Nyx Foundation、企業向け技術支援プログラム「Nyx Enterprise」を始動
Nyx Foundation
セキュリティ検証、耐量子移行やオンチェーン金融の設計を支援

Nyx Foundationは、企業向け技術支援プログラム「Nyx Enterprise」を開始します。
重要なソフトウェアのセキュリティ監査と形式検証、耐量子暗号への移行、オンチェーン金融の市場・リスク設計を、各社の課題に応じて支援します。
Nyx Enterprise立ち上げの背景
生成AIの発展により、ソフトウェアの設計や実装にかかるコストは大きく下がりつつあります。コードや仕様、テストを短時間で生成できるようになる一方、生成された成果物が要件を正しく満たしているか、安全性に問題がないかを確認する工程の重要性は高まっています。
開発速度が上がり、生成・変更されるコードや仕様の量が増えるほど、人手だけですべてを確認することは難しくなります。今後のソフトウェア開発では、「作る能力」だけでなく、「正しさを効率的かつ継続的に検証する能力」が、より重要な技術基盤になると考えています。
特に、金融取引や資産管理、社会インフラなどを担う重要システムでは、「正しく実装されているか」に加えて、「設計や仕様そのものが正しいか」を検証する必要があります。
Nyx Enterpriseは、AIによってソフトウェア開発が高速化する時代において、数学的検証、セキュリティ、暗号、市場設計の専門知を通じて、企業が重要システムの正しさと安全性を継続的に確認できる技術基盤を提供します。
1. セキュリティ監査と耐量子暗号への移行
セキュリティ監査 - 形式検証
重要なソフトウェアを対象に、設計レビューや実装監査を通じて、脆弱性・攻撃リスクの特定から対策方針の策定まで一貫して支援します。新規開発だけでなく、既存システムの改修や運用段階にも対応します。
こうした支援には、セキュリティ監査コンテストでの入賞経験、暗号ライブラリやDeFiプロトコルの監査実績、イーサリアム財団の研究助成を受けた脆弱性発見・修正の自動化研究で培った知見を活用します。さらに、脆弱性発見AI「SPECA」を開発工程に組み込み、問題の発見から修正案の作成、再検証までを継続的に行える体制づくりを支援します。
システムの重要度やリスクに応じて、数学的手法に基づく形式検証も取り入れます。数理モデルと形式仕様を作成し、実装が満たすべき性質を検証します。また、自然言語で記述された要件と形式仕様の整合性を確認する「意味論監査」や、形式仕様と実装の整合性を確認する「リファインメント監査」にも対応します。
DeFiプロトコル、ZK回路、L1/L2チェーンでの検証実績に加え、「Lean Atlas」「Atlas Prover」などのツールを活用し、仕様変更やアップグレードに伴う再検証まで支援します。
耐量子暗号への移行
量子計算技術の進展を見据え、企業のシステムを耐量子暗号へ移行するための計画と実行を支援します。利用中の暗号技術を棚卸しし、移行対象と優先順位を整理したうえで、鍵管理、性能、既存システムとの互換性や業務への影響を踏まえた移行計画を策定します。
Ethereumの耐量子化に向けた取り組みや、規制当局向けの移行レポートの執筆で培った知見を生かし、実装・検証から社内研修まで対応します。
2. オンチェーン金融基盤の設計・検証
分散型取引所(DEX)とレンディングの設計・分析
AMMやRFQなどの取引方式、流動性供給の仕組みを設計・分析し、ステーブルコイン、RWAなどの対象資産や参加者の特性に応じた市場設計を支援します。取引コストや大口取引による価格への影響に加え、流動性供給者の収益性・リスクを評価します。また、価格変動や流動性の減少を想定した分析を通じて、設計上の課題を明らかにし、取引方式や手数料、流動性供給の仕組みの改善につなげます。
レンディングの設計・リスク評価
担保資産の特性や市場の流動性を踏まえ、借入条件、金利モデル、清算メカニズムの設計・分析を支援します。担保価値に対する借入上限や清算条件などを検討するとともに、価格急変や資金の引き揚げを想定した分析・シミュレーションを通じて、流動性不足や貸倒れのリスクを評価します。また、担保売却先となるDEXの流動性や価格への影響も考慮し、分析結果を具体的な設計やパラメータの検討に反映します。
主な実績と取り組み
国内投資家向けDeFi Gateway

https://www.smbcnikko.co.jp/news/release/2026/pdf/261002_01.pdf
SMBC日興証券、Nethermind、Coinbase Technologies Inc.、Uniswap Labsとともに、国内投資家によるBase上のDeFiへのアクセスを支えるプラットフォームの実現可能性を共同で設計します。エージェントを活用した資産配分機能や、投資家保護等の要件に対応する流動性プールを対象としています。
本プロジェクトにおいて、Nyx Foundationは、マーケットメイキング戦略や流動性・リスク管理メカニズム、関連するフック・ボールト構造の設計・最適化に関する助言を行います。また、モデル化、シミュレーション、仕様策定、形式手法を用いた評価に取り組み、市場メカニズムの設計と技術的な検証の両面からプロジェクトに貢献します。
資産運用システムのセキュリティ耐性評価

https://www.aainc.co.jp/news-release/2026/02725/
アライドアーキテクツ株式会社とパートナーシップ契約を締結し、オンチェーンを活用した資産運用システムのセキュリティ耐性評価に関する共同研究を予定しています。AIエージェントによる攻撃シミュレーションを通じ、企業が利用・提携を検討するシステムの安全性を評価する仕組みの構築を目指します。
AIを活用した脆弱性発見の研究

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000170100.html
Nyx Foundationが開発する「SPECA」は、仕様を基にEthereumクライアントの実装を点検するAIバグ発見システムです。2025年に開催されたEthereumのFusakaアップグレードに関する公開監査コンテストでは、17件の有効な脆弱性を報告し、報告件数で第1位となりました。また、イーサリアム財団のプロトコルセキュリティ研究チームによる研究助成金に採択されています。
形式検証ツール「Lean Atlas」の公開

https://arxiv.org/abs/2604.16347
形式的な証明に使われる定義や命題のつながりを可視化し、人による確認が必要な箇所を絞り込むツール「Lean Atlas」を公開しています。AIを活用して証明を作成する際にも、その証明が意図した内容を表しているかを確認するための研究成果です。
耐量子署名の形式検証

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000170100.html
Nyx Foundationは、ケンブリッジ大学で開催された耐量子暗号のワークショップ「PQ Interop」で、耐量子署名の形式検証結果を発表しました。耐量子暗号と形式検証を組み合わせた研究にも現在取り組んでいます。
コメント
Ethereum Foundation President 宮口あや
イーサリアムは、誰もが使える公共のインフラです。その上で、公共・民間を問わず多様なプロジェクトが育っていくには、技術を正しく理解し、安全な活用を支える地域のチームが欠かせないと思っています。イーサリアムコミュニティの中で、セキュリティを軸に技術研究を重ね、着実に育ってきたNyxは、日本では貴重な存在。AIによるソフトウェア開発が広がる今、その安全性を検証する専門知は不可欠です。Nyxが、その知を社会での実践に正しくつなげていくことを期待しています。
Ethereum Foundation Treasury Manager Nishigawa Nakaba
私がNyxを支援しているのは、自分の「好き」に嘘をつかず、純粋な知的好奇心で研究を突き詰める人たちがいるからです。AIによってソフトウェア開発が加速するほど、「動くものを作る」だけでなく、設計そのものの正しさや安全性を問い、確かめ続ける力が重要になると考えています。Nyx Enterpriseには、形式検証や暗号、市場設計の専門知識を、企業が安心して技術を活用できる基盤へとつなげることを期待しています。自由な探究を原動力に、社会の信頼を支える。そんなNyxらしい挑戦を、これからも応援していきます。

Nyx Enterprise 責任者 太田航志 Nyx Enterpriseでは、市場設計の研究と、形式検証・セキュリティの専門知を組み合わせ、企業ごとの課題に応じた設計・実装・検証を支援します。企業の皆様との対話を通じて実務上の課題を捉え、研究で得られた知見を具体的な仕組みへとつなげることで、安全で持続可能な情報社会・オンチェーン金融の実現に貢献してまいります。
Nyx Foundationについて

一般社団法人Nyx Foundation(所在地:東京都文京区)は、Ethereum・ブロックチェーンに特化した私設の研究機関です。形式検証とセキュリティを専門領域とし、次世代プロトコルの安全性向上に取り組んでおります。
すべての活動資金は寄付・研究助成金・スポンサーシップによって支えられております。Ethereum Foundationやブロックチェーン企業・大学との連携を進め、Financial Cryptography 2026 DeFi Workshopでの論文採択、ICLR 2026 Agents in the Wild Workshop採択、Ethereum次期アップグレード「Fusaka」監査コンテストでの脆弱性発見数世界第1位、イーサリアム財団研究助成金採択など、国際的な学術成果と実績を上げております。
本件に関するお問い合わせ
Nyx Enterprise・太田航志
メールアドレス:contact@nyx.foundation
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