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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第152回

日本のキャッシュレス決済比率は約3割 中小店舗への普及がいまだ課題に

2021年11月08日 09時00分更新

文● 小島寛明

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 コロナ禍が始まったころから、ほとんど現金を持たずに外出することが増えた。

 電車での移動、スーパーやコンビニでは、クレジットカードや交通系の電子マネーで支払いを済ませている。

 スマホとカードケースだけを持って外出しても不都合が生じることはあまりないが、昼食の時間帯には不便を感じることがある。

 小さな飲食店の多くは、いまも現金決済が主流だからだ。

 個人として日々の生活で感じる小さな不便は、日本のキャッシュレス普及に向けた課題と直結しているようだ。

経産省の検討会

 経済産業省は、「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」を2020年度から開いている。

 2021年8月27日の会議で経産省が提出した資料によれば、2020年、日本のキャッシュレス決済の比率は29.7%だった。

 この数字を多いと見るか少ないと見るかは、意見が分かれそうだ。

 まず、日本国内を見るとキャッシュレスは確実にひろがっている。2010年の時点でこの比率は13.2%だったが、増加を続け、10年でほぼ倍増している。

 2019年10月から2020年6月に、政府がキャッシュレスで買い物をした消費者にポイントを付与する「キャッシュレス還元事業」を実施したことも、増加傾向を後押しした。

 さらに、人と人との接触を避けざるをえないコロナ禍が長期化したことが、キャッシュレスの普及に拍車をかけた。

 電通が2020年12月に実施したインターネット調査では、回答者の47.7%が「2020年3月の緊急事態宣言以降、支払いや買い物に占めるキャッシュレス決済の比率は増えた」と回答している。

 一方、国外を見ると、出遅れ感は否めない。

 韓国94.7%、中国77.3%(いずれも2018年のデータ)と、近隣の国々はかなり先を走っていることがわかる。日本より低い数値が示されているのは、ドイツの17.9%くらいだ。

キャッシュレスのメリットを感じられない中小店舗

 政府は、2025年にキャッシュレス決済比率40%、将来的には80%を目指すとの目標を掲げている。

 目標達成を目指すうえで、カギになるのは、中小店舗でのキャッシュレス決済の普及だ。

 この会議が始まった2020年6月に経産省が提出した資料によれば、中小・小規模事業者約200万店のうち、半数超がキャッシュレス・ポイント還元事業に参加したとされる。

 ただ、政府主導の大規模なキャンペーンが終わり、中小規模の飲食店などでは、キャッシュレス離れが起きたとの報道もあった。

 経産省が分析する、中小店舗によるキャッシュレス導入の阻害要因は複数ある。

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