Windows 7ではDirectX 10.1を採用
Windows 7では、マルチメディアAPIとして「DirectX 10.1」が採用される。またビデオドライバーの仕様は「Windows Display Driver Model 2.0」(WDDM 2.0)へと更新されている。
WDDM 2.0では、デスクトップをWindows Aero表示にしていても、メモリーをあまり消費しないよう改良されている。WDDM2.0への移行により、多数のウインドウを表示しても画面がAero Basicに切り替わることはない。またWindows 7では、各ウインドウを合成してデスクトップを作り出す「Desktop Window Manager」(DWM)を改良して、消費メモリーの削減とパフォーマンス向上を実現している。
またDirectX 10.1では、「DirectWrite」と「Direct2D」という機能が追加されている。
DirectWriteはテキスト表示を、16bit自体からあるWindowsの標準グラフィックスAPI「GDI」ではなく、DirectXを使用して行なう。これにより、フォントスムージング機能「ClearType」の処理をしても、高速にテキスト表示できる。
また、今までGDIやGDI+を使って表現されていたビットマップ表示や線描画などは、Direct2Dによって描画される。
もちろん、これら機能を使うには、アプリケーション側が対応しなければならないが、GPUの機能を利用できるため、パフォーマンスは向上する。古い世代のGDI/GDI+やWin32 APIから、DirectXや.Net Frameworkといった新しいアーキテクチャーへの移行を促すという面があるだろう。
現在のWindows 7では、旧来のフレームワークと新しいフレームワークが共存している。しかし将来的には、DirectXや.Net Frameworkへと全面移行するだろう。もしかすると、Windows 7の次世代では、GDI/GDI+やWin32 APIはエミュレーションされて、後方互換性維持のためだけに残されるかもしれない。そうなれば、マイクロソフトが「Longhorn」(Vistaのコードネーム)で目指した理想が実現するのかもしれない。
Windows 7はDirectX 10.1を採用するが、DirectX自体はすでに、その先のDirectX 11の開発が進んでいる。DirectX 11は今年後半からβテストを開始するため、Windows 7のスケジュールには間に合わないのかもしれない。DirectXが安定していないと、サードパーティのアプリケーションのテストも進まないからだ。
エクスプローラの改良と
付属アプリケーションのリボンUI化
UIの変更に比べれば小さいが、使いやすさの向上につながるのがエクスプローラの改良だ。
Vistaのエクスプローラでは、ファイルを大/中/小のアイコンで表示した場合、上下のスペースを“できるだけ空けようとする”ため、長いファイル名が途中で切れてしまうことが多々あった。
これがWindows 7では、スペースを空けずに長いファイル名を表示できる。ファイル名が途切れて分かりにくいこともなくなる。小さな改良だが、いつも使う機能が分かりやすくなったのは評価できる。
OS付属アプリケーションも大きく変わっている。Windows 7では、Vistaと同時期に登場した新しいグラフィックプラットフォーム「Windows Presentation Foundation」(WPF)を使って、Office 2007で採用された「リボンUI」を簡単にアプリケーション上で実現するAPIが用意された。
それを利用して、Windows 7付属の「ペイント」や「ワードパッド」などがリボンUIに変更されている。
ただし、Windows 7の付属アプリケーションのすべてが、リボンUIになったわけではない。リボンUIが有効と考えられたアプリケーションが変更されている。またこれは、サードパーティーに対して、「アプリケーションのUIにリボンUIを採用してほしい」というメッセージでもある。
表示に関するそのほかの新機能では、Windows 7はパソコンをプロジェクターや追加のディスプレーに接続するのが、より簡単になっている。例えば「Windowsキー+Pキー」を押せば、ディスプレーの変更ウインドウが表示される。
変更ウインドウでは、「同じ画面をプロジェクターに表示する」「セカンダリディスプレーとしてプロジェクターを使用する」「プロジェクターのみに画面を表示する」などのモード選択が簡単にできる。
次回は各種デバイスに関して解説する。
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