月刊アスキー 2008年10月号掲載記事
数多くの卸売り市場が集まる都市「義烏(イーウー)」は“世界の工場”中国で、ありとあらゆる日用品がそろう場所といわれる。その規模は中国最大、ひょっとしたら世界最大級かもしれない。
義烏は、日本との直行便がある杭州からは車で2時間、上海からなら電車で3時間前後の距離にある。上海や杭州観光のついでに、現地発での日帰りも可能だ。観光客でも気軽に入れるし、気に入った商品があれば、単品売りから対応してくれる店もある。
この義烏には、卸売り市場の巨大な建物が何棟も点在するが、中でも最大の「義烏国際商貿城」は大 きく3棟のビルからなり、1棟だけで1万店以上の店舗が出店している。ここだけで毎日4万人強のバイヤーが訪れ、140の国や地域に製品が輸出されている。全店舗のうちの9割以上が輸出の相談に対応し、輸出向けの販売が全体の6割を占めているという。
規模だけでなく、品ぞろえという点でも中国一であり、例えば義烏国際商貿城では玩具、文具、時計、貴金属、工具、花、金物、光学機器、カバン、傘、工芸品、電気製品などが販売されている。玩具のエリアひとつとっても、電動玩具、空気玩具、ぬいぐるみなどでエリアが分かれ、各エリアに無数の店が並ぶ。中国製の商品でここで買えないものはないといわれ、多くの中国人に加えて、インド系、中東系、欧米系のバイヤーが買い付けにやって来る。
商魂たくましい中国人は、個人でもまとめ買いで値切るのは当たり前。そのため、どこの大都市でも、個人の単品売りから対応する卸売り市場がある。だが、義烏がほかの都市の卸売り市場と違うところは、圧倒的な規模と品ぞろえに加えて、店員たちが外国人バイヤーの対応に慣れていることだ。義烏には輸出手続きを代行する企業などもあるため、外国から来たバイヤーでもスムーズに輸出手続きを行える。
日本では、特に食品に関しては中国離れがいわれているが、日用品では今も中国製が欠かせない。そして、100円ショップで売っているような安い中国製品なら、まず間違いなく義烏が絡んでいるだろう。義烏は、中国製品を扱う輸入業者なら誰もが知っている、現在の日本人の生活にも非常に縁の深い場所なのだ。