科学・生物で気になることをお届け! 「数式なんて知らんし!!」 第11回
サ ンプル持ってリターンしちゃうってすごすぎでは・・・?
小惑星探査機「はやぶさ2」の目的であるリュウグウのサンプル採取って実は凄すぎること
2019年03月20日 12時00分更新
戻ってくるのがわりとスゴイこと
2月22日の朝、歓喜のニュースが飛び込んできました。「はやぶさ2、小惑星着陸を確認!」「はやぶさ2、着陸に成功!」。宇宙好きなら、もうこれだけで朝からハイテンションになれますね。宇宙にそこまで興味がなくても、名前は知っている人の多い〝はやぶさ2〟が、こうやって明るい話題を振りまくだけで元気になれますよね?
地球の近く(といっても、その距離約3億キロメートル)にある小惑星『リュウグウ』を探査するための探査機、はやぶさ2。普通の探査機と違って、何がスゴイかというと、〝小惑星から岩石などの調査資料を採取して地球に持ち帰る〟点です。これが『サンプルリターン』です。普通の探査機は、惑星などに近づいて、外見を調べるためにカシャカシャ撮影したり、太陽からの影響や、惑星の磁場を調べたりするのですが、悲しいかな片道切符なんです。つまり、地球には戻ってきません。30年前に海王星に接近したボイジャー2号は、探査後延々と宇宙空間を爆進してますし、土星を探査したカッシーニは、その後土星本体に突入しました。だから、地球に戻ってくるだけですごいことなのです。
合わせて、なぜこんなに〝はやぶさ2〟が注目されるのか?それにはやはり、先代の『はやぶさ』の偉業があったからでしょう。多くの困難に負けることなく、地球への帰還を果たした先代のはやぶさ。そして、先代あってこそのはやぶさ2が今、ここで新たな活躍を成しえているのです!
たくさんの人々の夢と希望を乗せた2つのはやぶさを、〝読み終えたらちょっと人より話せる〟くらいに取り上げましょう。
はやぶさ2は、今から約4年と少し前、2014年12月3日に打ち上げられました。目的地は小惑星リュウグウです。なかなかにセンスありますよねこの名前。なんでも、〝浦島太郎が玉手箱を持ち帰る〟というところと、〝はやぶさ2がサンプルを持ち帰る〟ところがダブったため、このリュウグウが名前として選定されたそうです。
探査の可否や、自転のタイミングなどから、探査対象として決まったリュウグウですが、実はこのリュウグウ、惑星の成分として有機物や水が含まれているのでは……と考えられています。小惑星って、太陽系ができたころの物質がそのまま保たれていることが多いらしく、地球の物質の起源などを調べるのに良い存在なのですが、もしこのリュウグウで有機物がみつかったとすれば……そう、私たち生命がどこからきたのか、の解明に一歩近づくことになるのです。
打ち上げ後、はやぶさ2は機体のチェックなどを行い、その後約1年イオンエンジンでの航行(地球に似た軌道の航行)をします。えー、すぐにリュウグウに行かないのー? と思いがちですが、この間に、はやぶさ2に搭載されている機能やエンジンのチェックとそのための通信、自身の航行速度をアップしたりしてるんですねぇ。リュウグウに向かうための下準備といったところです。そして、打ち上げ1年後の2015年12月3日、地球の引力を使ってリュウグウへ向かう軌道に乗ったのです。『スイングバイ』ですね。惑星の引力使って方向や速度を変えるなんて誰が考え付いたんだかホント……。
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