Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccine by U.S. Secretary of Defense
新型コロナウイルスのワクチン接種に向けた準備が、急ピッチで進められている。
ワクチン担当大臣に任命された河野太郎行革担当大臣が「プロジェクトX」と表現したように、配送の面でも、システム構築と運用の面でもかなりの困難が予想される。
ファイザー社のワクチンは、マイナス75℃の超低温冷凍庫に保管する必要がある。保管状態に問題があれば、ワクチンが効力を失いかねない。
厚生労働省が公表している計画によれば、全国の自治体に合計で冷凍庫3370台を配布。そのうえで、人口割合に応じて市町村にワクチンを配るという。
新型コロナの拡大が始まった2020年には、10万円の一律給付をめぐってさまざまな混乱が起きた。
高齢者や基礎疾患のある人など、優先的な接種が必要な人に対して、速やかにワクチンは届くのか。
ワクチン接種は、政府がデジタル化を掲げる日本の現在地を知ることのできる、一大事業になるかもしれない。
●3億1400万回分のワクチンを確保
首相官邸の発表によれば、政府は米英のワクチンメーカー3社と契約を結び、3億1400万回分のワクチンを確保している。
● ファイザー社(米国):1億4400万回分
● アストラゼネカ社(英国):1億2000万回分
● モデルナ社(米国):5000万回分
2021年1月1日時点で、日本の総人口は約1億2557万人(概算値)。1人につき2回ずつ接種を受けたとしても、全員に行き渡る計算になる。
政府は、国、地方自治体、卸業者、医療機関などの間で、ワクチンの供給に関する情報を共有する「ワクチン接種円滑化システム」(V-SYS)を構築している。
厚生労働省が公表しているワクチン接種の資料によれば、国や都道府県、自治体はワクチンの分配量を決め、V-SYSに入力する。卸業者は、各医療機関への分配量や配送予定日といった連絡事項を入力する。各医療機関は、ワクチン接種を終えた数や、手元に何回分のワクチンが残っているかなどを入力する。
ワクチンの配送だけでも、多くの機関が絡み、複雑な運用が求められることが分かる。
●ドライアイスで保管
これにワクチンの保管が絡むとさらに複雑になる。3社のワクチンはそれぞれ保管温度に違いがある。
● ファイザー社(米国):マイナス75℃前後
● アストラゼネカ社(英国):2℃~8℃
● モデルナ社(米国):マイナス20℃前後
3社の保管温度を並べてみると、やはりファイザー社のワクチンは取り扱いが難しいことがわかる。
基本的にはマイナス75℃前後で保管できる超低温冷蔵庫で保管し、輸送の際には保冷ボックスに入れて運ぶ。
接種会場の医療機関などに届けられた後は、保冷ボックス内に入れておき、定期的にドライアイスを詰め替える。配送後、10日間程度は保冷ボックスで保管でき、保冷ボックスから冷蔵庫に移したとしても5日程度は保管できるとされる。
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