このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第254回

市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 10月10日~10月16日

Webサイトのデータベースを狙う攻撃が顕著に増加/情シス担当の半数が転職意向、背後にある変化/AI業務活用、実態は“AIオペレーター”?、ほか

2026年10月19日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2026年10月10日~10月16日)は、ランサムウェア攻撃や国家支援型APT攻撃の最新動向、Webサイトに対する攻撃の急増やそこに見られる変化、情報システム担当者の転職意向とその背景、企画/マーケティング職のAI活用実態と得られた/得られなかったものについてのデータを紹介します。

[セキュリティ] 国内ランサムウェア被害件数は前年同期比1.6倍に、AIの攻撃解析を妨害する手法も(S2W、10月14日)
・世界のランサムウェア被害件数、2026年上半期は前年同期比で1.35倍に増加
・日本は前年平均の約1.6倍に増加、韓国や台湾の被害件数を上回る
・日本で最多の被害をもたらしたのは、新興攻撃グループ「The Gentlemen」

 ダークウェブや犯罪フォーラムの観測、国家支援型APTグループ分析に基づく「2026年上半期のランサムウェア動向」レポートより。リークサイトに掲載されたランサムウェア被害は世界全体で5984件に上り、2025年上半期の4429件から約1.35倍に増加した。日本の企業/組織における被害は64件で、2025年の半期平均(39件)の約1.6倍にあたり、東アジア3カ国(日本/台湾/韓国)の中で最多の件数。日本では、2025年に登場したランサムウェアグループ「The Gentlemen」による被害が昨年の1件から13件へと急増し、最も多くの被害をもたらしたグループとなった。北朝鮮/中国/ロシアの国家支援型APTグループに関する報告は世界全体で158件で、2025年下半期の147件から7.5%増加している(北朝鮮99件、中国33件、ロシア26件)。

 ⇒ 高度な攻撃手法を駆使する国家支援型APTグループの攻撃においては、LLMベースのセキュリティエージェントによる脅威解析を中断させようと、マルウェア内部に多数のプロンプトインジェクションを埋め込んだ事例も発見されたとのこと。防御側では“AIで守る”アプローチが注目されていますが、そのAI自身もまた攻撃のターゲットになりつつあります。

[セキュリティ] Webサイトへの攻撃で「SQLインジェクション」「攻撃元IPの分散」が顕著に、AIによる攻撃自動化の可能性も(サイバーセキュリティクラウド、10月15日)
・Webサイトの攻撃検知件数、7~9月は前四半期比で16.3%増加。9月は今年最多
・「SQLインジェクションの増加」「攻撃元IPの分散化」が大きなトレンド
・探索行為(Webスキャン)と侵入試行(SQLインジェクション)が同時期に急増、攻撃自動化の可能性

 同社が提供するクラウド型WAF/WAF運用サービスの観測データに基づくレポート。2026年7~9月のサイバー攻撃検知数は、前四半期比16.3%増の累計約10億7000万件に達した。これは1日平均約1165万件、1秒間あたり約135件にあたる。特に9月は月間約4.5億件と、7月の約1.6倍の攻撃を検知し、9月26日には1日で約2142万件を記録している。同月は、攻撃の下見にあたる「探索行為(Webスキャン)」と、発見された入り口をこじ開ける「侵入試行(SQLインジェクション)」が同時に急増しており、この2つの行為の連携が自動化されている様子が鮮明になった。また「攻撃元の分散化」も顕著であり、ある国内ECサイトへの攻撃では、1日に最大19万件の異なるIPアドレスからの攻撃も観測したという。そのため「特定IPアドレスのブロックや国別のアクセス制御だけでは防ぎきれない可能性がある」と指摘している。

 ⇒ この1、2カ月ほど、立て続けにサイバー攻撃による情報漏洩事件が公表されています。同社の別レポートによると、国内では約40分間で326ものIPアドレスを使い分け、1200件超のアクセスを繰り返す攻撃も観測されており、AIの利用を直接示す痕跡は確認されていないものの「AIエージェントまたはそれに近い仕組みが使われている可能性がある」とのこと。上述した“探索-侵入試行の連携”も含め、サイバー攻撃の自動化が新たな段階を迎えており、警戒と対策の検討が必要です。

同社のWAFが検知した攻撃総数/1ホストあたりの攻撃総数の推移(2025年7月~2026年9月)(出典:サイバーセキュリティクラウド)

データベースを狙ったSQLインジェクション攻撃が、7月から9月の間に急増した(出典:サイバーセキュリティクラウド)

SQLインジェクションの攻撃元IPアドレスが急増し、「攻撃元の分散化」の兆候が見られる(出典:サイバーセキュリティクラウド)

攻撃元IPアドレスを持つ国のランキング。2位日本からの攻撃が前年同期比で3.5倍に増加(出典:サイバーセキュリティクラウド)

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所