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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第18回

疑う。でもロマンは捨てない──「超常現象の謎解き」管理人が語る、真実への情熱

2008年03月03日 17時00分更新

文● 古田雄介

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 あなたは宇宙人や心霊といった超常現象を信じているだろうか?

 超常現象については、その情報を信じる「信奉者」(ビリーバー)と、疑わしいと見る「懐疑論者」(スケプティック)というタイプに二分される。恐らく多くの人は、「心霊は絶対いる!」「そんなことあるわけない」などと根拠なく決めつけて、どちらかの立場を採っているはず。本当かどうか自分の目で確かめるとなると、金銭も手間も膨大にかかってしまうからだ。

 今回紹介する「超常現象の謎解き」(以下、謎解き)は、超常現象への強い情熱を背景に、綿密な調査を行なっているウェブサイトだ。UFOのウワサや超能力者の神性はもちろん、「猿の芋洗い行動が突然全国レベルで広がった」という半分事実として広まっているエピソードにもメスを入れ、数々なカラクリを暴いてきた。

 2007年11月には「ASIOS」(超常現象の懐疑的調査のための会)という業界団体立ち上げるなど、精力的に活動している管理人の本城達也氏に、その先にある野望について語ってもらう。

超常現象の謎解き


 2005年2月にスタートし、数々の超常現象における客観的な調査が公開されているオカルト検証サイト。2007年6月に100万アクセスを突破するなど、知る人ぞ知る人気サイトだ。




某教授とは一緒にされたくない


── 本城さんは、20歳の頃にビリーバーからスケプティックに転身したと聞きました。このサイトは、そうした気持ちが変わったことがきっかけで始めたのですか?

本城 いえ、しばらく時間が開きます。スケプティックになったあと、ネットで超常現象を調べてみると、懐疑的な情報が少ないことに気が付きました。

 たまに否定的な記事があっても、決めつけばかりのどうしようもないものばかりで、とにかく具体的な証拠を挙げて論じているサイトが少ない。だから、皆に真実を知ってもらいたいという気持ちから「謎解き」を始めました。

本城氏

本城達也氏。普段は文筆業とは別の業界で働いており、二足のわらじ生活を続けている。指にはめているのは、「身長3mの宇宙人」「光る目を持つ巨人」として一部で有名な宇宙人の人形


── 読者の反応はどうですか?

本城 ビリーバーの人が、懐疑的な立場に変わったというメールがよく届きます。否定的なメッセージは、アンケートフォームで匿名の投稿が来るくらいで、攻撃的なメールは滅多にありません。


── 狙いどおりの効果が得られている感じですね。

本城 そうですね。でも、さらに言えば、僕の記事に疑いの目を持つ読者が今より増えると嬉しいです。「結論は同意だけど、この検証は間違っているんじゃないか」とか。自分でも検証する人が出てきてほしいです。

 誤解されやすいんですが、僕はスケプティックといっても、頭ごなしに超常現象を否定しているわけではありません。超常現象やオカルトは大好きなんだけど、客観的な証拠を元にその現象を検証していきたい。夢やロマンを持ちつつも、一方で懐疑的なスタンスも捨てないという感じです。

 だから、僕の記事からすぐに結論を出して、「やっぱり超常現象はないんだ」という反応をされてしまうと悲しい。


── テレビで有名な、超常現象を否定しまくる某教授とは違うと。

本城 一緒にされるのは嫌ですね(笑)。でも、テレビは分かりやすく面白く作らないとならないので、ああいうスタンスで見せるのは仕方ないです。ネットなら視聴率は関係ないので、その点は有利でしょう。

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