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昆虫撮影のマクロな魅力──デジカメ撮影術

2008年07月31日 17時16分更新

文● 斉藤博貴

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カブトムシを撮るカメラ


 カメラはAPS-Cやフォーサーズなど、比較的小型の撮像素子を搭載するデジタル一眼レフカメラがオススメだ。高速+高精度のAFを搭載するならより好ましい。具体的に言えば、F2.8センサー搭載モデルとF2.8以上の大口径レンズの組み合わせがベターだ。

機材イメージカット

EOS 5Dにシグマ50mm F2.8 EX DG マクロ装着。スピードライト550EXに自転車用ライトを装着したもの

 撮影はすべて手持ちで行なう。三脚をセットするところから始める悠長な撮影では、動けない事情のある昆虫でない限り逃げられてしまう。手ぶれ補正機能はあればあったで良いかも知れないけれど、筆者の経験によれば不可欠な要素ではない。

 ただし、クリップオン・ストロボ(外付けフラッシュ)だけは欲しい。夜の部、早朝の部のどちらでも必要なのだ。日中の撮影でも、カブトムシの甲冑の色のりを良くするために有効である(その場合は日中シンクロする)。逆光になったり影になりやすい下半身(お腹側の下半分のこと)の描写を鮮明にする効果も期待できる。

 筆者はストロボを、カメラやレンズ以上に大切な要素と考える。理由は後で詳しく述べるが、可能な限りの光量が欲しいため。もし、所有していないようなら内蔵フラッシュを使用して、撮影感度を高めに設定するだけでもOK。ただし、レンズフードや長いレンズはストロボの光を遮って、被写体に影を落としてしまうので、注意したい。

自転車用ライト

筆者愛用の自転車用ライト。全国の100円ショップで入手可能

クリップオン

この自転車用ライトをクリップオン・ストロボにテープで貼り付けるのだ。貼る角度で光軸を調整するのがミソ。撮像素子面から50cm前後に合わせておくと便利

 もし、より自然な描写で撮りたいなら「ストロボ用バウンサー」や「ディフューザー」などを試す価値があるかも知れない。しかし、筆者は少しでも光量をロスしたくないので使わない主義だ。

 それから小型の懐中電灯。カブトムシを見付けたらAFのアシスト・ライトとして使用する。筆者は100円ショップで購入した自転車用ライト(単三電池を4本入れるタイプ)を常備している。これはレンズの軸に合わせてクリップオン・ストロボの上部にテープで固定する。なお、カメラ内蔵のAF補助光だけではこの撮影のピント合わせには光量不足だ。

 今回は接写用アクセサリーなど、高価でありながら一般的な人生には貢献する機会の少ない道具は使わない。一般的なデジタル一眼レフユーザーが入手済みの機材だけでセットを組みたいと思う。ちょっとした夜間昆虫撮影遊びに、それほどコストをかけていられないというのが本音だ。



レンズは標準ズームでもOK


 レンズは「普及クラスの標準ズーム」「F1.8クラスの安価な標準レンズ」「焦点距離50~105mmの各種マクロレンズ」と言った3種類の中のどれか1本をオススメする。ストロボの光の影を作る原因となるレンズ・フードは装着しない方が良い。

シグマのマクロレンズ

マクロレンズの「シグマ50mm F2.8 EX DG マクロ」。この辺りが取り扱いが楽で良い。実売価格も手ごろなのがうれしい。ズームはできないけれど足で前後してフレーミングを整えられる

(1)デジタル一眼レフカメラレンズキット同梱の標準ズーム
この手のレンズの多くは接写能力に優れる製品が多い。ズームテレ端で撮像素子面から約40cmまで近付けるのが良い。今企画で提案する撮影方法を採用するなら、実は描写能力だけで比較すれば、より高価な大口径レンズとの差はほとんどない。何より、誰でも持っているのがいい。
(2)F1.8クラスの安価な標準レンズ
カメラのファインダーから見える像が明るいのが良い。懐中電灯で照らし出された被写体を追うには最適なレンズだ。キヤノンのEF50mmF1.8(II)なら新品で購入しても1万円前後と安い。なお、予算的な制約がないならシグマ50mm F1.4 EX DG HSMなど、F1.4級の方がいい。
(3)焦点距離50~105mmの各種マクロレンズ
F2.8ならファインダーから見える像もボチボチ明るい。近接撮影時の描写能力に特化した設計がほどこされているので一番キレイに撮れる。個人的な印象だが、カブトムシと背景を一緒に撮るならとてもシャープな描写のシグマ50mm F2.8 EX DG マクロが好き。カブトムシだけを撮るなら後ろのボケがキレイなタムロンSPAF90mmF2.8マクロあたりがいい。

 なお、撮影地でのレンズ交換はカメラ内にゴミが混入するのでやめた方が良い。

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