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小島寛明の「規制とテクノロジー」 ― 第10回

慎重派の意見はどこまで盛り込まれるか:

違法ダウンロード対象拡大のなぜ

2019年02月18日 09時00分更新

文● 小島寛明

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 あるデザイナーがネットを見ていて、すてきな作品を見つけた。いずれ自分の仕事の参考になるかもしれないと考えて、その作品のスクリーンショットを撮って、自分のスマホに保存した――。

 こうした行為は今後、違法になる。一応、条件が付いている。違法とされるのは、「著作権を侵害していると知りながら」スクリーンショットを撮ったり、ダウンロードしたりした場合だ。

 こうした法改正の方向性を盛り込んだ報告書案が、2019年2月13日に開かれた文化審議会著作権分科会で了承された。文化庁は、現在開かれている通常国会に著作権法の改正案を提出する方針だ。

 ただ、分科会の委員の間では、閉鎖された漫画村に代表される海賊版マンガサイトなどに対して、すみやかな法整備が必要である点については一定の合意があったものの、規制のあり方については、いまも意見が割れている。

 議論がまとまらないのはなぜか。この規制、ネットを利用するほとんどの人に、何らかの影響が想定されるからだ。

●慎重論受け、報告書案を修正

 2月11日付の記事「スクショ違法に? 著作権法どう変わる」で紹介したのは、文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会が示した報告書案だった。

 2月13日に開かれたのは、その上部機関である「著作権分科会」だ。分科会も小委員会も、学者や業界団体の代表者らが参加している点では同じだが、小委員会で報告書案をまとめ、分科会がそれを了承する、というのが手続きの流れだ。

 1月25日に開かれた小委員会で議論が割れたのは、報告書案の、違法ダウンロードの対象範囲についての次の記述だ。

 「現時点における具体的な対象範囲の在り方としては、録音・録画と同様の要件の下、対象範囲を著作物全般に拡大していくことが有力な選択肢となるものと考えられる

 こうした記述に対して、何の制限も設けずに、著作物全般に対象を広げれば、ネット利用者への影響が大きく、「萎縮効果」を招くとの懸念からだ。

 反対意見を受け、2月13日の分科会では、上記の記述に「少なくとも民事については」など、刑事罰については範囲を一定程度制限しうるとも読める修正が加えられていた。

 13日の分科会も、違法化の範囲をめぐって、委員たちの意見は割れた。

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