塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤” 第13回
塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤”
写真の点と枠
2008年08月17日 15時00分更新
申し分のない画質と操作性を備えた両者。撮っていて気持ちいいGRDと、撮っていて楽しいGX100。どちらも「これを持って旅に出たい」と感じさせるカメラだ。遠くに旅に出かけられなくても、このカメラを持っているだけで、日々の外出が旅になる。
いいカメラを手にすると「いい写真」が撮れそうな気がする。確かにGRDのように高品質なレンズのカメラで撮れば、写真の品位も高まりそうだ。またGX100の24mmレンズはほかのコンパクトカメラよりも広角だから、ほかでは捉えられない視野を写せるし、スクエアフォーマットの写真は不思議と芸術の香りが漂う。
でも、いいカメラの基準は「いい写真」を撮れるかどうかではない。コントロールのしやすさだ。操作にダイレクトに反応するか。撮影者の意図を的確に反映してくれるか。写真を思いどおりに撮れる道具として洗練を極めてこそカメラの品質である。GRDやGX100は現在のところ、私にとって最もコントロールしやすいカメラだ。それゆえ日々、使い続けているのである。
どんなカメラであっても、それで何を撮るかは撮る人の自由。「いい写真」の絶対的基準なんて存在しない。デジタルカメラやカメラ付き携帯電話の普及で、写真に対する価値観も多様化している。だから、自分が撮りたいものを撮りたいように撮れればそれでいい。写真の撮り方も何をいいと思うかも、人によってまちまちだ。
とはいえ、私のブログをご覧になった方々から「いい写真」を撮るコツを教えてほしい、といった質問をいただくことも多い。そこで、ここでは小手先のコツなどではなく、私の写真の撮り方そのものをお伝えしよう。
(次ページに続く)
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