ビジネスにおける国際化がますます進む中、日本のビジネスマン、ITエンジニアの英語力が低さが指摘されている。しかし、キャリアアップに必要だとはわかっていても「語学はそもそも苦手だし……」「多忙で勉強の余裕なんてまったくない」などと言い訳してしまうエンジニアも多いことだろう。「英語上達に近道があるなら勉強しよう」と思っている方のために、ITエンジニア専門の英語検定「TOPEC」を行なっているプロフェッショナル イングリッシュ コミュニケーション協会(IPEC)の渡辺英緒さんに、効率的な英語学習方について聞いた。
英語なしで通用するという甘い考え
TOEICの調査(2006年度)によると、日本企業の海外部門の平均が670点、営業部門が477 点、技術部門が436、SEが454点となっている。これをそのままITエンジニアの英語力不足に結びつけることはできないが、技術者全体の英語力の低さはうかがえる。
「英語力のあるITエンジニアが不足しています。今後ますますITエンジニアも海外に出てプレゼンや交渉をする機会が増える一方だと思われますが、それに対応できるエンジニアがいないのです。海外の顧客への対応にしても、本部の技術者に技術面をレクチャーしてほしいというニーズが高まっています」
では、TOEIC調査でのSEの得点が低いのはなぜなのだろうか。
「日本には国内だけで活動しているIT企業が多く、英語が話せなくてもある程度のポジションを得ることができるからでしょう。また、そもそも日本には英語をきちんと学ぶ体制がなく、習得するには自発的に学習をするしかないことも、英語力不足の原因として挙げられます。でも、ポジションやキャリアアップを考えるのであれば、『英語は必須である』と改めて認識した方がいいでしょう」
TOEICの得点が高いのに“英語をしゃべれない”そのワケ
「英語は必要だ」と分かっていても忙しくて気長に勉強する気にもなれないエンジニアも多いだろう。少しでも効率よく学習するにはどのようにすればいいのだろうか。
「語学学習に王道はないのですが、自分に合った近道はあると私は考えています。それは、限られた時間で英語を学ぶために、優先順位を決めることです。まず、英語を『できる』『できない』のひとくくりにせずに、『話す』『書く』『読む』『聞く』の4つのスキルに分けて考えること。そして今の自分の仕事の中で求められているスキルがどれなのかを把握することが大切です。理想は、この4つのスキルをバランスよく持っていることですが、時間がないのであれば、ビジネスで求められることの多い『話す』『書く』を重点的に学ぶといいと思います」
英語でのプレゼンテーションに参加するのであれば「話す」から、Eメールなどで英文の技術文章を出す必要があるなら「書く」からというわけだ。
一方、努力を続けてTOEICで高得点を出しているのに「英語を話せない」エンジニアもいるだろう。それは何故なのか。
「前述の4つのスキルに分けて考えると、なぜ「TOEICの得点が高いのにビジネス英語ができない人」がいるのかが見えてきます。TOEICは「読む」「聞く」に重点的に力を入れているタイプの試験なのです」
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