さらに苛めるにはどうすれば……。
さて困った。企画段階ではHDD8台追加した辺りで限界になる予定だったのだが、HDD合計13台の状態でも普通に動作してしまった。5インチベイが全て満席となり、空きスペースもSATAの変換ケーブルでかなり凄いことになった以上、何か別の手段で苛めることはできないだろうか……。テスト機動作中にクーラーや電子レンジの電源を入れたり切ったりしてみたが、こんな攻撃程度ではビクともしなかった。
……ならば、いっそのことファンを止めてしまうのはどうだろう? EA-650のファンは非常に静かだが、これを止めればさしものEA-650も音を上げるに違いない。EA-650の中身もチェックできるし、ちょうどいい機会なので分解してしまおう。もちろん、この行為はメーカー保証が切れるうえに、下手をすると感電する恐れのある危険な行為。あくまで今回の企画のためという点はご理解いただきたい。
強制ファンレス状態でほぼ半日の間、原稿を書きつつ監視していたのだが、この状態でも特におかしな挙動はみられなかった。火を吹いて炎上する絵が撮れればオイシイなと考えていたのだが、EA-650の粘りの前には企画者の目論見など見事に粉砕されてしまった訳である。ちなみに、動作中にヒートシンクに手を触れてみたが、隣で動いているGeForce 9800 GX2の表面とほぼ同じ位熱かった、と付け加えておく。
EA-650の最終評価は?
残念ながら多量のHDDアタックや電子レンジ攻撃、さらにはファンレス攻めといった「電源ユニットに悪そう」な攻撃は全て退けられてしまった。ビデオカードの調達が間に合わずSLIという伝家の宝刀をぬけなかったのが少々残念だが、ハイエンドビデオカード1枚程度の環境なら、EA-650は実に良好なパフォーマンスを発揮してくれる製品だ、という印象を受けた。
自作PCユーザーの中には「電源ユニットはいつかは劣化するから、消耗品と考えて安いものを使いつぶした方がいい」と考える人もいるだろう。だが、このEA-650はそんな事を考えなくとも、安価ながらもハイエンドパーツ構成をしっかり支えることが可能な電源ユニットなのだ。これは高価な電源ユニットは無意味であると断言するつもりはないが、EA-650のような製品を選べば、浮いた予算を他のパーツの強化に回せるのである。この夏、ちょっとマシンをグレードアップしたいなと考えるなら、ぜひパーツと一緒にこの電源ユニットを購入してはどうだろうか?