年内最後のご紹介は、ドコモの「N905i」だ。
僕はNEC製の端末について、2つのブレイクスルーを感じている。ひとつは折りたたみ型の追求。もうひとつは、ケータイとして画期的な入力インターフェースの搭載である。
折りたたみの音の楽しさ
まず、折りたたみ型の追求については、「カチッ」という開閉音にこだわりを感じる。
僕はムーバ時代に「N206S」を使って以来、「N501i」「N900i」「N901iS」と折りたたみ型端末を好んで使ってきた。
ポケットに入れるときにストレート端末よりもすわりがいいし、何より電話が掛かってきたときに開いて、電話が終わったときに閉じる、という動作が好きだったのだ。
折りたたみ型端末を選ぶときに、開閉動作の快適さを求めるのは僕だけではないようで、ケータイショップの店頭でも念入りに開閉を繰り返しながら端末を選ぶ人をよく見かける。
その動作をさらに楽しくしてくれるのが、ヒンジが動作する際の音。おとなしく「かち」なのか、それともやや固めに「カチ、カチ」なのかによって好みが違うし、音が軽いのか、しっとりとした音なのか、あるいは持っている指に伝わる程度の振動なのか、といったバリエーションでもこだわりが分かれる。
NECの端末はこれまで、割と大きめの心地よい音が鳴っていて、それを求めるリピーターもいたのではないだろうか。
また、パナソニック・モバイルの「ワンプッ シュオープン」を採用したケータイも開閉音が独特で、ヒンジのボタンを押すと、豪快な「カチッ」という音が鳴って、端末が静かに、しかし勢いよくパカっと開く。端末を開き始める、閉じ終わるところに音を持ってきているチューニングだ。
モノの形を動作させたり、変化させなければならない場合、その行為を楽しくしたり、クセにさせるような「演出」を付ける。
そうした演出があるおかげで、「折りたたんだ端末を開く」というひとつの操作が、ユーザーにとって価値ある行為に昇華されるんだなと改めて感じさせてくれる。
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