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小島寛明の「規制とテクノロジー」 ― 第9回

萎縮効果に懸念:

スクショ違法に? 著作権法どう変わる

2019年02月11日 09時00分更新

文● 小島寛明

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 インターネットで公開されている、違法コピーのマンガや書籍のダウンロードを禁止する法改正を文化庁が進めているが、刑事罰の対象となる範囲をめぐって専門家の意見が割れている。

 2019年1月25日付の朝日新聞デジタルによれば、文化庁としては、通常国会に著作権法の改正案を提出する方針のようだが、この日に開かれた文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会で、委員から罰則の対象範囲を絞り込むべきだとの意見が相次いだという。

 現在も、違法コピーされたマンガなどの閲覧は比較的容易なため、出版社などから刑事罰の対象範囲の拡大の要請が強いが、刑事罰の拡大で「個人のインターネットにおける活動の自由を不必要に制約する」との見方も根強い。

 文化庁によれば、2019年1月25日には小委員会の意見がまとまらなかったが、その後、個別に意見の取りまとめをはかり、2月13日に開く分科会で、法改正の方向性について報告するという。

●違法コピーのサイトはいたちごっこ状態

 海賊版のマンガを集めたサイトと言えば「漫画村」が有名だ。2018年春には、プロバイダ側でアクセスを遮断する「サイトブロッキング」をめぐって、議論が起きた。

 現在も、海賊版のマンガを公開しているサイトは存在する。そのひとつが、英語のサイト「RawQV」だ。「高品質、最新のマンガを無料で」とうたう同サイトは、人気の国内マンガの最新エピソードを含めて、1話単位でダウンロードできてしまう。

 「RawQQ」「RawQV」など、Rawの後にアルファベットを二文字追加した複数のサイトが存在するようだ。

●音楽と映像の海賊版のダウンロード禁止から、著作物全般に

 海賊版のダウンロードは、音楽と映像を対象に、2012年の著作権法改正で刑事罰の対象になった。

 文化審議会の小委員会では、漫画村をはじめとしたマンガの海賊版サイトが問題化したことをきっかけに、「静止画・テキスト」などの音楽や映像以外の著作物についても、海賊版をダウンロードする行為を刑事罰の対象とするかどうかについて、議論を重ねてきた。

 この結果、小委員会の報告書案は、法改正の方向性を次のように示している。

 「現時点における具体的な対象範囲の在り方としては、録音・録画と同様の要件の下、対象範囲を著作物全般に拡大していくことが有力な選択肢となるものと考えられる」

 法定刑の水準は、録音・録画と同様、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はその併科」との方向性を示している。 ユーザーも刑事罰の対象となりうる法改正だが、海賊版である「事実を知りながら」という「主観要件」が改正法に含まれる見通しだ。海賊版と知ったうえで、ダウンロードをしたユーザーは刑事罰に問われる可能性があるといえる。

 さらに、海賊版が表示されている画面のスクリーンショットも違法とされる可能性もある。

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