10月1日、カスタマーハラスメント対策が全事業主の義務に
スタンダード・リンク株式会社
企業が把握した相談件数で、増加が減少を上回ったのはカスハラだけ。3割超の企業はなお未対策

スタンダード・リンク、義務化施行の一年以上前に「ハラスメント検知記録装置」の特許登録を完了
2026年10月1日、改正労働施策総合推進法が施行される。顧客等からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントについて、すべての事業主に雇用管理上の措置が義務づけられる。同日、求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置も義務化される。
この改正には、パワーハラスメント防止措置のときに設けられた中小企業向けの猶予期間がない。労働者を一人でも雇用していれば、企業規模を問わず、10月1日から一斉に義務の対象となる。措置を怠った場合、助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わなければ企業名が公表される可能性がある。
データが示す、カスハラ相談の増加
厚生労働省の委託により実施された「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」(有効回答7,780社)は、この改正の背景を数字で示している。
企業が把握した過去3年間の相談件数の推移を種類別に見ると、パワハラ、セクハラ、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメントは、いずれも「減少している」と答えた企業が「増加している」を上回った。ただ一つ、顧客等からの著しい迷惑行為だけが逆転している。増加していると答えた企業が23.2%、減少していると答えた企業が11.4%。該当事例の件数でも、同じ逆転が起きている。
企業が把握した相談件数の推移において、増加が減少を上回ったのはカスハラだけである。なお、これは企業に寄せられた相談の件数に関する回答であり、被害の発生件数そのものを示すものではない。
対策の空白
同じ調査で、パワハラの予防・解決に何らかの取組を行っている企業は95.2%にのぼる。これに対し、顧客等からの著しい迷惑行為については64.5%にとどまり、35.5%の企業が何も実施していない。従業員99人以下の企業では、42.5%が何も実施していない。
働く側から見た勤務先のカスハラに関する取組について、「特にない」と答えた労働者は71.1%である。
現場は、すでに諦めている
カスハラを受けた後の行動として最も多かったのは「社内の上司に相談した」で38.2%。しかし僅差の2番目に、「何もしなかった」が35.2%で続く。そして何もしなかった理由の最多は、「何をしても解決にならないと思ったから」で56.1%だった。

現場のイメージ。窓口や売場では、対応した本人以外に状況を知る者がいない場面が生じる。画像はイメージであり、実際の事案ではない。
厚生労働省の指針は、事案の悪質性に応じた抑止措置として、警告文の発出、商品販売やサービス提供の拒否、店舗への出入禁止、民事保全法に基づく仮処分命令の申立てを挙げている。
指針は、事案への対応にあたって事実関係を迅速かつ正確に確認することを求め、その方法の例として、周囲の労働者からの聴取とあわせて、録音・録画等の客観的な証拠を確認することを挙げている。客観的な記録があれば、事実関係の確認や、組織としての対応判断を支えることができる。

現場のイメージ。窓口や売場では、対応した本人以外に状況を知る者がいない場面が生じる。画像はイメージであり、実際の事案ではない。
指針が求める対処と、現場の物理的制約
指針(令和8年厚生労働省告示第51号)は、事業主があらかじめ定めて周知すべき「対処の内容」として、管理監督者等への直ちの報告、可能な限り労働者を一人で対応させないこと、顧客等とのやり取りを録音・録画することなどを例示している。これらは限定列挙ではなく、特定の機器の設置を義務づけるものではない。
こうした対応を、限られた人員で日常業務と並行して運用することは、現場によっては負担となる。必要なのは、対応中の従業員に、録画開始などの追加操作をできる限り求めない仕組みである。
義務化の一年以上前に登録された特許
スタンダード・リンク株式会社(本社:東京都中央区)は、この課題に対応する技術について、特許第7728631号「ハラスメント検知記録装置」の登録を受けている。出願は2025年5月1日で、改正法が公布された2025年6月11日より前にあたる。登録は2025年8月15日で、指針が公布された2026年2月26日より前、施行日である2026年10月1日の1年以上前である。
登録された請求項1は、衣服に装着する装置を対象としている。装着された位置から集音と撮像を行い、音声データと画像データを収集するセンサ、その双方を組み合わせてハラスメント行為を検知する検知手段、検知された場合に少なくとも検知前から行為が終了するまでの音声・画像データを記憶装置に保存する制御手段を備える。
本特許は、職場や学校等における各種ハラスメント(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、ジェンダーハラスメント、カスタマーハラスメント等)を対象とする発明である。請求項の全文は登録公報および同社サイトで確認できる。

実装イメージ。本体の各面と、衣服への装着例。請求項1には特定の形状名は記載されておらず、掲載例は実装候補である。特定製品の仕様や外観を示すものではない。
AIが担うのは、判断ではなく客観化
この技術は、行為の違法性を判定するものではない。カスハラに当たるかどうかを最終的に判断するのは、人であり、企業である。

画面イメージ。氏名・声・映像の匿名化、閲覧権限、保存期間の設定を含む構成を示している。画面内のスコアは表示例であり、検知精度を示すものではない。最終的な判断は人が行う。
前述の調査で、ハラスメント対策に取り組む企業が挙げた最大の課題は「ハラスメントかどうかの判断が難しい」で59.6%。カスハラに固有の課題としては「迷惑行為と正当なクレームや要求とを区別する明確な判断基準を設けることが難しい」が挙がり、判定基準そのものを策定していない企業が3割を超える。
技術が担うのは、その判断の材料を客観化することにある。現場の個人が一人で背負ってきた判断を、組織が共有できる情報に変える。必要なのは、より厳密な基準そのものよりも、基準を当てはめるための事実である。

画面イメージ。事案の記録を報告書として出力し、人事、コンプライアンス責任者、経営層へと承認を経て共有する構成を示している。匿名化して出力する選択肢を備える。
単発の発明ではなく、共通の基盤
同社はこれまで、暗所でも被写体の色を保持するカラーナイトビジョン技術(特許第7680096号)を「AIの目」として、エッジAIコンピュータを「AIの脳」として開発してきた。センサーからの複数の入力を現場側の装置で統合して判断する設計思想を、同社は「フィジカルAIプラットフォーム」と呼んでいる。
同社は、今回のハラスメント検知を、この基盤に音声という入力を加えた実装事例と位置づけている。同社は現在、登録特許5件と公開中の出願1件を保有している。

構成イメージ。衣服に装着する端末が音声と画像を収集し、記録は管理画面やモバイル端末から確認する。明細書には、記憶装置を端末内部に限らず外部に置く構成が記載されている(【0070】)
被害の多くは、働いている場所で起きている
前述の調査によれば、カスハラを受けた場所として最も多いのは「通常就業している場所」で60.7%、次いで「顧客等との電話やメール等での応対時」が38.1%だった。以上が調査によって示された事実である。
以下は、同社が示す実装の考え方である。働く場所は一か所に留まらない。レジ、売場、窓口、病室、訪問先へと、人とともに動く。衣服に装着する装置は、その移動に追従する。
衣服装着型の機器は、事実確認や責任者への共有、事後対応を支援する手段の一つとなり得る。ただし、機器の導入のみで指針が求める措置を充足するものではない。

現場のイメージ。左は医療現場、右は相談窓口。いずれも応対する側が衣服に機器を装着している。画像はイメージであり、特定製品の仕様や外観を示すものではない。

画面イメージ。事案の件数、種類別の内訳、対応状況を一覧で把握する構成を示している。画面内の数値は表示例であり、実績ではございません。開発中の画面
共創パートナーの募集
同社は、この技術の社会実装に向けた共創パートナーの募集を開始する。想定する連携の形は三つある。
- 自社の現場に導入し、実証に参加する事業者。
- 衣服装着型記録機器(名札型・ボディカメラ等)に本技術を組み込むことを検討するメーカー・販売事業者。
- 事業化そのものに参画し、プラットフォームの構築を共に進めるパートナー。

共創パートナー・アサヒリサーチ株式会社の名札型ボディカメラ「Driveman NC-1」。左は装着例、右は本体。同社は警察と共同開発したバイク用ドライブレコーダーが全国40都道府県の白バイに採用されるなど、官公庁向け記録機器で実績を持つ。本特許の技術は、こうした衣服装着型の記録機器への実装を想定している。(画像提供:アサヒリサーチ株式会社)
同社はPoC(実証実験)を4週間から8週間の単位で受け入れる体制を持ち、秘密保持契約への対応、閉域網環境での構築にも対応する。
なお、本技術は人物の常時監視を目的とするものではない。登録公報の実施形態では、センサが音声と画像を継続的または定期的に取得し、一時記憶したデータを一定時間経過後に削除または上書きし、ハラスメントが検知された場合に少なくとも検知前から行為終了までの区間を保存する構成が記載されている。実際の運用は、個人情報保護法その他の関連法令に適合するよう設計する。

現場のイメージ。左は交通・案内の窓口、右は金融機関の窓口。いずれも応対する側が衣服に機器を装着している。画像はイメージであり、特定製品の仕様や外観を示すものではない。
人を監視するのではなく、人を守るために。
起きた後の記録だけでなく、現場が一人で抱え込まない仕組みへ。人手不足が構造的なものである以上、現場を支える手段として、技術が果たせる役割がある。
出典
厚生労働省委託事業「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」(令和6年3月、PwCコンサルティング合同会社)/企業調査 有効回答7,780件、労働者等調査 8,000名。厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)。
掲載画像は実装・構成のイメージであり、特定製品の仕様や外観を示すものではありません。NC-1の写真はアサヒリサーチ株式会社の提供によります。
会社概要
社名:スタンダード・リンク株式会社
所在地:東京都中央区日本橋小網町16-1 タナベビル2階
設立:2022年2月14日
事業内容:特殊カメラ・AIカメラ・監視システムの開発・製造・販売、エッジAI・画像解析技術開発
URL:https://www.standard-link.jp
本件に関するお問い合わせ
専用ページ:https://www.standard-link.jp/harassment-ai.html
E-mail:info@standard-link.jp
働く側から見た勤務先のカスハラに関する取組について、「特にない」と答えた労働者は71.1%である。
現場は、すでに諦めている
カスハラを受けた後の行動として最も多かったのは「社内の上司に相談した」で38.2%。しかし僅差の2番目に、「何もしなかった」が35.2%で続く。そして何もしなかった理由の最多は、「何をしても解決にならないと思ったから」で56.1%だった。

現場のイメージ。窓口や売場では、対応した本人以外に状況を知る者がいない場面が生じる。画像はイメージであり、実際の事案ではない。
厚生労働省の指針は、事案の悪質性に応じた抑止措置として、警告文の発出、商品販売やサービス提供の拒否、店舗への出入禁止、民事保全法に基づく仮処分命令の申立てを挙げている。
指針は、事案への対応にあたって事実関係を迅速かつ正確に確認することを求め、その方法の例として、周囲の労働者からの聴取とあわせて、録音・録画等の客観的な証拠を確認することを挙げている。客観的な記録があれば、事実関係の確認や、組織としての対応判断を支えることができる。

現場のイメージ。窓口や売場では、対応した本人以外に状況を知る者がいない場面が生じる。画像はイメージであり、実際の事案ではない。
指針が求める対処と、現場の物理的制約
指針(令和8年厚生労働省告示第51号)は、事業主があらかじめ定めて周知すべき「対処の内容」として、管理監督者等への直ちの報告、可能な限り労働者を一人で対応させないこと、顧客等とのやり取りを録音・録画することなどを例示している。これらは限定列挙ではなく、特定の機器の設置を義務づけるものではない。
こうした対応を、限られた人員で日常業務と並行して運用することは、現場によっては負担となる。必要なのは、対応中の従業員に、録画開始などの追加操作をできる限り求めない仕組みである。
義務化の一年以上前に登録された特許
スタンダード・リンク株式会社(本社:東京都中央区)は、この課題に対応する技術について、特許第7728631号「ハラスメント検知記録装置」の登録を受けている。出願は2025年5月1日で、改正法が公布された2025年6月11日より前にあたる。登録は2025年8月15日で、指針が公布された2026年2月26日より前、施行日である2026年10月1日の1年以上前である。
登録された請求項1は、衣服に装着する装置を対象としている。装着された位置から集音と撮像を行い、音声データと画像データを収集するセンサ、その双方を組み合わせてハラスメント行為を検知する検知手段、検知された場合に少なくとも検知前から行為が終了するまでの音声・画像データを記憶装置に保存する制御手段を備える。
本特許は、職場や学校等における各種ハラスメント(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、ジェンダーハラスメント、カスタマーハラスメント等)を対象とする発明である。請求項の全文は登録公報および同社サイトで確認できる。

実装イメージ。本体の各面と、衣服への装着例。請求項1には特定の形状名は記載されておらず、掲載例は実装候補である。特定製品の仕様や外観を示すものではない。
AIが担うのは、判断ではなく客観化
この技術は、行為の違法性を判定するものではない。カスハラに当たるかどうかを最終的に判断するのは、人であり、企業である。

画面イメージ。氏名・声・映像の匿名化、閲覧権限、保存期間の設定を含む構成を示している。画面内のスコアは表示例であり、検知精度を示すものではない。最終的な判断は人が行う。
前述の調査で、ハラスメント対策に取り組む企業が挙げた最大の課題は「ハラスメントかどうかの判断が難しい」で59.6%。カスハラに固有の課題としては「迷惑行為と正当なクレームや要求とを区別する明確な判断基準を設けることが難しい」が挙がり、判定基準そのものを策定していない企業が3割を超える。
技術が担うのは、その判断の材料を客観化することにある。現場の個人が一人で背負ってきた判断を、組織が共有できる情報に変える。必要なのは、より厳密な基準そのものよりも、基準を当てはめるための事実である。

画面イメージ。事案の記録を報告書として出力し、人事、コンプライアンス責任者、経営層へと承認を経て共有する構成を示している。匿名化して出力する選択肢を備える。
単発の発明ではなく、共通の基盤
同社はこれまで、暗所でも被写体の色を保持するカラーナイトビジョン技術(特許第7680096号)を「AIの目」として、エッジAIコンピュータを「AIの脳」として開発してきた。センサーからの複数の入力を現場側の装置で統合して判断する設計思想を、同社は「フィジカルAIプラットフォーム」と呼んでいる。
同社は、今回のハラスメント検知を、この基盤に音声という入力を加えた実装事例と位置づけている。同社は現在、登録特許5件と公開中の出願1件を保有している。

構成イメージ。衣服に装着する端末が音声と画像を収集し、記録は管理画面やモバイル端末から確認する。明細書には、記憶装置を端末内部に限らず外部に置く構成が記載されている(【0070】)
被害の多くは、働いている場所で起きている
前述の調査によれば、カスハラを受けた場所として最も多いのは「通常就業している場所」で60.7%、次いで「顧客等との電話やメール等での応対時」が38.1%だった。以上が調査によって示された事実である。
以下は、同社が示す実装の考え方である。働く場所は一か所に留まらない。レジ、売場、窓口、病室、訪問先へと、人とともに動く。衣服に装着する装置は、その移動に追従する。
衣服装着型の機器は、事実確認や責任者への共有、事後対応を支援する手段の一つとなり得る。ただし、機器の導入のみで指針が求める措置を充足するものではない。

現場のイメージ。左は医療現場、右は相談窓口。いずれも応対する側が衣服に機器を装着している。画像はイメージであり、特定製品の仕様や外観を示すものではない。

画面イメージ。事案の件数、種類別の内訳、対応状況を一覧で把握する構成を示している。画面内の数値は表示例であり、実績ではございません。開発中の画面
共創パートナーの募集
同社は、この技術の社会実装に向けた共創パートナーの募集を開始する。想定する連携の形は三つある。
- 自社の現場に導入し、実証に参加する事業者。
- 衣服装着型記録機器(名札型・ボディカメラ等)に本技術を組み込むことを検討するメーカー・販売事業者。
- 事業化そのものに参画し、プラットフォームの構築を共に進めるパートナー。

共創パートナー・アサヒリサーチ株式会社の名札型ボディカメラ「Driveman NC-1」。左は装着例、右は本体。同社は警察と共同開発したバイク用ドライブレコーダーが全国40都道府県の白バイに採用されるなど、官公庁向け記録機器で実績を持つ。本特許の技術は、こうした衣服装着型の記録機器への実装を想定している。(画像提供:アサヒリサーチ株式会社)
同社はPoC(実証実験)を4週間から8週間の単位で受け入れる体制を持ち、秘密保持契約への対応、閉域網環境での構築にも対応する。
なお、本技術は人物の常時監視を目的とするものではない。登録公報の実施形態では、センサが音声と画像を継続的または定期的に取得し、一時記憶したデータを一定時間経過後に削除または上書きし、ハラスメントが検知された場合に少なくとも検知前から行為終了までの区間を保存する構成が記載されている。実際の運用は、個人情報保護法その他の関連法令に適合するよう設計する。

現場のイメージ。左は交通・案内の窓口、右は金融機関の窓口。いずれも応対する側が衣服に機器を装着している。画像はイメージであり、特定製品の仕様や外観を示すものではない。
人を監視するのではなく、人を守るために。
起きた後の記録だけでなく、現場が一人で抱え込まない仕組みへ。人手不足が構造的なものである以上、現場を支える手段として、技術が果たせる役割がある。
出典
厚生労働省委託事業「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」(令和6年3月、PwCコンサルティング合同会社)/企業調査 有効回答7,780件、労働者等調査 8,000名。厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)。
掲載画像は実装・構成のイメージであり、特定製品の仕様や外観を示すものではありません。NC-1の写真はアサヒリサーチ株式会社の提供によります。
会社概要
社名:スタンダード・リンク株式会社
所在地:東京都中央区日本橋小網町16-1 タナベビル2階
設立:2022年2月14日
事業内容:特殊カメラ・AIカメラ・監視システムの開発・製造・販売、エッジAI・画像解析技術開発
URL:https://www.standard-link.jp
本件に関するお問い合わせ
専用ページ:https://www.standard-link.jp/harassment-ai.html
E-mail:info@standard-link.jp
こうした対応を、限られた人員で日常業務と並行して運用することは、現場によっては負担となる。必要なのは、対応中の従業員に、録画開始などの追加操作をできる限り求めない仕組みである。
義務化の一年以上前に登録された特許
スタンダード・リンク株式会社(本社:東京都中央区)は、この課題に対応する技術について、特許第7728631号「ハラスメント検知記録装置」の登録を受けている。出願は2025年5月1日で、改正法が公布された2025年6月11日より前にあたる。登録は2025年8月15日で、指針が公布された2026年2月26日より前、施行日である2026年10月1日の1年以上前である。登録された請求項1は、衣服に装着する装置を対象としている。装着された位置から集音と撮像を行い、音声データと画像データを収集するセンサ、その双方を組み合わせてハラスメント行為を検知する検知手段、検知された場合に少なくとも検知前から行為が終了するまでの音声・画像データを記憶装置に保存する制御手段を備える。
本特許は、職場や学校等における各種ハラスメント(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、ジェンダーハラスメント、カスタマーハラスメント等)を対象とする発明である。請求項の全文は登録公報および同社サイトで確認できる。

実装イメージ。本体の各面と、衣服への装着例。請求項1には特定の形状名は記載されておらず、掲載例は実装候補である。特定製品の仕様や外観を示すものではない。
AIが担うのは、判断ではなく客観化
この技術は、行為の違法性を判定するものではない。カスハラに当たるかどうかを最終的に判断するのは、人であり、企業である。
画面イメージ。氏名・声・映像の匿名化、閲覧権限、保存期間の設定を含む構成を示している。画面内のスコアは表示例であり、検知精度を示すものではない。最終的な判断は人が行う。
前述の調査で、ハラスメント対策に取り組む企業が挙げた最大の課題は「ハラスメントかどうかの判断が難しい」で59.6%。カスハラに固有の課題としては「迷惑行為と正当なクレームや要求とを区別する明確な判断基準を設けることが難しい」が挙がり、判定基準そのものを策定していない企業が3割を超える。
技術が担うのは、その判断の材料を客観化することにある。現場の個人が一人で背負ってきた判断を、組織が共有できる情報に変える。必要なのは、より厳密な基準そのものよりも、基準を当てはめるための事実である。

画面イメージ。事案の記録を報告書として出力し、人事、コンプライアンス責任者、経営層へと承認を経て共有する構成を示している。匿名化して出力する選択肢を備える。
単発の発明ではなく、共通の基盤
同社はこれまで、暗所でも被写体の色を保持するカラーナイトビジョン技術(特許第7680096号)を「AIの目」として、エッジAIコンピュータを「AIの脳」として開発してきた。センサーからの複数の入力を現場側の装置で統合して判断する設計思想を、同社は「フィジカルAIプラットフォーム」と呼んでいる。
同社は、今回のハラスメント検知を、この基盤に音声という入力を加えた実装事例と位置づけている。同社は現在、登録特許5件と公開中の出願1件を保有している。

構成イメージ。衣服に装着する端末が音声と画像を収集し、記録は管理画面やモバイル端末から確認する。明細書には、記憶装置を端末内部に限らず外部に置く構成が記載されている(【0070】)
被害の多くは、働いている場所で起きている
前述の調査によれば、カスハラを受けた場所として最も多いのは「通常就業している場所」で60.7%、次いで「顧客等との電話やメール等での応対時」が38.1%だった。以上が調査によって示された事実である。
以下は、同社が示す実装の考え方である。働く場所は一か所に留まらない。レジ、売場、窓口、病室、訪問先へと、人とともに動く。衣服に装着する装置は、その移動に追従する。
衣服装着型の機器は、事実確認や責任者への共有、事後対応を支援する手段の一つとなり得る。ただし、機器の導入のみで指針が求める措置を充足するものではない。

現場のイメージ。左は医療現場、右は相談窓口。いずれも応対する側が衣服に機器を装着している。画像はイメージであり、特定製品の仕様や外観を示すものではない。

画面イメージ。事案の件数、種類別の内訳、対応状況を一覧で把握する構成を示している。画面内の数値は表示例であり、実績ではございません。開発中の画面
共創パートナーの募集
同社は、この技術の社会実装に向けた共創パートナーの募集を開始する。想定する連携の形は三つある。
- 自社の現場に導入し、実証に参加する事業者。
- 衣服装着型記録機器(名札型・ボディカメラ等)に本技術を組み込むことを検討するメーカー・販売事業者。
- 事業化そのものに参画し、プラットフォームの構築を共に進めるパートナー。

共創パートナー・アサヒリサーチ株式会社の名札型ボディカメラ「Driveman NC-1」。左は装着例、右は本体。同社は警察と共同開発したバイク用ドライブレコーダーが全国40都道府県の白バイに採用されるなど、官公庁向け記録機器で実績を持つ。本特許の技術は、こうした衣服装着型の記録機器への実装を想定している。(画像提供:アサヒリサーチ株式会社)
同社はPoC(実証実験)を4週間から8週間の単位で受け入れる体制を持ち、秘密保持契約への対応、閉域網環境での構築にも対応する。
なお、本技術は人物の常時監視を目的とするものではない。登録公報の実施形態では、センサが音声と画像を継続的または定期的に取得し、一時記憶したデータを一定時間経過後に削除または上書きし、ハラスメントが検知された場合に少なくとも検知前から行為終了までの区間を保存する構成が記載されている。実際の運用は、個人情報保護法その他の関連法令に適合するよう設計する。

現場のイメージ。左は交通・案内の窓口、右は金融機関の窓口。いずれも応対する側が衣服に機器を装着している。画像はイメージであり、特定製品の仕様や外観を示すものではない。
人を監視するのではなく、人を守るために。
起きた後の記録だけでなく、現場が一人で抱え込まない仕組みへ。人手不足が構造的なものである以上、現場を支える手段として、技術が果たせる役割がある。
出典
厚生労働省委託事業「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」(令和6年3月、PwCコンサルティング合同会社)/企業調査 有効回答7,780件、労働者等調査 8,000名。厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)。
掲載画像は実装・構成のイメージであり、特定製品の仕様や外観を示すものではありません。NC-1の写真はアサヒリサーチ株式会社の提供によります。
会社概要
社名:スタンダード・リンク株式会社
所在地:東京都中央区日本橋小網町16-1 タナベビル2階
設立:2022年2月14日
事業内容:特殊カメラ・AIカメラ・監視システムの開発・製造・販売、エッジAI・画像解析技術開発
URL:https://www.standard-link.jp
本件に関するお問い合わせ
専用ページ:https://www.standard-link.jp/harassment-ai.html
E-mail:info@standard-link.jp
以下は、同社が示す実装の考え方である。働く場所は一か所に留まらない。レジ、売場、窓口、病室、訪問先へと、人とともに動く。衣服に装着する装置は、その移動に追従する。
衣服装着型の機器は、事実確認や責任者への共有、事後対応を支援する手段の一つとなり得る。ただし、機器の導入のみで指針が求める措置を充足するものではない。

現場のイメージ。左は医療現場、右は相談窓口。いずれも応対する側が衣服に機器を装着している。画像はイメージであり、特定製品の仕様や外観を示すものではない。

画面イメージ。事案の件数、種類別の内訳、対応状況を一覧で把握する構成を示している。画面内の数値は表示例であり、実績ではございません。開発中の画面
共創パートナーの募集
同社は、この技術の社会実装に向けた共創パートナーの募集を開始する。想定する連携の形は三つある。
- 自社の現場に導入し、実証に参加する事業者。
- 衣服装着型記録機器(名札型・ボディカメラ等)に本技術を組み込むことを検討するメーカー・販売事業者。
- 事業化そのものに参画し、プラットフォームの構築を共に進めるパートナー。

共創パートナー・アサヒリサーチ株式会社の名札型ボディカメラ「Driveman NC-1」。左は装着例、右は本体。同社は警察と共同開発したバイク用ドライブレコーダーが全国40都道府県の白バイに採用されるなど、官公庁向け記録機器で実績を持つ。本特許の技術は、こうした衣服装着型の記録機器への実装を想定している。(画像提供:アサヒリサーチ株式会社)
同社はPoC(実証実験)を4週間から8週間の単位で受け入れる体制を持ち、秘密保持契約への対応、閉域網環境での構築にも対応する。
なお、本技術は人物の常時監視を目的とするものではない。登録公報の実施形態では、センサが音声と画像を継続的または定期的に取得し、一時記憶したデータを一定時間経過後に削除または上書きし、ハラスメントが検知された場合に少なくとも検知前から行為終了までの区間を保存する構成が記載されている。実際の運用は、個人情報保護法その他の関連法令に適合するよう設計する。

現場のイメージ。左は交通・案内の窓口、右は金融機関の窓口。いずれも応対する側が衣服に機器を装着している。画像はイメージであり、特定製品の仕様や外観を示すものではない。
人を監視するのではなく、人を守るために。
起きた後の記録だけでなく、現場が一人で抱え込まない仕組みへ。人手不足が構造的なものである以上、現場を支える手段として、技術が果たせる役割がある。
出典
厚生労働省委託事業「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」(令和6年3月、PwCコンサルティング合同会社)/企業調査 有効回答7,780件、労働者等調査 8,000名。厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)。
掲載画像は実装・構成のイメージであり、特定製品の仕様や外観を示すものではありません。NC-1の写真はアサヒリサーチ株式会社の提供によります。
会社概要
社名:スタンダード・リンク株式会社
所在地:東京都中央区日本橋小網町16-1 タナベビル2階
設立:2022年2月14日
事業内容:特殊カメラ・AIカメラ・監視システムの開発・製造・販売、エッジAI・画像解析技術開発
URL:https://www.standard-link.jp
本件に関するお問い合わせ
専用ページ:https://www.standard-link.jp/harassment-ai.html
E-mail:info@standard-link.jp
出典
厚生労働省委託事業「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」(令和6年3月、PwCコンサルティング合同会社)/企業調査 有効回答7,780件、労働者等調査 8,000名。厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)。
掲載画像は実装・構成のイメージであり、特定製品の仕様や外観を示すものではありません。NC-1の写真はアサヒリサーチ株式会社の提供によります。
会社概要
社名:スタンダード・リンク株式会社
所在地:東京都中央区日本橋小網町16-1 タナベビル2階
設立:2022年2月14日
事業内容:特殊カメラ・AIカメラ・監視システムの開発・製造・販売、エッジAI・画像解析技術開発
URL:https://www.standard-link.jp
本件に関するお問い合わせ
専用ページ:https://www.standard-link.jp/harassment-ai.html
E-mail:info@standard-link.jp
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