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【IDF Spring 2002 Vol.3】次世代Pentium 4“Prescott”はHyper-Threadingをサポートして2003年登場

2002年02月28日 23時43分更新

文● 塩田紳二

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“IDF Spring 2002”3日目(米国時間27日)のキーノートスピーチのテーマは“クライアント”。今日は、デスクトップやモバイルなどのクライアントマシンの話題が中心だ。

次世代Pentium 4“Prescott”を4GHzでデモ

副社長兼デスクトップ製品事業本部長のルイス・バーンズ氏
副社長兼デスクトップ製品事業本部長のルイス・バーンズ氏

この日最初に登場したのは、副社長兼デスクトップ製品事業本部長のルイス・バーンズ(Louis Burns)氏。まず、現行のPentium 4(Northwood)後継のプロセッサーである“Prescott”について触れた。Prescottは、Pentium 4をベースにしたもので、90nm(0.09μm)プロセスで製造する。最大の特徴は、Hyper-Threading機能(※1)が使えるようになっていること。インテルによれば、Hyper-Threadingによって30%程度の性能向上があるという。このため同クロックのPentium 4よりも高速になる。ただし、そのためにはOSがマルチプロセッサーに対応している必要がある。Windows XP Professional以上であれば問題はないと思われるが、Windows XP HomeやWindows 9x/MEなどではそのメリットが得られない。

※1 Hyper-Threading:IDF Fall 2001で明らかにした機能で、1つのプロセッサー上で複数のスレッドを平行して実行できる機能。Hyper-Threadingに対応したプロセッサーは、OSからは2つのプロセッサーがあるように見えるという。スレッドはプログラムを実行する際に、OSが管理している最小の単位。

Prescottの概要。最大の特徴はHyper-Threadingが導入されること
Prescottの概要。最大の特徴はHyper-Threadingが導入されること

Prescott登場は2003年の下半期、1年以上先であるため、さすがにそのころには新製品で9x系のOSを搭載した機種はないと思うが、XP Professionalをプレインストールしたハイエンドデスクトップとして登場すると思われる。

Prescottが4GHzで動作するというデモ。とはいえ表示が4GHzになるだけ。すでに画面やグラフィックスでプロセッサー性能を見せることができなくなり、最近はこうした数字だけでクロックを見せるしかないのだ
Prescottが4GHzで動作するというデモ。とはいえ表示が4GHzになるだけ。すでに画面やグラフィックスでプロセッサー性能を見せることができなくなり、最近はこうした数字だけでクロックを見せるしかないのだ

デモでは、このPrescottを4GHzで動作させていた。IDFではよくあるデモだが、画面上の数字が4GHzとなるだけのこと。また今回は、いつものように壇上で動作させるライブデモではなく、ビデオ上映であり、まだまだ完成度は低いようだ。。

SFFマシンのためのリファレンスモデルを披露

インテルが開発した空力特性を重視した新しいヒートシンク
インテルが開発した空力特性を重視した新しいヒートシンク。ヒートシンクもいよいよ本格的な技術競争の時代に突入か。それはいいが、ユーザーは何を基準にして選べばいいのだろう?

さらに、省スペースマシン(Small Form Factor:SFF)のための研究成果も紹介した。省スペースではプロセッサーの廃熱が最大の問題となる。このために新しくヒートシンクを設計し、さらにマザーボードや匡体の構造も見直した。ヒートシンクはタービンのような構造で、下の部分にプロセッサーにより強くエアフローを当てるためのひねりまで付いている。中心部分は、銅とヒートパイプ技術を使い熱伝導性を向上させている。

ヒートシンクの実物
ヒートシンクの実物。その中心部分は銅になっており、ヒートパイプの技術が使われている。プロセッサーの銅配線プロセスに続き、ヒートシンクも銅の時代か

また小さな匡体としては、前方から空気を取り入れ、マザーボードの前方にプロセッサーを配置、そこにダクトを使ってエアフローを当てて、それを後方と電源ユニットを経由させ逃がすというものが紹介された。ここまでくると“ガワ”は違っても中身は同じというパソコンになってしまう。インテルとしては、ケースを含めたリファレンスモデルを提供する予定で、そうなると、この冷却方法に対応したケースが秋葉原などに並ぶことになると思われる。

発熱量の多いプロセッサーを小さな筐体に入れるためのリファレンスモデル
発熱量の多いプロセッサーを小さな筐体に入れるためのリファレンスモデル。本体正面(写真左側)から空気を取り入れ、最初にCPUにダクト(黒い部分)を使ってエアフローを当てる
筐体内の空気の流れをシミュレーションしたもの
筐体内の空気の流れをシミュレーションしたもの。プロセッサーを冷やした後、側面や後方、電源部分を通るようになっている
その外観。下の青い部分が空気の取り入れ口
その外観。下の青い部分が空気の取り入れ口

また、さらに次世代のシステム内高速I/Oバス技術“3GIO(3rd Generation I/O)”が採用された場合のリファレンスモデルとして、“Big Water”というリファレンスモデルを“IDF Fall 2002”で公開する予定だという。これは、3GIOで接続される拡張デバイスをケースに入れ、それをスロットに差し込んで拡張を行なうものだ。

3GIOに対応したコンセプトモデル“Big Water”
3GIOに対応したコンセプトモデル“Big Water”(コードネーム)。2004年に登場するパソコンの基本形となる

Baniasは登場せず

次に登場したのは、副社長兼モバイル製品事業本部長のアナンド・チャンドラシーカ(Anand Chandrasekher)氏。近々発表予定のモバイルPentium 4(Pentium 4-M)を紹介した。このモバイルPentium 4では、従来のPentium 4にSpeedStepとDeeper SleepおよびAlert Stateを搭載したもので0.13μmプロセスで製造するという。簡単に言えば、現在のモバイルPentium IIIの追加機能を搭載したPentium 4だ。また、インテルとしては、ノートマシンの主力は“Thin & Light”と呼ばれる高性能薄型マシンに移ったと主張。Full Size Notebookが主力としていた従来の見解を改めた。

モバイルPentium 4は、従来のPentium 4の持つ特徴とモバイルPentium IIIの機能(紫と青の部分)を組み合わせたものだ
モバイルPentium 4は、従来のPentium 4の持つ特徴とモバイルPentium IIIの機能(紫と青の部分)を組み合わせたものだ

ただ、何らかの説明があると期待したモバイル専用プロセッサー“Banias”についてはあっさり触れただけ。紹介があったのは、Banias用のチップセットである“Odem”である。ただしOdemの紹介で見せたリファレンスマザーボードには、BaniasではなくNorthwoodに“ゲタ”を履かせたものが載っていた。これから推測すると、バスや信号は現在のPentium 4に近いものではないかと思われる。

時間軸に対してモバイル機能(性能、バッテリー寿命、サイズ、ワイヤレス)の向上を示す図
時間軸に対してモバイル機能(性能、バッテリー寿命、サイズ、ワイヤレス)の向上を示す図。モバイルPentium IIをモバイルPentium IIIが置き換え、それをモバイルPentium 4が置き換えることを考えると、BaniasがモバイルPentium 4を置き換えるように見える

Baniasは将来、モバイルPentium 4を置き換えるということらしく、スライドでもそれを伺わせるものがあった。今回あまりBaniasについて触れなかったのは、BaniasがモバイルPentium 4を置き換え、モバイル用の主力プロセッサーとなるからであろう。これはメインストリームノートがモバイルPentium 4に最適なFull Size Notebookではない、ということとも符合する。2003年、つまり来年にはBaniasが登場し、これがノートマシンの主力プロセッサーとなる。モバイルPentium 4は、Baniasが登場するまでの“つなぎ”として存在し、Banias登場以後は、メインストリームの座から滑り落ちたFull Size Notebook用として残るということではないだろうか(Baniasの性能次第ではFull Size Notebookでも使われる可能性はある)。

Banias用のチップセットOdemを使った試作ボード
Banias用のチップセットOdemを使った試作ボード。写真では隠れているのだがプロセッサーはBaniasではなくNorthwoodにゲタをはかせて使っていた。バスはPentium 4に似たものになる可能性が高い

なんだか今年は、人に「ノートパソコンはどれを買えばいい?」と聞かれて返答に困る年になりそうだ。

インテルとしては、ノートパソコンにも無線LANが搭載され、これが屋外(IEEE 802.11bを使った無線プロバイダーとの接続)、屋内(IEEE 802.11aまたは11b)で常にネットワークに接続するといった使われ方を想定しているそうだ。そのため、ユーザーが直接操作していないときでも無線部分が生きていて、通信がすぐに可能になるような“携帯電話”的な使い方になるとしており、携帯電話並に長時間の“スタンバイタイム”(携帯電話で言う待ち受け状態)が可能なマシンを当面の目標とする。このために、さまざまな技術を提供し“Intel Mobility Program”開始する。これはインテルがガイドラインを作成し、それを実現するために業界のさまざまな企業と共同で作業を行なうもの。すでにプロセッサーやチップセットなどの低消費電力化は限界にきており、ディスプレーとHDDがノートマシンの消費電力の半分以上を占めている状態。これ以上の長時間運用を可能にするには、もはやインテル単独では限界となったのであろう。

ただ、その話はもう2~3年前からあるもので、インテル自身がようやくリーダーシップを取らないとどうにもならないことをようやく理解したということなのだろう。実際、低消費電力化のセッションでは、バックライトの明るさ制御は16段階以上にしろとか、ハードディスクなど複数電源電圧が必要なデバイスは、デバイスまかせにすると、効率が悪いので、マザーボード側で複数電源を用意して供給すべきなどという話が行なわれていた。なんだか、ケチな姑の小言のような状態にまでなってきた感じ。もっとも、そうしないとこれ以上バッテリー寿命を伸ばすのは無理ということなのだ。

ショーケースでは日立が水冷ノートを展示

日立の水冷ノートパソコン
日立の水冷ノートパソコン。これは展示用に液晶部分の背を透明にしたもの。全面に見える金属板の下に水の流れるパイプが通っている

さて会場のほうだが、いくつか珍しいものがあった。1つは、(株)日立製作所の水冷ノートパソコンである。これはプロセッサーの熱を水を使って液晶パネルの裏にあるラジエーターに逃がすもの。水には凍らないように自動車の不凍液のようなものが入れてあるとのこと。なんでも、スーツケースに入れて飛行機の貨物室に入れた場合に水が凍る可能性があるのだとか。また、液晶パネル裏には大きなタンクがあり、ここに水が溜められている。どうしても長期間経つと水が蒸発してしまうのだが、最低でも、想定している本体寿命の5年間は絶対に無くならない量の水が入っているのだそうだ。

水が入ったタンク部分
水が入ったタンク部分。5年間ぐらいは水が無くならないようになっているとか

もう1つXScaleブースには、同じく日立が開発中のWindows CE機が展示されていた。正面は液晶ディスプレーのみで全体的にコンパクトだが、上部にはCFスロット、サイドにはジョグダイヤルやボタン、SDカードスロット、底面にはシリアルやUSB端子らしきのもの(あるいは電源?)まである。これで無線LANを内蔵しているというのだから、意外に盛りだくさんの印象。サイズは米パーム社の『m500/505』程度で、米コンパックコンピュータ社の『iPAQ』よりも上下が短い。企業向けと言わずに一般向けにも販売してほしいが、日立が企業向けとした理由は、その価格なのかも。現在は、Palm機の値下がりを受けて、PDA市場は価格低下傾向にある。ここにこんなに盛りだくさんの機能を持った機種を投入しても、価格が厳しいからではないか。企業向けなら、ある程度の数をまとめて出せるのでなんとかなるが、1つ1つ売る一般ユーザー向け販売は難しいと感じているのではないだろうか。

日立のWindows CEマシン
日立のWindows CEマシン。残念ながら電源は入らなかった。上、左、下側面にはコネクターなどが配置されているが正面は液晶のみでシンプルな感じ

もう1つは、米シンボルテクノロジーズ社の試作機。ミニキーボードを液晶ディスプレー下に持ち、カメラを内蔵しているものだ。米シンボルテクノロジーズはバーコードリーダーやカードリーダーのついた業務用Palm OS機やWindows CE機を作っている。実際、会場でも同社のマシンが参加者バッジ(クレジットカードのように磁気スリップが付いている)のチェックでも大活躍していた。

米シンボルテクノロジーズ社のXScale試作機。上部にカメラが内蔵されている
米シンボルテクノロジーズ社のXScale試作機。上部にカメラが内蔵されている。OSにはWindows CEを使っているようだ。画面にはカメラを構える筆者が写っている

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