFとは違うものを感じる。最終日の研究開発を除けば、短期的な製品についての話が中心で、少し先の話が少なかったような感じがある。OEMは、すでに来年登場する製品についての情報は入手しているはずで、だとすると、もう少し先、2004、2005年ぐらいの先の話があってもいいような気がする。特にこれからのIA-64系は、“Madison”の次のプロセッサーのコードネーム“Montecito”は出たものの、その概要はほとんど語られなかった。今回のテーマは、“Convergence”とプロセッサービジネスと通信ビジネスの融合ということだが、インテルが欲していること(ビジネス)の方向性は分かるが、技術的な動向はちょっとはっきりしない。アナリスト向けにはいいのかもしれないが、エンジニアや我々にとっては、少し内容不足を感じる。これが経理関係出身のポール・オッテリーニの“味”なのかもしれないが……。

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