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【IDF 2008 上海レポート Vol.6】

インテルCPUの大きな転換点に立つNehalem

2008年04月10日 22時54分更新

文● 山本雅史

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 IDF上海の技術セッションにて、米インテル社の次世代CPUの「Nehalem」(ネハレム、ネヘレム)の内部アーキテクチャーの解説が行なわれた。Nehalemは、現行のPenryn(ペンリン)世代のCore 2 Duoプロセッサーと比べると、マイクロアーキテクチャー自体に劇的な変化はないが、地道な改良によりパフォーマンスが向上している。


 特に大きな変更点は、CPUのハードウェア構成面にある。基調講演のレポート(関連記事)と重複するが、IDFの資料を元に、Nehalemの姿を明らかにしていこう。

Nehalemのダイ写真

Nehalemのダイ写真。4つのCPUコアがきれいに並び、その下に共有3次キャッシュが配置される

 Core 2 Duoは既存のCPUコアを1パッケージにまとめることで、マルチコアCPUを構成している。Nehalemはこれとはまったく異なる。新しくCPUをデザインしなおし、CPUの機能ブロックをそれぞれモジュール化している。これにより、CPUコアの増減が容易になる。

NehalemはCPUコアのモジュールデザインを採用

NehalemはCPUコアのモジュールデザインを採用し、それぞれのコアや機能ブロックを分離している。これによりコア数の増減を柔軟に行なえる

 Penryn世代のCPUは、ひとつのCPUダイに2つのCPUコアが実装されている。そしてPenryn世代の4コア製品は、2つのPenrynをひとつのCPUパッケージに収めた形になっている。6コアの「Dunnington」なら、3つのCPUを1パッケージ(2コア×3つ)にまとめているわけだ。またPenrynでは、CPUダイ間の通信は既存のシステムバス(FSB)で行なわれている。一方のNehalem世代では、CPU設計を改めて、CPUコアを1個単位で追加できる。

 当初リリースされるNehalemは、多くても1パッケージで4コアとなっているが、設計次第で5コアや6コアのNehalemを作ることも可能だ。しかし同社の級副社長兼デジタル・エンタープライズ事業本部長のパット・ゲルシンガー(Patrick P.Gelsinger)氏によれば、「パフォーマンスを考えると、Nehalem世代では2~4~8コアになるだろう。現状では、中途半端なCPUコア数のNehalemをリリースする考えはない」と述べ、3コアの「Phenom X3」を供給する米AMD社とは、異なる路線に進むことを示唆した。

Nehalemの機能ブロックイメージと追加された新機能

Nehalemの機能ブロックイメージと追加された新機能

 インテルでは、ノートパソコンとローエンドのデスクトップPCにはデュアルコアのNehalemを、メインストリームPCとハイエンドのデスクトップPC、サーバー&ワークステーションは4コアの製品を、そしてサーバー向けにオクタル(8)コアの製品を投入する予定だ。32nmの製造プロセスを使用する2009年登場予定のCPU「Westmere」(ウエストメア)では、8コア以上を目指すという。


キャッシュメモリーに特徴のあるNehalem


 Nehalemの大きな特徴のひとつが、CPUのキャッシュメモリーを3段階搭載した点にある。各CPUコアは1次~2次キャッシュまでを個別に持ち、3次キャッシュはすべてのCPUコアが共有している。CPUに最も近い1次キャッシュは、データと命令キャッシュの2つで、それぞれが32KB。2次キャッシュはCPUコアごとに256KB。3次キャッシュは共有で、約8MBを持っている。

Nehalemのキャッシュ階層

NehalemはCPUコア毎に1次キャッシュ(命令32KB+データ32KB)、と2次キャッシュ(256KB)を持つ。さらに4コア共有の3次キャッシュ 8MBを備える

 ただし、3次キャッシュの容量はCPUコア数によって増減する。8コアCPUでは、8MBの3次キャッシュでは少なすぎるし、2コアCPUでは多すぎる。製品バリエーションにより異なることになるだろう。1次~2次キャッシュメモリーの容量は、CPUコアが増減しても変わらない。

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