働き方・仕事についてのお悩み、募集しています!
「こんな働き方はもう嫌だ…」「働くことがなんだか楽しくない」。
日々働いていると感じる、誰かにちょっと聞いてほしい、でも人には言いづらい仕事のお悩み。そんなお悩みを、一緒に考えます。
お悩みの投稿はこちらから。ぜひ気軽にお悩みを書き込んでみてください!
ASCII読者の皆さん、こんにちは!正能茉優です。
今月も、パーソルキャリア株式会社の新規事業企画、ハピキラFACTORYの代表、そして慶應義塾大学大学院の特任助教と、3つのお仕事をしています。
さて、この連載「お仕事悩み、一緒に考えます。」では、今月も、読者の皆さまからいただいたお仕事に関するお悩みについて、一緒に考えていきます。
今月のテーマは、先月に続き「越境人材」。
前回までの記事では“個人”の目線にフォーカスし、その魅力などを語ってきましたが、今回からは、そんな越境人材を受け入れる“組織”の目線にフォーカスしていきたいと思います。
異分子が組織に来ることに、正直、一歩引いている自分がいます
正能さん、はじめまして。
ここ何回かの連載で「越境」「越境人材」について語られているのを拝見し、ご連絡差し上げました。
最近見かける「越境」というキーワードは、ある種のバズワードと言いますか、流行りの概念・働き方だとは思うのですが、その多くが個人の目線で語られているものであり、組織の目線では実際にどうなのだろうと気になっています。
と言いますのも、私は営業組織において、採用や育成、チームビルディングなどといった人事のような役割をしているので、仕事柄、そのリスクや、リスクにつながりそうな諸々に目がいきがちです。
そんな自分の目線では、「越境」行為=異分子が組織に混ざることなので、何らかのハレーションが起こることになるリスクのようにも思え、万が一ハレーションが起こらないとすると対話が成り立たない状況なのではないかとすら思ってしまっています。
ただ一方で、組織の若手メンバー(社会人7年目頃まで)が、社内兼務を志願したり、社外での複業を申請したりする様子を伺っていると、この「越境」というものがリアルに自分の身近なところで起きていることも感じます。
組織にとって、会社にとって、この「越境」がもたらすものは一体何なのでしょうか?
正能さんのリアルな体験とともに、教えてもらえるとうれしいです。
(高橋さん・43歳・営業組織での人事職)
直感的には、心配・不安がくるのが当然だと思います
高橋さん、お便りありがとうございます。
越境=組織から見れば、異分子が組織に混ざること。
本当におっしゃる通りだと思いますし、結果、直感的に「何かまずいことが起こるのではないか?」と気持ちが曇るのもわかります。
大人になると、「異分子が来るぞ!ワクワク!」とはなかなかならないですよね。(苦笑)
そこで今日は、私のリアルな経験を踏まえ、「越境」を通して組織に起こりうることについて、お話させてください。
越境のメリット=人のつながり、スキル
ここからはわかりやすいよう、「越境人材を受け入れる側の組織」にフォーカスし、「(越境人材という)異質な存在が、組織に入ったときにどんなことが起こるのか?」というテーマで深掘りができればと思います。
まず、異質な存在の整理から。
異質な存在が持つ異質さには、ハード面での異質さと、ソフト面での異質さという2種類の異質さがあります。
ハード面での異質さとして最初に上がるのは、おそらく「人のつながり」でしょう。
「もともと人材業界にいたから、人材業界のつながりが広い」とか「広告代理店にいたから、代理店はもちろん、メディアや制作会社と親交がある」といった業界のつながりもあれば、「長野の会社で長く営業をしていたから、長野の会社ではいくつか顔が効くところがある」といった地理的なつながりもあるかと思います。
大人になって、人生の多くの時間を「仕事」に費やすとなると、仕事以外の時間でこうした「人のつながり」を仕事以外の場で新たに築くのは、現実的になかなか難しい。
だからこそ、すでに組織内の人が持っているつながりとは、また別のつながりを持っている異質な存在が、そのつながりという資源を持って組織にやってくるのは、組織にとってわかりやすく使えるリソースが増えたことになるのではないかと私は考えます。
また、同じくハード面での異質さとして上がってくるのは、「スキル・経験」です。
どの人材も、業種や職種、組織やコミュニティならでは経験をしてきているのは間違いなく、その経験をうまく活かすことができれば、組織の総力は上がるはず。
たとえば私の場合、広告代理店に勤めていたキャリアがあるので、今勤めている人材会社での新規事業を進める際に、「PRのことはこの人に相談しよう」「プロモーションのことはこの会社がよくやってくれるからお願いしよう」といった人のつながりを活かせたり、自身もPRやプロモーションに携わった経験があるので「これくらい数字を伸ばすなら、いくらくらい必要だ」という見通しが立てられたり、代理店とは全く関係のない仕事をしている今も、そのハード面での異質さが組織・事業の役に立っているように思えます。
この連載の記事
- 第318回 DTM勢がAIで作曲したら、AIの得意分野と苦手分野が見えてきた
- 第317回 ものづくり版コミケ「Makerフェア」2024年は面白かった。出展者の世代交代もなされているように見えた
- 第315回 0歳児、いつから保育園に? 女性の働き方、とことん考えてみました
- 第315回 推しの細胞がついた指輪を作ってもらった
- 第314回 おしゃれすぎるファン付きウェアを買って重要な問題に気付いた
- 第313回 0歳児がいながら、働く。ベストなやり方は?
- 第312回 パートナーの反対で転職できない問題
- 第311回 YouTubeの再生を止めないために画面を自動でタップする機械を作った
- 第310回 地方に移住したいが、東京にとどまるべきか
- 第309回 「マジック:ザ・ギャザリング」という深淵の入り口に立った。まだ底は見えない
- この連載の一覧へ