もともと、Kondaraプロジェクトはディストリビューションを作るプロジェクトではなかった。初めは、少数の有志がRaw Hide (Red Hat Linuxの開発バージョン) をハックして、基本的なライブラリを消してしまうような壊滅的被害を被りつつも、Raw Hide向けのパッケージ集を配布していた。ところがしだいにKondaraプロジェクトのメンバー (俗に「コンダラーズ」と呼ばれる) も増えてきて、ディストリビューションとしてリリースすることを決めたという、少し変わった経緯を持つディストリビューションなのだ (オープダラースでは、Linuxのように個人的なプロジェクトが大きく成長するのは珍しくないが、商用製品が多いディストリビューションの世界では、そのようなことが比較的少ない)。
そもそもKondaraという名前は、「巨人の星」主題歌の歌詞「思い込んだら試練の道を」を「重いコンダラ試練の道を」と勘違いしていたことに由来している。また、KondaraプロジェクトのWebページも見てほしい。「ぐはぁ (吐血)」「ほげる」(ハックする) といった変なスラングが散りばめられているのだ。
では、彼らコンソラーズが真面目にディストリビューションを作っていないのかというと、そうではなく、実用的なディストリビューションを製作しているのである。まずは、その特徴を見てみよう。
最新版のソフトウェアが利用できる
Kondaraは、Red Hat Linuxの開発バージョンである「Raw Hide」をベースにしていることもあって、収録されているソフトウェアはほとんど最新版ばかりだ。たとえばLinuxカーネルのバージョンは2.2.13 (安定版の最新バージョン) だし、ほかにもglibc 2.1.2、bash 1.14.7および2.03、Netscape Navigator 4.7、XEmacs 21.1.8、Apache 1.3.9、GTK+ 1.2.6、Ruby 1.4.2など、最新のソフトウェアが数多く収録されている。なかには、GIMP 1.1.11のようにベータの最新版しか収録されていないものすらある。
となると、はたして安定して動作するのか気になるところだが、安定動作が確認されたソフトウェアのみを収録しているので心配する必要はない。フリーソフトの開発版は (バイナリのみの商用ソフトとは異なり) 極端に不安定ということは少ない。むしろ十分に実用可能なほど安定していて、正式版より利用者が多い場合もあるのだ。先端の機能を利用できることを考えれば、新しいソフトを使いたいユーザーにとって、Kondaraはかなり魅力的だろう。少なくとも、ディストリビューションにデフォルトで含まれていることから、あとから自分で開発版をインストールするより安心できることは間違いない。
オープンな開発体制
Kondaraの開発は、メーリングリストやチャットによって進められており、誰でも自由に参加することができる。開発中のスナップショットも公開されているので、自己責任においてソフトウェアを常に最新に保つことも可能だ。
Red Hat Linuxとほぼ互換
また、Red Hat Linuxの開発バージョンであるRaw Hideをベースにしているだけに、Red Hatとの互換性も高く保たれている。パッケージ構成が異なるため完全互換とは言いきれないが、ほとんどのアプリケーションはまず問題なく動作するだろう。
製品の仕様は次のとおりだ。
名称 | Kondara MNU/Linux 1.0 |
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開発 | Kondaraプロジェクト |
販売 | デジタルファクトリジャパン |
動作環境 | PC/AT互換機およびAlphaPC |
製品構成 | CD-ROM 3枚 (PC/AT互換機バイナリ、AlphaPCバイナリ、ソース)、ブートフロッピー、マニュアル1冊 ほか |
サポート | X Window Systemが起動するまでのサポートを、FAXまたはメールにより90日間3件まで受け付ける (PC/AT互換機版)。なおAlphaPC版はサポートしない |
主な商用ソフトウェア | Dynalab DynaFont 4書体 |
価格 | 6800円 |
なお、サポートを行なうのはデジタルファクトリジャパンで、Kondaraプロジェクトではないことに注意してほしい。Kondara Usersメーリングリストに質問を投げれば誰かが答えてくれるとは思うが、それはあくまでボランタリなものである。また、サポート権や商用フォントなどが付属しないものは、FTPで入手可能だ (ただし数100MBあるので、おそらく専用線が必要だろう)。また、商用パッケージでも、商用フォント以外は基本的にコピーフリーである。