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キャリア・ピックアップ 第47回

アイドル“ローラ・チャン”が教えてくれる! 中国語

2008年06月17日 09時00分更新

文● 稲垣章(大空出版)

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雑誌のグラビアやテレビ出演など、アイドルとして多方面で活躍するローラ・チャンさん。芸能活動をするために2006年に来日。日本語の勉強をしながら、歌や踊りのレッスンを受け、2007年から芸能活動を開始した。すでに日本語がかなり上手で、今年の4月からはNHKの中国語教育番組「テレビで中国語」に、バイリンガルとして出演している。ASCII.jp読者の中には、これから中国語圏の人と仕事をする人もいることだろう。そこで、ローラ・チャンさんに、中国語と日本語の違いや働き方の違いなどを聞いた。

ローラ・チャンさん。中国浙江省杭州市出身。1987年5月13日生まれ。中国の歌のオーディション番組『超級女声』にて杭州地区BEST50に選ばれる。それを見た日本の芸能関係者にスカウトされ、2006年に来日。2007年から雑誌のグラビアを中心に芸能活動を始める。2008年3月31日からNHKの中国語教育番組『テレビで中国語』にレギュラー出演中

「走」は「歩く」で、「愛人」は「奥さん」

──日本語の勉強を始めて約2年ということですが、日本語で難しかったのはどの部分ですか?

ローラ・チャン:漢字のほかに、ひらがなとカタカナをそれぞれ覚えるのが大変だったね。今でもカタカナは、字を見てもすぐに分からないことがある。「ツ」とか「シ」とか似ているし。発音では、小さな「っ」や「てんてん(゛)」「まる(゜)」も難しいよ。中国語にはない発音だからね。小さな「っ」なんかは、今でもよく抜けちゃう。カラオケで中島美嘉さんの『STARS』を歌うとき、気をつけないと初めの「♪やっぱりあの星は~」ってところが、「♪やぱりあの星は~」になっちゃうね。

──発音の違いは、日本人が中国語を覚えるときにも苦労しそうですね。

ローラ・チャン:中国語と日本語はトーンも全然違うね。日本語は文章に抑揚がなくて一定だけど、中国語は抑揚がハッキリしている。私にとって「っ」や「゛」が難しいように、日本人はここに苦労すると思うよ。中国には、4つの声調があって、同じ言葉でも声調によって意味が変わってくるのね。例えば、「ma」という言葉でも、声調によって「お母さん(第一声)」「麻(第二声)」「馬(第三声)」「叱る(第四声)」の意味がある。これは、上手く使い分けられるようになるのが大変だと思うよ。ほかにも、中国語の「スー」や「シィー」など日本語にはない発音があるね。

──漢字については、中国人が日本語を覚えるときも、逆に日本人が中国語を覚えるときも、イメージを持てるから分かりやすいですよね。

ローラ・チャン:そだね。私も漢字とひらがなが組み合わさっている熟語は、漢字を見ることで意味が分かることってあるよ。逆に、日本人が中国語を見るときもそうじゃないかな。でも、まったく意味が違う言葉もあるから、それには気をつけないとね。例えば、「走」の中国語の意味は、日本語と逆で「歩く」。ほかにも「自動車」の中国語の意味は「バイク」、「愛人」は「奥さん」、「勉強」は「無理」など、いっぱいあるね。他にも例えば、年末12月31日に日本人の友達から「大晦日」というタイトルのメールがきてビックリした。「晦」は中国語で「暗い」や「不運な」という意味がある言葉だから、「大晦日」というタイトルに対して、「何で~!!」って(笑)。

──それにしてもローラ・チャンさんの日本語は、教科書などで覚えた感じではなくて、とても自然ですね。

ローラ・チャン:ありがとうございます。英語の試験を受けてすごく勉強しているのに、しゃべれないことってあるよね。テストとかもすごく得点いいのに……。やっぱり、言葉っていうのはしゃべれないとダメだよね。しかも、教科書の言葉ではなく、生活の言葉でしゃべられることが大事だと思う。私の場合は、日本語の先生のおかげ。2年前に来日して、それから日本語学校に通ったんだけど、そこでは午前9時から午後2時まで授業があった。そのうち最初の1時間だけ教科書で文法などを教えてもらって、後はクラスの友達と自由にしゃべる。「昨日テレビどうだった」とか、「何食べた」とか、友だちとのプライベートの会話。そうすると、勉強していることを意識しないで、自然に言葉が身につくよ。あと、ドラマ見るのも勉強にいい。ドラマ見ると、辞書に載っていないような生活の中の言葉を覚えることができるよね。

日本と中国の働き方の違い

──昨年の5月から芸能活動を始めて、約1年間、日本でお仕事をしていますね。お仕事の中で使う日本語で気になる言葉はありますか?

ローラ・チャン:日本人はよく仕事で人と会ったときに「お疲れさまです」って言うよね。中国にも同じ意味の言葉で「疲劳了(pilao le)」があるけど、それはすごく大きな仕事が終わったときに使う言葉。中国では普通に「こんにちは──你好(nihao)」って言う。だから、「お疲れさまです」って言われると、「私はそんなに大変なことしていないのに」って思っちゃう(笑)。

──日本では目上の人に対しては「ご苦労さま」ではなく「お疲れさまでした」と言うなど敬語があります。中国にも同じような言葉はありますか?

ローラ・チャン:そういうのはあまりないかな。目上の人との会話で違いを感じるところは、中国では下の立場の人が目上の人に対してそんなにペコペコしないね。日本人はたくさんうなずいて、「ハイ!」「ハイ!」って言っているね。そこはちょっと変に感じるよね。

──日本人と中国人の働き方の違いはありますか?

ローラ・チャン:日本人の働き方は、すごく“忙しいそう”に見える。たぶん本当にすごく忙しいのだろうけど。でも、中国のサラリーマンは仕事が忙しくても、もう少し落ち着いている感じがするかな。例えば、日本人は家に帰るときの電車でも走って乗るよね。朝は遅刻できないから、走って乗るのは分かるけど、家に帰るなら次の電車でもそんなに変わらないと思うよ(笑)。あと、日本は午後8時とか午後9時まで働くことが多いよね。例えば、私が午後9時くらいに仕事が終わって電車乗ると、家に帰るサラリーマンがたくさん乗っている。中国にも残業している人はいっぱいいるけど、そんなに多くないと思う。それに、日本人の夜ご飯の時間が遅くない? みんな午後7時、午後8時くらいだよね。中国では午後6時で遅いほう。だいたい午後5時半とか、午後6時半にはだいたい食べ終わるよ。

──それだと、お昼ご飯の時間も早いのですか?

ローラ・チャン:お昼は中国でも午前11時半とか午後12時の時間かな。午後1時くらいに食べ始めると「遅い時間に食べると、からだに悪いよ」と言われる。でも、日本では午後2時とかでも普通な感じ。あと、日本人って、仕事が終わった後に「飲みにいこうか」ってこと多いよね。なんか、日本人のサラリーマンはビールが好きなイメージ。あと、電車の中でお酒を飲んでいるのを見てビックリした。中国でも電車でお菓子とか食べるけど、お酒を飲む人はいないね。酔っぱらっているし、ちょっと怖いね。

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