塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤” 第15回
塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤”
音楽・写楽・楽校・楽問
2008年08月31日 15時00分更新
作品の鑑賞も創作も楽しめる、Macは「楽しさ増幅装置」

音楽は「音」を「楽しむ」と書く。聴いて楽しい、歌って楽しい、弾いて楽しい、創って楽しい。それが音楽だ。サウンドをエンジョイする営みはすべて音楽である。
アップルは、音楽の楽しみ方を変えてきた。まずiTunesでCDから音を切り離し、ディスクを入れ替えなくても延々と好きな音楽を聴き続けられるようにした。続いてiPodで、その音楽ライブラリを常に持ち歩ける快適さをもたらした。
音楽は聴いているだけでも十分に楽しい。けれど、自分で創るともっと楽しい。いままで敷居が高かった「音楽を創る楽しみ」も、アップルは格段に身近にしてくれた。GarageBandで無数にある音素材を組み合わせていくだけで、簡単に音楽を創れる。従来では考えられない手軽さで、それなりにカッコいい楽曲を創れてしまうから、その楽しさは計り知れない。
そして創った曲はその場で聴ける。iPodに入れて友人に聴かせられる。ポッドキャストで世界中に配信できる。自分で撮った写真のBGMにすれば、オール「自作」のスライドショーが完成する。それを聴いた人から「これいいね」と褒められると、また次を創りたくなる。
アップルは、音楽を聴く楽しみに始まり、創る楽しみ、演奏する楽しみ、世界の人々に聴いてもらう楽しみまでをもMacに統合したのだ。Macは「音の楽しみ」としての「音楽」を増幅してくれる装置なのである。
Macはほかの表現方法にも同様の「楽しさ」を提供している。たとえば写真。写真を撮る。iPhotoで見る。エディットする。プリントする。スライドショーを作る。ポストカードを作る。写真集を作る。こうして出来上がった作品の中では、自分の写真がなんとも芸術的に映る。見ているだけで楽しい。周りの人も楽しんでくれる。だからまた撮る。「撮ったあと」の楽しさがわかっているから、撮っているだけでワクワクする。
(次ページに続く)

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