スマホのようにEVを充電!? 世界初のインバーター一体型ユニットで実現する「夢の給電道路」
ホンダと大成建設、大成ロテックによる共同開発の新技術が発表されました。どのような内容なのか? 今後の展開などもあわせてレポートします。
EVで走りながら道路から充電する
ホンダと大成建設、大成ロテックの3社が「磁界結合方式無線給電道路システム」の共同開発を発表しました。簡単に言ってしまえば、走行中のEVに道路から非接触で充電してしまうという技術です。これを、クルマのスペシャリストであるホンダと、道路のスペシャリストである大成建設/大成ロテックという3社が組んで開発したというのです。
ちなみに「磁界結合方式」の非接触充電は、スマートフォンの充電に使われるQi規格が有名です。つまり、スマートフォンと同じことをクルマと道路で再現しようというもの。もしも、実現すれば、EVは走りながら充電できますから、航続距離を伸ばすことが可能となります。走行中充電を前提にすれば、EVに搭載するバッテリーを小さくすることができます。また、PHEVでも使うことができるでしょう。充電スタンドに並ぶ必要もなくなります。Qiのように標準規格になれば、いろいろなメーカーのクルマでも利用することも期待できます。
今回の発表は、まさに夢の技術と言えるものでしょう。
路面化の給電装置で交流に変換
今回の共同開発では、3社がそれぞれ異なる役割を担いました。ホンダは送受信のための直流配電型GAシステムと給電装置のGAユニット、そして車載の充電装置となるVAユニットを担当。大成建設がシステムの全体に電源を供給する道路の直流電源システム。そして大成ロテックが、施工方法の開発を担当しています。クルマ回りがホンダで、道路側が大成建設と大成ロテックという分担です。
技術的なトピックは、路面に埋め込む送電のGAユニットにインバーターを一体化させていることです。これは世界初の技術とか。磁界結合方式での無線給電は、交流電流にて行なわれますが、インバーターがあるのでGAユニットで直流から交流への変換が可能です。
つまりGAユニットまで直流で電気を送ることができます。そのことで配線がシンプルになり、機器を道路に埋める施工性が良好になるそうです。
公開されたGAユニットは1つが1m四方ほどのサイズで、厚みは9㎝程度。これを路面につなげて埋め込みます。埋設は、道路を約9㎝掘って、GAユニットを置いて接着剤とモルタルで固定し、その上に5㎝ほどアスファルトを敷いて完了となります。
また、供給する電流や電圧は未公開とされましたが、最大150kWもの高出力の給電を実現するとか。直流システムとすることで、埋設の優れた施工性と、効率的で安定した大電力の給電を実現したというのです。
今回の発表にさきがけ、舗装構造に埋め込んだGAユニットへの耐久試験を実施し、大型商用車による長期間の走行に対応できることが確認できたと確認したそうです。
試験走行路を作っての長期耐久試験を予定
今後3社は、2026年末から、埼玉にある大成建設グループ次世代技術実証センター/田村「T-FIELD/TAMURA」に試験走行路を構築し、実車を用いて開発を進める予定です。具体的には、実車を用いた100万輪(49kN換算輪数)の長期耐久性の試験や、走行中の給電性能の実験、漏えい電磁界対策などを行います。
さらに3社は、2027年度以降に予定される、東日本高速道路が実施する千葉・館山自動車道における走行中無線給電技術の実証実験「館山プロジェクト」への参画も決まっています。いわゆるNEXCO東日本(東日本高速道路)が主導するプロジェクトなので、現時点で、どのような技術が用いられるかわかりませんが、今回発表された技術の延長であることが予想できます。
社会実装までの目安と課題
今回の発表において、取材陣からは「いつごろ社会実装されるのか?」という質問が出ました。ところが、それに対する3社からの回答は「具体的には言えません」という残念なものでした。話をいろいろと聞いてみれば、機器や道路の耐久性をはじめ、実際の給電の性能、コストに課金方法、さらには他の自動車メーカーとの連携など、まだまだ課題が山積しているというのが実情のようです。
そういう意味で、今回の共同開発は、「まずは、できることを進めよう」というスタンスなのでしょう。夢の話というほど遠くはありませんが、社会実装まで2~3年ではなく、もう少し気持ちを長く持って待つ必要があるようです。
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