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インターネット村上社長に聞く

Gackt声のボーカロイドは、いかにして誕生したか

2008年05月08日 08時00分更新

文● 高橋暁子

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イラストも商用・非商用ともに使用OK


── 初音ミクはネットの著作権意識にもいろいろと影響を与えたんですが、がくっぽいどはどういうスタンスですか?

村上 まず、商用・非商用にかかわらず、ユーザーが自由に声や画像を使って曲を作り、公開していただけます。着うたサイトで使う場合もフリーです。がくっぽいどを使用して作成した楽曲の著作権は、もちろん商用・非商用にかかわらず作者にあります。

 キャラの使用に関しても基本的には、フリーにするつもりです。著しくイメージを損なう場合を除き、ネットでの公開、出版物での使用に関しては、商用・非商用を問わず許諾の必要はありません。

レディオヘッド

ユーザーが自由に曲の価格を設定できるということで話題になったレディオヘッドの公式サイト

 イギリスではレディオヘッドがユーザーに商品の値段を自由に付けさせました(関連記事)。そのように、音楽の世界は進んでいますが、動画はこれからだと思っています。がくっぽいどは、使ってもらう機会を増やしたいのでフリーを基本にしたいと思います。

 Gacktさんの声で歌われた曲がフリーになるって、考えてみればすごいことですよね。こちらは権利ビジネスをしたいわけでないので、どんどん使ってもらいたいですね。



ユーザーの著作権意識を大切にしたい


── 著作権の問題が取りざたされることが増えてきていますが、これについてどう考えますか?

村上 権利に対する個人の意識が、高まっているなと感じます。CDやテレビ番組、映画などの著作権を無視するのは違法だし、論外だと思いますが、こういうプロが作った作品ではなく、動画共有サイトなどに、投稿された個人の作品の著作権をどう守っていくかが問題になっていくんだろうなと感じます。

村上氏

インターネット上の動画投稿サイトは、個人の著作権意識を高めるきっかけになったと村上氏は話す

 極論するなら無断使用されたくない作品は、著作権の信託をした上で投稿サイトに公開するしかないと思います。信託をしないなら、二次使用をある程度予想して行なうことになるでしょう。

 ただし、信託すると言っても過去の実績などいくつかの条件があり、個人では簡単に契約を結べない面もあると思います。現状の著作権管理システムがネットに対応しきれていないという問題もあります。

ランティス組曲

ニコニコ動画には才能の無駄遣いといわれる「すごい素人」がたくさん集まり、そこからさまざまな作品が生まれている。写真の「ランティス組曲」もそんなもののひとつと言える

 VOCLOIDで作成した楽曲も、作品そのものの著作権は作者にあるので、著作権の信託を行なうかどうか、また信託する場合は、音楽出版社の選択をどうするかなど、すべて作者の意向によって行なわれるべきだと思います。ただし、ニコニコ動画などに投稿している作り手の多くは、著作権を信託して利益を得たいと考えるよりも、自分の作品が他の多くの人の目に触れ、話題になることに喜びを感じるのではないでしょうか。


── がくっぽいどもブレイクするといいですね。

村上 物まねと思われるのが怖いですね。一部では反発も出そうですが、続けていくしかないと思っています。受け入れてもらえれば嬉しいですね。

 今後も、路線が違ったものをもっと出していきたいです。ユーザーのコミュニティーから得られる情報は多いんです。メーカー側から見ると、ネガティブな意見をいただくなどの怖い部分もありますが、今後の参考になる意見や動向なども多いんです。

 投稿サイトを通じて、作品の出口が生まれたことも非常に大きなことだと思います。

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