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経済予備校 第4回

中国経済~経済予備校・番外編~

AQUOSケータイから見た中国ビジネス

2008年07月25日 04時00分更新

文● 山谷剛史

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これまでの日本のメーカーの敗因

経済予備校

淘宝網でSEGAで検索してみるとおもちゃがズラリ

 日本のメーカーは、以前中国に進出しケータイをリリースしたが撤退した。例えば2005年に(株)東芝が、2006年に三菱電機(株)と松下電器産業(株)が撤退した。これら企業は、中国向けに新たにデザインした世界標準的なケータイを発売したがウケはよくなかった。

 今までの日本メーカーは中国人の懐具合に合わせた世界標準のケータイをリリースしたからこそ多くの中国人の支持を得られなかった。一方で世界標準ではなく日本標準のAQUOSケータイは、値段が高かろうと、多くの人が、非正規流通経路である淘宝網を通して購入した。

 つまり簡単に言ってしまえば「中国人を日本人のものさしで測り、中国人の懐にあった分相応の機種を出したところで人気は得られない」ということである。その一方で「中国人は良いモノを何が何でも購入する習慣がある」のだ。言い換えれば、中国人は日本をハイテクの国と認識しているからこそ「いいものであれば値段が高かろうと買う」ということが言える。中国人は貧しい国の人と見下されるのを大変嫌う。日本人が日本人に対するのと同様に中国人に対してサービスや製品をリリースすれば、中国人の心にも満足感を与える結果になる。

 例えばPS3の発売日に、Wiiの発売日に、どれだけの中国人が大挙してヨドバシカメラなどの家電店の前でカウントダウンを待っただろうか。これも中国本土でそれらを欲しがる人のために、転売しようとした結果である。PS3やWiiが日本で発売されたころは、定価よりもずっと高い価格で淘宝網の各店舗は販売していた。それらは標準的な中国人の給料の数倍もの価格で取引されたが、それでも買おうとする中国の消費者はいるのである。

中国人の金払いの良さのワケ

 「金払いの良さ」の背景には、日本よりも結びつきの強い家族や親族の連携が原因としてある。つまりケータイやIT製品を買うための自己資金ですら十分にないことはおかしくないことであり、そのために家族や親族にお金を借りることもまたおかしくない、「困ったときにお金を貸し借りするのは、家族として親族として当たり前」ということである。中国人は個々の所得の割に購買力はものすごいものがあるが、それにはこうした理由があるのだ。

 実はこうした中国人の「金払いの良さ」は買い物だけに限った話ではない。たとえば四川大地震のときに、ものすごい金額の募金が集まった。人口が違うというのももちろん理由にあるが、もうひとつの理由に、ひとりひとりの募金額が、所得の割に高額というのも理由にある。募金箱に最高額の紙幣である100元札(約1500円)を躊躇わず投入した人は普通にいた。

 また例えばマネーゲームもしかり。最近中国株が日本のバブル崩壊か、それ以上に大幅に下落した。ほとんどの投資者が損失となったが、その投資者の多くは一握りの富裕層ではなく、それよりずっと多く、都市部の中間層であった。株は絶対儲かる話と信じ、多くの中間層の投資者が家族親族のお金を集め、勝つはずだったマネーゲームに資金を投資した。

(次ページ、「中国にビジネスで進出したいときは」へ続く)

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