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おもしろスゴイがスグ買える IoT最前線 第1回

普段の生活の中に溶け込んだIoTだからこそ価値がある

2016年08月05日 17時00分更新

文● 近藤正充(+Style事業責任者)

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IoT(Internet of Things)に求められることとは?

 みなさん、はじめまして。ソフトバンクで「+Style(プラススタイル)」という、IoT的な商品の企画や商品が購入できる、まったく新しいウェブサービスの責任者をしている近藤と申します。縁あって、ここで連載をすることになりました。

 さて、ソフトバンクの人間が「何について書くのか」ということですが、仕事柄、多くのIoT商品を見ています。また、実際に今後出てくるIoT“的な”商品の企画をしたりもしています。そんな中で得られた情報、考察をお伝えしつつ、+Styleからオススメの一品をご紹介できればと思います。以後、どうそおみしりおきを。

IoTは特別ではなく生活に馴染むこと

ソフトバンクによるWebサービス「+Style(プラススタイル)」は、IoT関連商品の企画や商品を主に販売している

 「世の中便利になった」とは、それなりの年齢になると言いたくなるものです。確かに、便利になったモノは多くありますよね。パソコンやスマホ、インターネットだって、なかった時代を想像するだけで(ボクはあえてよく思い出してみるのですが)、少しゾッとします。ですが、大衆化されたモノのほとんどが“普段の生活のまま受け入れられるモノ”だったでしょうか?

 それは違いますよね。スマホだって、パソコンですら普及率は100%ではないのです(ちなみにボクの両親はガラケーだし、パソコンはまったく使えません)。ナゼでしょう? 「新しいことを覚えなければいけない」「やらなければいけない」からです。ボクがソフトバンクのスマホ・携帯電話の商品企画の責任者をしていた頃(わずか4年ほど前ですが)は、いかにシニアの方にスマホを使っていただくか、ということで悩んでいました。

 アンケート調査やFGI(フォーカス・グループ・インタビュー)などをしてニーズの深掘りをし、ようやく出したシニア専用スマホが……(オトナの事情でコメント自粛)。つまりは、ほとんどのシニアの方は、“普段の生活に電話を使うことがない”のです。ですから「スマホを持ってもらおう」という考え方がスタートではなく、「シニアの方が普段の生活を変えずに、いかに便利に安全に暮らしてもらえるか」という主眼で考え、そこに通信会社ならではのビジネスを入れる必要があったのです。

 象印さんが「ポットを使うだけで離れて暮らす家族の生活をさり気なく見守れる」という商品を約15年も前から出していますが、累計で1万契約を超えているそうです。カメラとか仰々しいものではなく、普段使うポットに置き換え「使う or 使わない」でお年寄りを見守れるというもの。

 今の技術ならライトや座布団などに心拍が測れる機器を入れ、健康状態まで見守ることもできます。そんなIoT商品は、いくつも考えられているでしょう。水道の蛇口で使う量をモニターするのもいいかもしれません。そういうことなんですよ。IoTだから使うのではなく、普段の生活の中に溶け込んだIoTだからこそ価値がある。

 Bluetoothを使った忘れ物防止トラッカーというものがあります。キーボルダータイプやデザイン性の優れたモノなどいろいろありますが、どれもしっくり来ない。何でだろうと考えて、腑に落ちたんです。だってボクは“それ(忘れ物防止)用に何か特別なモノ”をさらに持ちたくないんですよ。財布をなくしたくないなら財布に機能が入っているべきだし、鍵をなくしたくないなら、キーホルダーではなく鍵そのものに機能があるべきだと。必然性のあるカタチでこそ、普及するんです。では、財布なら何か?

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