会社ごとの個性が表れる開発者イベント
開発社会議には、主催者の性格がよく現れる。どんなユーザーのニーズにも応えようと、Windows Vistaのラインアップを“Home Basic”、“Home Premium”、“Business”、“Ultimate”と4種類に分けているマイクロソフトなら、開発者会議の体制も細分化。先に挙げたPDCに加え、ITプロフェッショナル向けの“Tech-Ed”、ハードウェア開発者向けの“WinHEC”といった具合だ。
これに対してハードも、OSも、アプリケーションでも自社で開発。OSパッケージも1種類(サーバーOSは別だが、それはマイクロソフトも一緒)の米アップルはシンプルだ。キッチンと呼ばれる、各国をまわる小規模な会合はあるものの、基本的に開発社会議は“Worldwide Developers Conference”(WWDC)の1つだけとなっている。
開催場所にも表れる企業の個性
開催日時や場所を比べても面白い。
マイクロソフトはシアトルが本拠地だが、イベントの開催地はロサンゼルスのことが多い。WinHECは5月にロサンゼルス、6月に台北/東京/北京で開かれる。PDCは大きなOSのリリースなどにあわせて開催されるイベントで、やはり場所はロサンゼルスだ。これまで2001、2003、2005年と開催されてきたが、前述のように今年の開催は見送られた。
ちなみにWindows系の開発者向け会議は、マイクロソフトだけに限らない。中でも大きいのは、米インテル社による“Intel Developer Forum”(IDF)だろう。4月17~18日に北京、9月18~20日にサンフランシスコ、10月15~16日に台北、来年4月2~3日に上海──といった具合に、インテルの拠点に近いサンフランシスコと、アジアの都市との間で交互に開催され、毎回、少しづつアップデートした内容の議論が行なわれる。
一方、アップルのWWDCは、毎年サンフランシスコの1ヵ所で、1週間だけ開催され、アップルのほとんどのエンジニアと世界中の開発者たちが集まってくる。昨年は世界44ヵ国から4200人が集結したという、まさに世界規模のカンファレンスだ。
同社でデベロッパリレーションズ担当副社長のロン・オカモト氏は、「Macプラットフォームでビジネスをするすべての人が1ヵ所に集まる重要な1週間。この1週間をどううまく使うべきか、十分に準備をしてきて欲しい」と語る。
アップルは以前、日本でも“Japan Developers Conference”(JDC)を開催していた。毎年開催はWWDCの直後で、WWDCで人気の目玉セッションの講演者だけが日本に集まって、WWDCの半分くらいの規模で行なっていたイベントだ。
オカモト氏は、「海外で行なう開発者会議は、規模を縮小した形での開催しかできない。開発者会議でもっとも重要なのは人と人との出会いであって、それを最も効果的に行なえるのは、1ヵ所に集まってもらうこと」と語っている。
これに対して、まったく異なるおもしろいアプローチをとったのがグーグルだ。5月31日に世界10ヵ国で同時に開発者会議を開催するというもので、シドニーで始まって、東京、北京と時差はあるものの、同じ日に世界同時開催することで、開発者の一体感を演出した。
さらにおもしろそうなのは、この秋、モジラが開催を予定している“Mozilla24”という開発者会議。グーグルと同様に世界同日開催となるが、他国の会場間をネットでつないだ中継なども計画しているという。
(次ページに続く)
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