Blu-rayドライブを搭載したパソコンが各社から発売され、価格も徐々に下がってきているが、メインストリームと呼べる15~16万円台で買えるBD搭載ノートはまだ少ない。
BD搭載ノートが高止まりしてしまう理由のひとつは、BDなどハイビジョン品質の映像、特にハイビジョン品質のH.264映像のデコード処理が、非常にプロセッサーパワーを必要とすることにある。そのため、フレーム落ちのない快適な再生のためには、H.264映像のデコードアクセラレーション機能を持ったグラフィックスチップ(GPU)が欠かせない。チップセット内蔵GPUには、BD再生は荷が重いわけだが、そうしたGPUを搭載するのは、コスト増につながるというわけだ。
この問題を解決すべく、チップセットメーカー各社はチップセット内蔵GPUに、H.264やVC-1といったハイビジョン映像に使われるコーデックのデコードアクセラレーション機能を内蔵しようとしている。12日に日本AMD(株)が説明会を開いた「次世代AMDノートブックPCプラットフォーム」(コード名Puma)もそのひとつ。リーズナブルな価格帯のノートに、HD映像の楽しみを与えるものだ。
Pumaプラットフォームは、台湾で開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2008にて発表された(関連記事)。ノート向けPumaプラットフォームを構成する主なコンポーネントは、「Turion X2 Ultra」シリーズなどAMDのデュアル/シングルコアCPUと、GPU内蔵チップセット「AMD M780G」からなる。
AMD M780Gには、Radeon HD 3000シリーズのローエンドGPUに相当する内蔵GPU機能「ATI Radeon HD 3200」が内蔵されている。この内蔵GPUには、HDビデオデコード機能「UVD」が搭載されているため、UVDに対応するBD再生ソフトなどを使えば、CPUの処理能力をあまり使わなくても、スムーズなBD再生が可能になるという。また、従来のチップセット内蔵GPUより3Dグラフィックス性能も強化されているので、ゲームも現行世代のチップセット内蔵GPUより快適に動作させられる。
説明会場では、日本ヒューレット・パッカード(株)のPuma搭載ノート「HP Pavilion tx2500」による3Dゲームのデモや、日本エイサー(株)の「Aspire 5530G」によるフルHD解像度のH.264映像デコードのデモが披露された。後者ではCPUメーターを表示したまま再生を行ない、再生中でもCPU処理能力が数%程度しか消費されないなど、デコードアクセラレーション機能の優秀さを示していた。
競合である米インテル社も、COMPTEX TAIPEI 2008の場でHD映像のデコードアクセラレーション機能を備えたGPU内蔵チップセット「Intel G45、G43 Express」シリーズを発表している。PumaプラットフォームやG45/43シリーズを採用したパソコンが登場する今年後半以降には、パソコンでのBD再生もより身近になるだろう。低価格でBD再生機能を持つノートが欲しい人は、今年の秋冬モデルが狙い目かもしれない。