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ASCII Power Review 第185回

スナップでも新しい表現ができるレンズです

世界最高の大口径単焦点レンズ、SIGMA「20mm F1.4 DG DN」&「24mm F1.4 DG DN」実機レビュー

2022年08月31日 10時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 シグマからフルサイズミラーレス対応の大口径広角単焦点レンズ「20mm F1.4 DG DN」と「24mm F1.4 DG DN」が発売された。ともに光学性能を追求した「Art」ラインに属し画質には期待が持てる。

 特に「20mm F1.4 DG DN」は20ミリという超広角で開放F1.4の大口径を実現したミラーレス専用では唯一のレンズ(一眼レフ兼用では同社の「20mm F1.4 DG HSM」がある)。単焦点マニアなら注目の製品だ。

量販価格は「20mm F1.4 DG DN」(「fpに装着」)が13万7500円、「24mm F1.4 DG DN」(写真左)は11万8800円。LマウントとEマウントがラインナップされている。

20mmも24mmも世界最高の明るさで、軽量コンパクトを実現

 主なスペックは「20mm F1.4 DG DN」が最大径87.8mm全長111.2mmで重量は635g。最短撮影距離は23cmで最大撮影倍率は1:6.1(約0.16倍)。また、一眼レフ兼用の「20mm F1.4 DG HSM」は前玉が突き出た形状なのでフィルター装着ができなかったが、本製品では82mm径のフィルターが使用可能になったのは嬉しい進化だ。

 「24mm F1.4 DG DN」は最大径75.7mm全長95.5mmで重量は520g。最短撮影距離は25cmで最大撮影倍率は1:7.1(約0.14倍)、フィルター径は72mm(数値は両レンズともLマウントのもの)。

「20mm F1.4 DG DN」を手にしてみると、超広角大口径だけあって、さすがにズシリとした重さを感じる。

「24mm F1.4 DG DN」もそれなりの重さはあるが、スペックからすると許容できるサイズ感だ。

両レンズに付属のフードを付け「fp」に装着した状態。「20mm F1.4 DG DN」(写真左)だと特にフロントヘビーになるので、別売のグリップを使用するのがオススメ。

単焦点なのに大量のスイッチを装備で、ちょっとうれしくなってくる

 両レンズに共通した機能としては絞りリングを搭載し、通常の1/3EVクリックと、動画撮影時などに便利なシームレスに絞り動作をおこなえる「ノンクリック」に切り換えられる。またカメラ側で絞りを変更する「A」ポジジョンに設定したときは不用意に動かないようにロック機能も備える。

 レンズ本体左サイドには「AF/MF」の切換スイッチや、パナソニック「Sシリーズ」など対応機種では任意の機能を割り当てられる「AFL」ボタン、そしてマニュアルフォーカス時でもピントをロックすることができる「MFL」スイッチが新たに搭載されている。

 主に星空写真のようにピントを固定させたいときに使用する機能だが、一般的な夜景や厳密なピントが必要な製品撮影などでも活用ができそうだ。

絞りのクリック/ノンクリックはレンズ本体左下のスイッチで切り替えられる。

絞りリングを「A」ポジジョンにセットしたときには、レンズ本体右のスイッチでロックができる。

レンズ本体左側の操作系、上から「AF/MF」切換スイッチ、「AFL」ボタン、「MFL」スイッチ。

 レンズ後部にもフィルターホルターを備え、前後2枚のフィルターを併用することができる。フィルターホルダーには、シートタイプのフィルターを付属のガイドプレートに沿ってカットして装着するが、「20mm F1.4 DG DN」と「24mm F1.4 DG DN」では形状が異なるので併用するときは気を付けよう。

 専用フードはプラスチックだが、ロック機能付きでスムーズで確実に装着でき安心感がある。

「20mm F1.4 DG DN」(写真左)と「24mm F1.4 DG DN」(写真右)、それぞれのリアフィルターホルターとガイドプレート。挿入の方向やロックの有無などが微妙に違う。

珍しい形状のフードのロックだが、実際に着脱してみると、すこぶる使い勝手がよい。

「Art」シリーズの威力
開放F1.4でも周辺画質は良好

 気になる画質だがまずは両レンズの描写傾向を、遠景の定点撮影でチェックしてみた。使用したカメラはシグマ「fp」でレンズ光学補正は初期設定(歪曲と倍率色収差はユーザー設定不可、回折OFFで周辺光量とカラーシェーディングはAUTO)で撮影している。

 周辺光量はF1.4の大口径ということもあり、絞り開放では光量低下を残す補正になっている。絞ることで徐々に解消しF2.8でほぼフラットになる。解像力も中心部は絞り開放からシャープ感がある。周辺部は開放でわずかに甘く感じるが多少絞ることで改善する。

 回折現象も今回使用した2400万画素の「fp」なら、最小絞りのF16でも解像力低下は些細なレベル。「fp L」のような高画素機だと気になる場合があるかもしれないが、その際は回折補正をONするといいだろう。

 周辺光量や解像力ともにF2.8という明るいF値で画面全体が整った描写が得られる辺りは、さすが大口径かつ画質重視した「Art」ラインのレンズだ。

「20mm F1.4 DG DN」の絞り値による周辺光量の変化。F1.4(写真左上)・F2(右上)・F2.8(左下)・F4(右下)。

「24mm F1.4 DG DN」の絞り値による周辺光量の変化。F1.4(写真左上)・F2(右上)・F2.8(左下)・F4(右下)。

「20mm F1.4 DG DN」の絞り値による中心部と周辺部の描写の違い拡大画像でチェック。こちらは中心部。

周辺部

「24mm F1.4 DG DN」の絞り値による中心部と周辺部の描写の違い拡大画像でチェック。こちらは中心部。

周辺部

「20mm F1.4 DG DN」の歪曲をチェック。

「24mm F1.4 DG DN」の歪曲をチェック。

街中での撮影でも明るさと解像力を発揮
コスパも最高の大口径単焦点レンズだ

 この2本のレンズで街中を撮り歩いてみた印象だが、「20mm F1.4 DG DN」は標準ズームの広角側24mm前後より広く、それでいて超広角ズームの16mm前後ほど誇張しすぎない遠近感が心地よく、20mmという画角の面白さを再発見した。また遠景で絞ったときに画面全体が整った画質も素晴らしいが、絞り開放で近接撮影をしたときも、ピント部のシャープさには驚かされ、絞り値によって様々な描写が楽しめた。

20mmでF8まで絞って撮影。拡大して見ても画面の隅々までシャープに写っている。F8・1/160秒・ISO100。(以下すべて使用カメラ「fp」・ホワイトバランスオート・JPEG最高画質)。(写真クリックで生データ表示になります)。

20mmで夜の繁華街で撮影。カメラとレンズともに手ブレ補正無しだが、こんな時はF1.4の大口径が頼りになる。F1.4・1/60秒・ISO100。

20mmの超広角でも被写体に近寄ればボケの効いた写真が撮れる。ピントにくわえ解像感にも注目。F1.4・1/160秒・ISO100。

20mmでやや露出アンダー気味に撮影。絞り開放での周辺光量低下が良い感じに強調され印象的に写った。F1.4・1/4000秒・ISO100。

20mmで夜の街のスナップ。広めな画角にくわえ、開放F1.4のボケ感も効いている。F1.4・1/30秒・ISO800。

20mmの絞り開放の解像力がわかる一枚。ピント部がシャープなので、ボケもより引き立つ。絞りF1.4・1/80秒・ISO1600。

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