塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤” 第22回
塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤”
失敗の創造性
2008年10月19日 15時00分更新
失敗は創造のもと。失敗は成長のもと
失敗は成功のもと。失敗するほど、失敗しにくくなり、成功に近づける。
失敗は創造のもと。失敗するほど、表現が洗練されて、完成度が上がる。
人生に失敗はつきものだ。エラー、失言、ミス、失策、へま、ドジ……。いろんな失敗があるけれど、長い目で見れば失敗は人生の糧になる。前進するためのエネルギーでもある。失敗は成長のもとなのだ。
従って、たくさんの失敗を積み重ねられる環境は人を成長させ、創造性を高めてくれる。とりわけ、仕事の道具は大切だ。その点、Macは失敗に寛容なシステムだ。いやむしろ、失敗を歓迎し、失敗してみることを勧めるツールというほうがふさわしい。
もっとも単純な例は、各ソフトの「編集」メニューにある「取り消す」メニューの存在だ。英語だと「undo(アンドゥー)」。いま行った動作を取り消し、ひとつ前の状態に戻すというコマンドだ。これがあるおかげで、「とりあえずやってみよう」という気持ちになれる。
創造の道具として「やり直しがきく」という機能はきわめて有益だ。思いついたことをまずはやってみて、かたちにしてからその結果を見て決められる。心行くまで「試行錯誤」を繰り返せるのだ。試行錯誤によって思考を熟していくのである。
これは、Macが「WYSIWYG(ウィジウィグ)」を重んじてきたことと関係が深い。WYSIWYGとは、「What You See Is What You Get.」の略。日本語にすると「いまあなたが画面で見ているものが、まったくそのままのかたちで得られますよ」という意味だ。
たとえば、ワープロソフトで文字や写真をレイアウトしたときに、それをプリントアウトしたとすれば、いま画面上に映し出されているものとまったく同じである、ということ。書面へのプリントだけでなく、写真のレタッチでも、パワーポイントのスライドでも、音楽制作でも、ムービーの編集でも、およそ画面表示とアウトプットが一致しているのがWYSIWYGだ。
(次ページに続く)
この連載の記事
-
最終回
iPhone/Mac
公開の価値 -
第23回
iPhone/Mac
教養のチカラ -
第21回
iPhone/Mac
肯定力 -
第20回
iPhone/Mac
自分と相手のエンジョイ -
第19回
iPhone/Mac
創造的Leopard -
第18回
iPhone/Mac
著作権法をポジティブに -
第17回
iPhone/Mac
写真は未来を写す -
第16回
iPhone/Mac
デジタルの時間軸 -
第15回
iPhone/Mac
音楽・写楽・楽校・楽問 -
第14回
iPhone/Mac
DRMのない音楽配信 - この連載の一覧へ