この連載は江渡浩一郎、落合陽一、きゅんくん、坂巻匡彦が週替わりでそれぞれの領域について語っていく。今回は江渡浩一郎が中島聡氏と清水亮氏のディープラーニングについての批判と反論についてコメントする。
産総研は、ディープラーニング(深層学習)に特化したコンピューターの開発を表明した。それについて、中島聡氏から批判があり、清水亮氏が反論した。これについて思うところをコメントしてみる。
まずそれぞれの意見を簡単にまとめておこう。中島氏は、国のスパコン戦略については単なる税金の流し込みであり国際競争力が増すわけでもなく、本気のディープラーニング研究には自作パソコンとGPUカードを組み合わせたマシンを購入補助するだけで十分、投資するのであればディープラーニング向けの専用ハードウェア(GPU開発など)が良いと主張する。
対して清水氏は、中島氏の国立AIクラウド批判は的外れであり、スパコンといっても目的・構成は異なり、実際に計算機資源が足りていないため、この投資は国によるインフラ整備として大きな価値を持つと反論した。
まずDisclaimerとして、私は産総研の情報領域の研究者であり、本プロジェクトとは間接的な利害関係がある。また、私は機械学習利用促進勉強会(MLEP)の初期メンバーの1人であり、清水氏とは同じメンバーとして何度か議論している。
さて、最初に共有しておかなくてはならないのは、中島氏が言う「スパコンは無駄」はおおよそ事実であるということだ。本件は、事業仕分けにおいて蓮舫氏が「2位じゃダメなんでしょうか」と発言し、大きな話題となった。いわゆる政争の具となったと言っていいだろう。
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