コロナ禍の終わりが見えない中で、働き方はどう変化したのだろうか。
経済産業省が、企業のテレワークの実施状況を公表している。
主に上場企業を中心とした大企業の多いリストだが、2021年11月30日付の最新版には1034社が掲載されている。
各企業が公表している取り組みを見ると、業種ごとにばらつきもあるが、コロナ禍でテレワークの導入が一気に進んだことを、あらためて実感できる。
このリストは、就職活動にも使えそうだ。
とくに、子どもが保育園に入るタイミングで新しい仕事を探したい、両親が高齢になり働き方を変えたいといった人には、参考になる情報が多いのではないか。
テレワークが難しい業種も
IT企業など、テクノロジー関連の企業は、比較的テレワークを導入しやすい環境にあるのだろう。
ソフトバンクのテレワーク実施率は2021年7月の実績で78%だった。
ちょっと「うらやましい」と思ってしまったのは、全国33拠点のWeWorkを全社員に開放し、在宅勤務の代わりにWeWorkで仕事をしてもいい、という取り組みだ。
毎週水曜日は、定時で仕事を終える日に設定。社外での副業を認めるだけでなく、社内の別の部門で副業ができる制度もある。
ソニーグループの本社では、2021年5月第3週の実績で、出勤率を8割削減した。
NTTドコモのテレワーク実施率は69.8%、KDDIは「約7割」との実績を公表している。
テレワークが難しい業種も
飲食やコンビニといったリアル店舗を多数抱えている業種は、やはりテレワークの導入も簡単には進められないのだろう。
セブン-イレブンジャパンは、テレワークの実施率62%との数値を公表しているが、管理部門に限定し、営業関連部門の数値は含めていない。ローソンは61%、ファミリーマートは60%との数値を公表している。
「モスバーガー」を展開するモスフードサービスは、2021年10月の実績で、テレワークの実施率が52%だった。店舗の従業員はカウントされていない。
職業紹介などを手がける、いわゆる人材系の企業は、「働き方」に敏感なのだろうか、テレワーク実施率が高い傾向がありそうだ。
エン・ジャパンは、11月時点でテレワーク実施率約9割、リクルートは10月の時点で79%としている。
リストにメガバンクの名前はない
気になったのは、銀行だ。
1034社を「銀行」のキーワードで検索すると、5件がヒットした。
新生銀行の2021年4月のテレワーク実施率は64.0%。あおぞら銀行は9月の時点で、国内拠点全体で44%との数値を公表している。
リストそのものは、経産省が経済団体などを通じてテレワークの実施状況の公表を呼びかけているもので、掲載の義務はないものの、メガバンクの名前は見つからない。
銀行は、ネットバンキングへの移行が一気に進んでいるものの、飲食店と同様にリアル店舗を抱えている。
さらに、顧客の口座情報など扱っている情報の重大性から、他の業種と比較して、容易にテレワークに移行できない事情があるのだろう。
おそらく格差が生じている
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