【快挙】「着せ恋」痛車が富士24時間を制す! 雨中の“タイヤ無交換”ギャンブルが劇的すぎた
着せ恋痛車が、富士24時間レースで勝利!
6月5~7日に富士スピードウェイ(静岡県)で開催された「ENEOSスーパー耐久シリーズ2026 Empowered by BRIDGESTONE Rd3 NAPAC富士24時間レース」。人気アニメ「その着せ替え人形は恋をする」の痛車がMercedes-AMG GT3をベースに参戦すると話題になった(【着せ恋×モータースポーツ】喜多川海夢がレースアンバサダーに就任! TKRIと岩槻の地元コラボが実現)。今回はそのチーム「TKRI」に密着した。
2026シーズンはチームの母体である松永建設の所在地が岩槻ということもあり、「その着せ替え人形は恋をする」とのコラボレーションが実現。喜多川海夢が描かれたMercedes-AMG GT3がサーキットに登場した
TKRIは3人のプロドライバー、片岡龍也を中心に中山友貴、元嶋佑弥に、ジェントルマンドライバーのDAISUKEを加えた4人で富士24時間レース2連覇を目指した。梅雨の時期にスケジュールされる24時間レースだが、決勝スタートの6日は曇り。大きな波乱なくスタートが切られた。
ノーミスで駆け抜けた夜間走行と
夜明けのデッドヒート
スーパー耐久は多くのカテゴリーの車両が混在するため、マシン性能の差が大きい。総合優勝を目指すTKRIはST-Xクラスという最上位カテゴリーで、生粋のレーシングマシン。対して一番非力なST-5クラスのマツダ・ロードスターでは、トップスピードが100km/h近く違ってくる。速い車でレースを走るドライバーにとっては、まるで障害物競走だ。そのレース特性を知り尽くす片岡選手は「24時間はスピードも大事ですが、それよりノーミス、ノーペナルティで走り抜く事が最も重要です」と語る。
その言葉を具現化するように、TKRIは淡々とレースを進め、常時トップグループから脱落することはなかった。対照的にライバルチームは、ペナルティやトラブルで次々に脱落していく。トラブルやクラッシュが起きやすい、夜間のスティントをプロドライバー3人で乗り切ったTKRIは、無傷で夜明けを迎える。そしてその頃には、優勝争いもトップ2台に絞られてきた。
GTNET MotorsportsのGT-Rとトップを争うTKRIは、ピットストップのたびに順位を入れ替えるデッドヒートを繰り広げる。富士24時間にレースにおいて、この時間帯で同一周回の総合優勝争いは記憶がない。24時間耐久とは思えない、エキサイティングな展開となった。スプリントレースかのように一進一退を繰り返す2チームに動きが出たのは、スタートしてから19時間が過ぎた頃だった。
勝負を分けた雨。アマチュアに託された
決死の「ステイアウト」作戦
朝10時を過ぎた頃、最後のスティントを走るべくDAISUKEがドライブを始めた。順調にラップを重ねていると、とうとう雨が降り出した。それまでも雨が落ちる時間帯はあったが、路面が少々濡れる程度で収まっていた。ところがこの時は、少々様子が違っていた。
それまでとは違い路面の色が変わるほどで、ピット内はにわかにザワつき始めた。雨は強まったり弱まったりで、レインタイヤに交換するか悩ましい天候となった。実際に走っていたドライバーは、「場所によってはツルツルで、いつスピンしてもおかしくない状況でした」と言うほど。このまま雨足が強まるのなら、即ピットインさせてレインタイヤに交換。なのだが、雨足は微妙で、判断しかねる状況だった。
この状況で先に動いたのはGTNET Motorsports。ピットインを選択し、レインタイヤに履き替えコースに復帰した。これを見たTKRIはステイアウト(コースに残る)を選択。濡れた路面の中を、スリックタイヤで走行する作戦に出る。もし3人のプロドライバーがドライブしていれば当然の作戦だが、この時ドライブしていたのは唯一のアマチュアドライバーであるDAISUKE選手。大きなリスクを背負った賭けに出たと言っても過言ではないだろう。
アマチュアとは言え、多くのレースを経験してきたDAISUKE選手は、慎重にしかしタイムロスを最小限に抑えるドライブをしてみせた。路面は濡れているものの、ラップタイムはレインタイヤで走るマシンと遜色がない。このまま雨が弱まればTKRIは、グッと優勝に近づく。雨が強くなれば順位を2位に落とし、追い上げのレースを余儀なくされる。
ピットが凍りついたスピン
プロがねじ伏せた歓喜のチェッカー
ピットからは「ごめんなさい、頑張ってください」と、繰り返し無線で伝えDAISUKE選手を後押しする。ピット内では、全員が祈るようにモニターを見つめ緊張感は最高潮に達していた。片岡選手はレーシングスーツ、ヘルメット姿でスクランブル発進に備えている。そんな中、濡れた路面に足を掬われDAISUKE選手がスピンを喫する。一瞬ピットが凍りついたが、広いグラベルに助けられ無傷で復帰。全員が胸を撫で下ろした瞬間だった、
「タイヤは変えずにこのまま行きます」片岡選手はハッキリと告げドライバー交代のポジションについた。この判断はタイヤ交換の時間短縮と、走行で温まったままのタイヤの方が有利と言う判断だ。濡れた路面と格闘していたDAISUKE選手が、ピットに滑り込んできた。路面は相変わらず濡れたままだったが、給油だけ済ませて片岡選手がトップのままコースに復帰した。
ここからは、プロドライバーのテクニックが炸裂。濡れた路面をものともせず。スリックタイヤのまま攻めきり、2番手のGTNET Motorsportsを寄せ付けなかった。片岡選手から中山選手、そして元嶋選手とタスキを繋ぎ優勝を手に入れた。これによりチームとしては富士24時間レース2連覇。片岡選手個人では24時間レース4連覇と無類の強さを見せつけた。
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