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林信行のマイクロトレンド 第9回

アップル、MS、Google、人の交流が生む次のトレンド

2007年06月11日 10時30分更新

文● 林信行(ITジャーナリスト)

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開発者会議は人と知り合う場所


 開催中のセッションの進み方は、どの会議も似たようなイメージがある。基調講演でスタートし、その後、テーマごとのセッションが複数同時開催で行なわれる。

 会期中にいくつかのパーティーが開かれたりと、お楽しみの要素も多い。

Campus Beer Bash

アップル本社で行なわれるパーティー“Campus Beer Bash”の様子

 アップルのWWDCの参加者が一番、期待しているのは、アップル本社で行なわれる大パーティー“Campus Beer Bash”だ。サンフランシスコの会場に迎えのバスがやってきて片道一時間弱の道のりを往復し続ける。パーティーの日には本社の売店“The Company Store”が1年で1日だけ夜遅くまで開店し、大量のアップルロゴ入りグッズを売りさばく。

 ところが、今年からはこのCampus Beer Bashがなくなり、代わりにサンフランシスコの会場近くでのBeer Bash(ビールを飲みながらの大パーティー)になってしまった。

 他の開発者会議でも、会期中に1~2度は、こうした大宴会が開かれるのが普通だ。

 アップルのロン・オカモト氏も言うように、開発者会議では新しい技術やテクニックを学ぶことも重要だが、新しい人と出会うこともそれと同じくらい重要だ。

 出会う相手は海外の人であろうと、同じ日本人同士であろうと関係ない。開発者の中には、なかなか日本ではあえず、こうした会議でないと話しができない人もいる。実は、いつもブログでは見ている人、いつもメーリングリストでは名前を見かけていた人と知り合うことも多いのだ。

 自分にとっていい刺激を与えてくれる人、いいヒントをくれそうな人、お互い手を組んでパートナーシップを築けそうな人などなど。どんな開発者会議でも、複数のセッションが並行して行なわれるために、すべてのセッションの内容を覗くことは不可能だが、友達をつくっておけば、出れなかったセッションについても有益な情報交換ができる。

 ちなみにセッション内容について興味深いのはMozilla 24で、「実行委員会が作成するプログラムだけでなく、あらゆる方から様々なアイデアを広く取り入れるべく、5月31日から6月30日までの1ヵ月間、以下の要領でイベント企画の公募」するという (外部リンク)。開発者会議の未来の形を、ユーザー自身がオープンソース的に提案できるというあたりは、「さすがMozilla」と思わせる。



人との交流が強い技術を生み出す


 冒頭の繰り返しになるが、IT技術はOSなどのプラットフォーム技術をつくる会社、1社だけのがんばりだけではなかなか発展しない。

 米国のシリコンバレー発のIT系ベンチャーが強いのは、米国発だからという以外に、シリコンバレーという地の利を生かし、現地でIT系や非IT系のイベント、あるいは友人の訪問といったカジュアルな形で日々情報交換が頻繁に行なわれているから、という側面も強い。

 技術書の出版社としてお馴染みの米オライリー(O'Reilly)もいくつか同社主導の開発者会議を開催している。ハッカーの集まりといったイベントも多く、オライリー主催の“Foo Camp”では、キャンプ場にオライリー氏が注目する開発者ら200人ほどが集まり、夜通し自分の製品や技術について語り合うイベントだ。

 こういう場所で、他者同士でもコンセンサスやうまい住み分け、そして協力関係が生まれ、世界的に競争力を持つサービスが生まれてくるのかもしれない。

(次ページに続く)

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