学生が内定を辞退しないようフォローするために使っていたが、合否を決める材料には使っていない――。
就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアの小林大三社長は2019年8月26日、記者会見を開いた。
2時間を超えた記者会見で、小林社長の主張を要約すると冒頭のようになるだろう。
同社は、学生7983人の同意を得ずに、内定を辞退する確率を予測し企業に販売していたとして、個人情報保護法違反の疑いで個人情報保護委員会から是正などについて勧告を受けた。
個人情報保護委員会は、データの提供を受けた企業からも事情を聴いており、データがどのように利用されていたかについても解明を進める方針とみられる。
●リクナビが企業にスコア提供
今回、問題になったのは、リクルートキャリアが提供するリクナビDMPフォローというサービスだ。
個人情報保護委員会によれば、同社は2019年3月、現行のDMPフォローの提供をはじめた。
現行のサービスでは、学生の個人データが提供される仕組みだったが、リクナビを利用する学生から第三者提供への同意を得ていなかった。
7月、個人情報保護委員会は同社に対して、「プライバシーポリシーの表現が学生にわかりにくくないか」と指摘したという。
リクルートキャリア側の説明によれば、DMPフォローは次のような内容のサービスだ。
リクルートキャリアは、契約した企業から学生の氏名などの情報の開示を受ける。この情報を基に、リクナビ側の情報と突合し、内定の辞退や選考のプロセスからの離脱の可能性をスコア化して提供した。
同社が契約した企業は38社、そのうち34社にスコアが提供されたという。
スコアは、0.0〜1.0の間で数値化され、0.5の学生より、0.7の学生のほうが辞退の可能性が高いが、辞退率を示すものではないという。
●スコアは「合否判定には使っていない」
スコアは、学生が閲覧している企業の業界・業種など、複数の要素から算出される。
たとえば、銀行とメーカーの両方を受けている学生が銀行の情報を繰り返し見ていれば、この学生はメーカーよりも銀行に行きたいのかもしれない。
小林社長は「該当企業の前年度のプロセスから離脱した方の情報をいただく。行動履歴からアルゴリズムを作成し、企業ごとに、どういう行動特性を持った人が辞退する可能性が高いのかを割り出す」と説明している。
銀行が第一希望だとしても、メーカーの面接で質問されれば、学生は「メーカーが第一希望です!とくに、御社で働きたいです!」とはきはき答えるだろう。
しかし、リクルートキャリアから提供されたスコアを見て、辞退率の高い学生であれば、別の本音があるかもしれないと、企業の採用担当者は考えるかもしれない。
ただ、冒頭で触れたように、リクルートキャリア側としては「合否判定には使っていない」が防衛ラインのようだ。
●スコア利用の実態解明が求められる

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