Server 2008 R2は2010年登場
WinHEC 2008の2日目に行なわれた基調講演は、サーバー系がテーマだった。話題の中心は「Windows Server 2008 R2」(以下2008 R2)である。Server 2008 R2は、既存の「Windows Server 2008」のマイナーバージョンアップ版だが、Windows 7やAzureの陰になるのか、PDCでも存在感が薄かった。
まずロードマップだが、Server 2008 R2は2010年出荷の予定だ。Windows 7が2009年末と言われているので、その後という感じだろう。現時点では、クライアントもサーバーもOSカーネルは同じで、Windows 7としてクライアント版を出したあと、サーバー版の 2008 R2を出す、という流れになっている。
そのため、Windows 7に入る機能でサーバーでも利用可能なもの(例えば電力管理機能)は、そのままServer 2008 R2にも入る。ユーザーインターフェースについての話はなかったが、Windows 7での改良を受けて、同じものが搭載されるのではないかと思われる。
なお2009年には、現在のWindows Server 2008用のService Pack 2が登場の予定だ。
Server 2008 R2は256 CPUまで対応
基調講演では、Server 2008 R2をサーバーとして、Windows 7に搭載される「Branch Cache」のデモなどが行なわれた(Branchは支所、支店の意)。これは、本社側のServer 2008 R2サーバーが提供する共有ファイルなどのアクセスを、支店などの単位でキャッシュ。さらに支店内のWindows 7同士でキャッシュを共有する機能だ。
一台のWindows 7クライアントが本社サーバーからファイルをダウンロードしたら、ほかのWindows 7が同じものをアクセスする際には、いちいち本社側へアクセスせずに、最初にダウンロードしたWindows 7からファイルを受け取る。これにより、本社~支店間の通信量を削減できる。このBranch CacheはWindows 7のみで行なうことも、支店にもServer 2008 R2サーバーを置いて、ここで行なわせることも可能だという。
また、Xeonを採用したIBMのサーバー(6コア×32プロセッサー)やHPのItaniumサーバー(2コア×64プロセッサー。ただし各コアは2スレッドのSMT)で、64を越えるプロセッサーコアを動かすデモも行なわれた。現在のWindows Server 2008では、Data Center Editionでも最大64コア(SMTを含む)までしか対応できなかった。それがServer 2008 R2では、最大256ロジックプロセッサ(つまり同時256スレッド)まで対応する。
ただしデモで披露されたのは、タスクマネージャ上で単なる格子が表示されているようにしか見えない大量のCPUメーターだけ。筆者は当初これを見て、プロジェクターの表示調整用のメッシュの表示かと思った。それが実は、CPUの負荷グラフが256個(16×16)並んだものだったわけだ。
今回のWinHECのセッションは、大半がWindows 7向けだった。直前のPDCでは、Server 2008 R2はほとんど扱われず、WinHECでようやく基調講演に登場した程度の扱いだった。もっとも、PDCで「Windows Azure」を発表し、「これからはクラウドだ!」と持ち上げたあとでは、パッケージOSであるServer 2008 R2は、アピールしにくいのかもしれないが……。
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